千葉県食品製造健保組合が被保険者及び患者あてに、柔道整復療養費の取扱いに関する適正化の観点からパンフレットを交付していることが判明したところ。このパンフレットの中で「接骨院・整骨院は全額自己負担が原則」と記載されているが、このことについて当団体として納得できないことから、説明を求める。柔道整復施術療養費は、昭和11年という戦前から国の認知を受けたものとして受領委任の取扱いの運用がされており、すでに76年を超える歴史を有した取扱いがなされてきた。確かに健康保険法上、療養費の取扱いは法第87条に明記されているとおり、償還払いを原則とした保険給付だ。このことから、患者は施術費用の全額を窓口で支払い、施術費用に係る領収内容を明らかにした書面の明細を受け、被保険者が自ら療養費支給申請を行うもの。しかしながら柔道整復施術療養費については先にご説明のとおり、受領委任の取扱いがシステムとして構築されており、現状においても厚生労働省保険局長通知及び同局医療課長通知によりその運用の詳細が規定され、事実上の「現物給付」化されていることは周知の事実である。にもかかわらず、あえて「全額自己負担が原則」とパンフレットに記載し広報されることは、厚生労働省の通知を無視した暴挙であり、到底納得できるものではない。その他にも、「不適切な受診の例」や、患者照会を行う理由の説明の中で「接骨院等で健康保険を利用する際は不正な利用とならないよう、その場で勧められるがままに健康保険を使わないようにしましょう。」などのように全体的に接骨院・整骨院への受診抑制を意識された作りであるように思われ、患者が健康保険で整骨院・接骨院の治療を受けたいという希望をないがしろにするものであり、被保険者及び患者から柔道整復施術の保険適用を奪う狙いがあるものと推察するのだ。
厚生労働省は健康保険組合などの保険者が行う、いきすぎた患者照会やパンフレット作成に対し留意するよう指示をしている。平成25年11月22日付厚生労働省保険局保険課発出の健康保険組合宛の「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組についてのお願い」と題する事務連絡の中で、パンフレットやリーフレットの中に柔道整復施術に対する誤った表現や受診抑制に繋がる記載を行わないよう周知されたところなのだ。千葉県食品製造健保組合が発出されているパンフレットは、いきすぎた啓蒙活動並びに整骨院受診抑制を促すことを目的とした対応と思われ、問題がある。上田としては、千葉県食品製造健保組合のこのような取組みに対し、承服できない。健保組合には書面による正式な回答を求めるものである。患者が健康保険の取扱いを希望され、その要件を柔道整復師が確認しているにもかかわらず、このような酷い内容のパンフレットを作成するのは、ひとえに柔道整復師の患者を抑制したい、療養費の支払いを止めたい保険者の身勝手さからくるものであろう。