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大阪府が公表した柔整療養費適正化検討会議報告書

先週24日付きで公表された大阪府福祉部地域福祉推進室指導監査課医療指導グループの「柔道整復施術療養費適正化検討会議報告書」を読ませていただいた。よく整理されており、短時間のなかで、よくまとめられているし、読みやすい資料である。この中に記載のある議論経過は、私も東京に赴いて主に健保組合の役員の方々とお話しさせていただいた際に、直接言われたことと同一の内容であるものが見受けられる。ポイントになる点を列挙すると、
  ・来院の度に一部負担金と署名の記載を求めること。
  ・亜急性を明確にした上で、これを保険対象外とすること。
  ・請求の一部に医師の同意書の添付を義務付けること。
  ・施術計画書の作成を義務付けること。
  ・日計表の作成を義務付けること。
  ・施術録への記載と保管義務を支給要件とすること。
  等、たくさん掲げられている。これら全ての事項にわたって柔道整復師には大きな負荷になるものである。このようなものが、来年の療養費検討専門委員会での議論に付され、業界側はそのすべてを受け入れるということになるのであろうか?ということを、年末にあたり情報提供しておく。
by ueda-takayuki | 2015-12-28 12:08

日本ガイシ健保組合の患者照会書面はことごとく医師の診断を要する記載になっていることに反論した

当方会員宛てに日本ガイシ健康保険組合が不支給決定通知書を送付した。この書面に添付されていた「柔道整復の保険給付対象となる外傷について」と題された書面記載内容について納得できないことから、疑義照会文書を作成し文書による回答を求めた。疑義照会文書を参考までに掲載する。

「柔道整復の保険給付対象となる外傷について」と
題された書面記載内容について(疑義照会)

 柔道整復施術療養費の取扱いにあたりましては、常日頃よりご尽力賜りまして御礼申し上げます。
 さて、この度、当方会員が貴健保組合より、柔道整復施術療養費の不支給決定通知書による不支給処分のご連絡を受けた際に、これに同封されていた標記書面の記述内容について、当方といたしましてはその一部に疑義が生じていることから、下記のとおり書面をもって疑義照会いたします。
当該書面は当方の基本的考え方を整理して申し述べるものであり、貴健保組合からの書面による弁明及び反論に係るご回答を是非ともよろしくお願い申し上げます。
               


1 療養費の支給対象について
 貴健保組合のご主張は柔道整復施術で保険対象となるのは、「医師の診断を待つまでもない、疑いようのない、誰が見ても明らかな外傷のみ」、「医師の診断なしでは保険給付対象外」、「柔道整復師には診断は認められていない」、「痛みの原因が明らかでない場合は医師による診断が必要」などと全面的に柔道整復師の施術を否定する立場を踏襲しているものと推察されます。
しかしながら、柔道整復師は捻挫等の急性又は亜急性の外傷性の負傷を施術することが許された国家資格者であります。にもかかわらず、医師の診断なしでは保険給付対象にならないことをことさら強調しておられます。
このことに係る医科学的又は法令・通知上の論拠の説明を求めます。

2 厚生労働省保険局医療課長通知により亜急性負傷が保険適用となることが明記されていることについて
 当方が推察するに、おそらくは貴健保組合としては「柔道整復施術が保険適用となる、急性又は亜急性の外傷性の捻挫や挫傷などとは考えられない」と判断し、療養費の支給基準上、支給対象外であるとされているのでしょう。国が通知で示した「亜急性の外傷性の捻挫」というものは、「急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。なお、急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉離れをいい、挫傷を伴う場合もある。)については打撲の料金により算定して差し支えないこと。」とされているものであります。それではここで「亜急性の外傷性」について述べることにより、貴健保組合の基本的な判断の誤りを指摘いたします。
①亜急性の外傷性について
厚生労働省保険局医療課長通知で示された課長通知上で、「亜」というのは「準ずる」という意味であるから、亜急性とは急性に準ずるということです。すなわち急性と慢性の中間に位置する状態のことをいい、急性よりも熱などの変化が緩やかなものをいうのです。整形外科理論では急性期が受傷直後から2日間程度までを指すのに対し、亜急性期とは受傷してから2~3週間程度の時間が経過したものであり、陳旧性とまではいえないところを言います。つまり「時間の経過」として捉えるということです。急性期、慢性期、亜急性期とそれぞれに「期」とあるところ当然そういう見方となるのです。これに比し、柔道整復では“反復性・継続性・蓄積性”の外的圧力要因や微小の外力、また、これらの外力にかかるストレスによる組織断裂や骨棘形成、石灰沈着、また、陳旧例では関節の不安定性があるものまでを含んで考えています(社団法人全国柔道整復学校協会監修の柔道整復学理論編改訂第4版244ページ 亜急性損傷)。例を挙げると、主婦の家事手伝いで痛めた手関節や布団の上げ下ろしで負担のかかった腰部に発生した事象についても、療養費の支給対象になると判断するのが柔整理論における広く認知された亜急性負傷です。一方、ある程度の時間の経過をもって、例えば10日ほど前に躓いて階段から落ちた場合の負傷を亜急性だというのが整形外科の定義であると思われます。
現在の療養費の算定基準における留意事項にも柔道整復施術療養費における亜急性の定義がまったくなされていないのが問題です。これは行政の職務怠慢でありますが、所詮は素人集団の厚生労働省の事務方であれば致し方ないところであります。しかしながら、仮に、亜急性の定義が単なる時間経過の概念だけで定められたならば、柔道整復師の保険請求のかなりの部分が保険対象外とされる可能性があり、既出の反復性・蓄積性・継続性の微小外的要因の全てをも亜急性とするならば、状態として陳旧性及び慢性傾向にあるものも、その殆どが療養費支給対象になり得る取扱いが可能となるものです。厚労省保険局医療課長通知で定めのある留意事項において「亜急性期」となっていれば受傷後の時間経過による定義付けもできましょうが、「期」の文字がないことからやはり時間経過のみをもって決められるものではなく、ここではあくまで“発生機序により急性か亜急性かを判断すべきもの”であると当方は主張します。このことから、柔道整復療養費にかかる亜急性の負傷定義なり基準が必ずしも明確ではない現状では、単純且つ一律の取扱いではなく、医学用語辞典に記載のあるとおり“急性と慢性の中間に位置する状態”に当たるかどうか、個別具体的な患者の“症状により判断”していくことが求められるものであると考えます。
現行の厚生労働省保険局医療課長通知では、冒頭でも触れましたように、「亜急性の外傷性の負傷」は明快に認められているうえ、介達外力による負傷をも保険適用として差し支えないとなっていることを強調しておきたいのです。
次に、参考までに(社)全国柔道整復学校協会の監修で、実際に養成施設で現在も教科書として使用されている「柔道整復学理論編」の亜急性損傷をそのまま転記しますので、参考にしてください。これにより、100を超える柔道整復師の養成施設の専門学校等で講義・授業が展開されているのです。
亜急性(蓄積性あるいは反復性)
反復あるいは持続される力によって、はっきりとした原因が自覚できないにも関わらず損傷が発生する。このなかには、臨床症状が突然発生するものと、徐々に出現してくるものがある。前者は、先に述べた荷重不均衡状態、あるいは静力学的機能不全の状態下で損傷される場合が多く、組織損傷が拡大していくなかで、外力として認知できない場合あるいは軽微な外力で突然発生したかのように機能不全に陥る。後者は、静力学的機能不全の状態であることが多く、症状は次のような経過をたどることがある。
まず疲労感を覚えやすくなることで、身体に何か異常があることに気づくが、当初はそれを強く感じない。経過とともに疲労するのが早くなり、また安静によっても容易に回復しなくなることで、それを損傷と認識するようになる。次いで、この疲労状態は疼痛となって現れ、さらに症状が強くなると、局所の腫脹、発赤などが現れたりする。
亜急性損傷は、以下に示すような分類がなされる。
(1)使いすぎOVERUSE(2)使い方の間違いMISUSE(3)不使用後の急な負荷DISUSE  ―出典 柔道整復学・理論編 4損傷時に加わる力 18頁―
これらの養成施設で教えられている柔道整復師の業務範囲及び柔道整復術並びに「亜急性損傷」の定義から言えることは、患者自身の自家筋力の動作に起因する機械的損傷は柔道整復師の業務範囲であって、ここでいう自家筋力とは課長通知で示された柔道整復施術の療養費として認められる「介達外力」のうちの具体的例示であり、これにより発生した負傷は当然ながら療養費の支給対象であります。これら「自家筋力による損傷」、「介達外力による負傷」が柔道整復師の施術範囲として授業で教えられ、それと正に整合性がある厚労省の療養費支給基準であって、課長通知により留意事項として定められたとおり、療養費の支給対象であることを貴健保組合は理解できないということでしょうか。理解できないというのであれば、当方役職員等(大学や専門学校の学長・理事長、厚生労働省の元担当官、整形外科医師、弁護士)がご説明に参ります。
柔道整復施術を理解していない一部の健保組合の保険者の中には、事務職員が一般的な常識として認識している捻挫の概念として、例えば関節においてその関節可動域を超える外力が働くことにより、当該関節がその外力に耐えられない場合に発生するものに限局して考えているのではないでしょうか。すなわち発生原因が明解に存在するものということでありましょう。このことは貴健保組合の当該書面にも見受けられるものと思われます。
しかしながら、それ以外にも、大きく負傷部位にダメージを一時に与えなくとも、微々たる外力程度であっても、長期にわたり反復・継続・蓄積する外力要因により負傷することがあるのです。また、自家の身体を構成する筋力に起因する力で損傷する場合もあることはすでに述べましたが、患者さん自らが何らの外傷性の認識を持たずとも負傷することは臨床の現場ではあるのです。柔道整復施術においては、これを「亜急性による負傷」と定義していることは、学校で使用されている教科書内容から読み取れるものです(既出)。
この場合、発赤・熱感・疼痛・機能障害・腫脹など(捻挫症候の5大特徴)が患部に限局的に見られた場合、患者の主訴も参考にしながら施術を担当した柔道整復師が判断することとなります。患者が疼痛等を訴え、結果として柔道整復師が治療の必要性ありと判断したからこそ療養費支給申請書を提出したのです。そうすると、貴健保組合書面に見られる記載内容は不当であって、医療課長通知の運用上誤りであると言えます。医療課長通知の留意事項でいう亜急性及び介達外力に起因するものまで、療養費の支給対象になる旨記載されていることを理解してから保険給付決定事務を行っていただきたいです。
保険者である貴健保組合は、課長通知で療養費の支給対象とされた亜急性の外傷性の負傷と介達外力による負傷を十分理解しなければなりません。

②仮に明確な発生機序がなくても外傷性の負傷は医科学的にも発生することについて
亜急性損傷を発症する場合、その負傷の発生の瞬間を特定できないことは往々にしてあります。反復・継続・蓄積した微々たる外力により筋骨格系、結合組織系、関節の軟部組織等を損傷した場合や、関節の使い過ぎ、誤った関節運動の結果としての損傷や、普段あまり使用しない筋・腱に対し急激な負荷を加えてしまった場合などは負傷することがよくあり、このときは特段、明確な負傷原因など認識されないときがよくあります。
これらを包含して保険請求の対象とすることを「亜急性」として許容されたものということができると考えているところです。

3 寝違え・スジ違いは保険適用となることについて
寝違えは私ども柔道整復師の見立てでは明らかに頸部捻挫ですから、療養費の支給対象となるものと考えます。貴健保組合の書面によれば「寝違え」についても保険適用には否定的見解を述べられていますが、当方の柔道整復師の「寝違え」に係る施術にあたっての基本的考え方を述べます。
これは既出の養成所の学校の教科書にもきちんと掲載されていることです。頸部捻挫の保険請求にあたって、柔道整復師が負傷原因欄や摘要欄等における記載として「寝違え」と書いた場合に、保険適用外とされる一部保険者の対応は、受領委任の取扱規程上問題があるものと考えます。
寝違えとは、頸部捻挫のひとつの態様であり、急性疼痛に頸椎や肩甲骨の運動性が制限された状態をいいます。頸部はそもそも可動域が大きく、その支持組織が相対的に弱い為に頸部捻挫を起こし易いものです。また、頸部捻挫により頸部をはじめ、肩部、背部あるいは事例によっては上肢にいたるまで疼痛やシビレ感などを伴うことが少なくないので注意を要する負傷であるといえます。
寝違えの具体的な発生機序につきましては、急性又は亜急性の外傷性の発生機序として位置づけられ、就寝中などにおいて、大部分は長時間の不自然な姿勢で寝ていたり、睡眠中に不用意に首をひねったり、また、このようなときに肩甲骨を動かしたりしたときに起こる一過性の筋痛であります。
頸椎の退行性変化を基盤として起こる場合や炎症性の疼痛による場合もあります。
寝違えの一般的な症状としては、頸椎の運動制限はあらゆる方向にみられますが、とくに捻転や側屈が制限されることが多い実態にあります。疼痛は僧坊筋、菱形筋、胸鎖乳突筋、肩甲上神経部などにみられ、これらの圧痛部に小指頭大のしこりを触れることもあります。さらに頸部から両側肩甲間部にまで疼痛が放散することも少なくありません。
柔道整復師が行う施術としましては、主に圧痛部位を冷やしたり、逆に温熱を加え手技療法や理学的療法、物理療法を組み合わせたりして治療を行うこととなります。
また、必要に応じて牽引療法や軽い頸部・肩甲帯の運動指導も有効なことが多いことで知られるものです。
柔道整復師の治療する得意分野の一つとして軟部組織損傷の頸部捻挫があることに鑑みれば、寝違えも柔道整復師の施術の適応症と考えます。頸部軟部損傷においては、四肢の軟部損傷とは異なり、脳を支える重要な神経や血管の径路であることから機能的だけでなく、筋靭帯の損傷の腫脹疼痛、拘縮、外傷性炎症等が二次的の圧迫や刺激となりまして、結果的に自律神経の失調異常や頭部、上肢部の種々の症候群を惹起する場合もあります。柔道整復師としては特にこの点に留意して施術に努めているのが実態です。
ここではご説明を省略いたしますが、スジ違いも寝違えと同様な医科学的論拠に基づき説明できます。
以上のことから、患者さんがいう「寝違え・スジ違い」という症状に対する柔道整復師が行う施術行為は、急性又は亜急性の外傷性の負傷であるものと考えられることから、療養費の支給要件を満たしているものといえるのではないでしょうか。そうでないならば、明確な反論をお願いいたします。

4 いわゆるギックリ腰も保険適用となることについて
ギックリ腰とは急に腰を捻ったり、重いものを持ち上げようとしたときなどに発症するだけでなく、洗顔や歯磨きのときなど軽く前かがみになったときなどにも発症してしまう「急性の腰部(腰椎)捻挫」を指します。痛みのために腰部の運動が制限され、また体を動かすと腰痛が増強し、痛みが激しい場合は起立歩行が困難なこともあります。その本体となる疾患は多々ありますが、一般的には腰筋の部分的挫傷、急性の椎間関節炎あるいは腰椎捻挫(解剖学的所見では腰椎椎間板損傷)であることが多いものです。いずれも柔道整復施術の適応症であることが明らかです。また、腰椎棘間靭帯の断裂の場合も見受けられます。スポーツ外傷と並んで、当然のことながら“柔道整復師の施術の得意分野”であります。
当方が強調して述べておきたいことは、患者さんからの回答のみをもって、即、「療養費の支給対象外」と結論付けるのは早計であり、熱感・発赤・機能障害・腫脹及び疼痛の症状を含めて、何より施術者である柔道整復師の見立てや判断を参考にすべきであるということです。実際に施術を行った柔道整復師には何らの確認もせず、単に患者さんの言い分のみをもって保険給付の可否を判断するのは誤りではないでしょうか。
そうすると、患者さんが単に「寝違え、スジ違い、ぎっくり腰であった等」と回答したことのみをもって、これらを狙い撃ちにして即、不適正な請求と判断されることは不当・失当です。
 ましてや本件は、柔道整復師に対する不支給決定通知のご案内書面に添付されている書面です。一般的に保険者が行う保健事業の一環としての患者さんへの受診適正化方策の取組みではなく、施術を担当した柔道整復師に対する書面であることを考えますと国家資格者として国から免許を受けた施術者に対する書面としましては、些か配慮に欠けた失礼な記載内容であるようにも見受けられます。
以 上

※亜急性の負傷については、国が明確な通知を発出しない限り、保険者と施術者間での不毛な議論は収束しない。柔道整復師は、寝違えやスジ違い、ぎっくり腰は当然保険適用として請求する。これを認めないというのであれば、なぜ認めないのかを明らかにしてもらいたい。保険適用になることの大まかなスタンスは、私の解説で理解できるはずである。
by ueda-takayuki | 2015-12-25 13:55

広島県国保柔整審査委員会から医科転医では初検料算定できないと返戻される

広島県国民健康保険団体連合会広島県国民健康保険柔道整復療養費審査委員会からのこの度の返戻理由は「摘要欄には『初回より後療での算定』とある。初検料の算定についてご確認下さい」というものです。何を訳の分からないことを書いているのか。
他院からの転院については、厚生労働省保険局医療課長通知で示された算定基準の実施上の留意事項 第1通則の8によれば、「既に保険医療機関での受診又は他の施術所での施術を受けた患者及び受傷後日数を経過して受療する患者に対する施術については、現に整復、固定又は施療を必要とする場合に限り初検料、整復料、固定料又は施療料を算定できること。なお、整復、固定又は施療の必要がない場合は、初検料、後療料等により算定すること。」とされており、当該申請においては他整形外科より転院のため、整復、固定又は施療の必要がなかったことから初検料と後療料により算定したものであり、初検料の算定は当然認められるのだ。こんな基本的なことも広島件国保の柔整審査委員は理解していないのであろうか。
〔上田の一言〕このようなことは、厚生労働省保険局医療課長通知で示された留意事項を確認すれば、そこに明記されていることから明らかであるにもかかわらず、なぜ返戻するのか。当然、再申請だ。
by ueda-takayuki | 2015-12-15 10:41

奈良県庁保険指導課に赴き鍼灸療養費の第2回目の審査請求書を提出した

奈良県庁の保険指導課に赴き、生駒市が不支給処分とした鍼灸療養費の第2回審査請求分の提出を行った。奈良県はその姿勢として、療養費には厳しい運用を求めている。不支給の原処分を行った生駒市は、柔整療養費の取組みや広告規制で有名な橿原市ほどではないが、療養費の支給には厳格な運用を実施している。本件審査請求事件は、その原因が外部委託点検業者による点検業務の保険者への報告内容が、
①国保被保険者が鍼灸施術を受けていないといっていること。
②往療料が加算されているが、往療料の加算は認められないこと。
の2点であるという。しかし、認知症患者の回答を鵜呑みにしたことの正当性が問われるのはもちろんのこと、認知症患者といえども歩行ができることをもって往療料加算を認めないとすることは、厚労省保険局医療課が発出した疑義解釈資料(平成24年2月13日付)の問21の回答によれば、認知症患者のように歩行が可能であっても、患者自身での行動が著しく制限される場合は、通所できない状況を判断することになっていることを知らないのではあるまいか。外部委託点検業者の行う事務処理は、保険者責任であることから、審査請求代理人の上田としてはあくまで生駒市長の責任を追及していくことになる。しかし、よくわからないが、生駒市は「最も信頼できる外部委託点検業者に依頼しているので問題はない」などと聞く耳を持たないようである。私としては当方が審査請求で生駒市長の原処分の不支給を取消しさせることになれば、その外部委託点検業者は国保保険者からの信用をなくしてしまう可能性も否定できないと思うのだが如何か。
by ueda-takayuki | 2015-12-14 15:39

山形県高畠町の広報誌には腰痛を“保険適用外”とする記述があったので削除を求める

高畠町町民課医療給付係が担当した「整骨院・接骨院の施術を受けられる方へ」と題された広報誌の内容について疑義照会を行う。高畠町が広報たかはたの中で療養費の適正化のために掲載されている「整骨院・接骨院の施術を受けられる方へ」と題された内容について、一部疑義があるのだ。この中で、治療を受ける時の注意として「◆単なる肩こり、腰痛、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象となりません。」と記載されているではないか。しかしながら厚生労働省保険局医療課長通知で示されている柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項(以下、「課長通知」という。)の 第1通則 6 によれば、『単なる肩こり、筋肉疲労に対する施術は、療養費の支給対象外であること。』と明記されているに過ぎない。すなわち課長通知では、あえて『腰痛』の記載を入れていないことが明らかだ。これは腰痛を引き起こす発生機序が必ずしも急性であるとは限らず、亜急性が原因となる場合が多く認められることから、意図的に表記してはいない結果である。
 課長通知で明らかにしていない内容を記載するということは、腰痛はすべからく保険対象外というイメージを患者に抱かせ、不当に療養費の支給対象を狭める危険性が高いものであり、多くの患者の誤解を招くものと推察され、柔道整復師及び柔道整復師団体としては、強く抗議しておく。
 腰痛の症状を呈すものの中にも、当然ながら柔道整復師の業務範囲内のものが数多く存在することを理解してもらいたい。厚生労働省のホームページにおいても、厚生労働省保険局自体が、以前は高畠町と同様に、腰痛が療養費の保険対象外である記載をしていたものを、当協会がその誤りについて、厚生労働省保険局医療課長宛てに平成24年12月に問い質した結果、現在はホームページ上から腰痛の部分が削除された経緯があるのだ。以上のことから、腰痛が保険対象外であるという記載を削除することを書面により求めるものである。
by ueda-takayuki | 2015-12-11 12:15

宮城県国保は胸椎骨折と腰椎骨折の椎骨番号が分からなければ審査できないと返戻してきた

宮城県国民健康保険団体連合会柔道整復療養費審査委員会からの今回の返戻付箋によると、返戻理由は「胸椎、腰椎それぞれ何番かお知らせ下さい。(近接部位の確認)」とのことである。これについて審査会の返戻の主旨が私には理解できないことから説明を求めたい。胸椎1番から12番及び腰椎の1番から5番のそれぞれ何番かをお知らせくださいとの指摘が返戻理由になるとは思えない。それぞれの番号を明らかにしたところで、それが療養費の審査にあたりどのような判断基準に資するものになるのかを明らかにしてほしい。返戻付箋には近接部位の確認とあるのだが、逆に確認したいものだ。審査委員は胸椎の何番と腰椎の何番が近接部位になるのかを逆に指し示してもらいたいと上田は考える。厚生労働省が通知で示した近接部位の算定方法によれば、少なくとも胸椎骨折と腰椎骨折の近接部位の判断における確認として、算定できない近接部位になる組み合わせは存在しないではないか。仮に胸椎と腰椎のそれぞれの番号を明らかにしたところで、近接部位の算定上認められない事例を逆にご教示いただきたいところだ。本請求において近接部位の算定方法に鑑み、認められないとする論拠がないにもかかわらず、このような返戻をされることは、全柔協会員の柔道整復師に対する嫌がらせであろう。当然のことながら、このまま再請求だ。
by ueda-takayuki | 2015-12-11 12:13

協会けんぽ和歌山の広報書面に疑義あり!

全国健康保険協会和歌山支部が「適正な保険給付のためのお願いについて」と題された書面を発出している。これは、協会けんぽ和歌山が柔道整復施術を受けた患者宛てに、標記に係る書面を交付したうえで適正な受診を促す取り組みをされていることは承知しているところだ。しかしながら、長期施術になったからといって必ずしも不当な保険施術であると言いきることはできないではないか。当該書面によれば、これを受け取った被保険者並びに患者は柔道整復施術を受けることがあたかも悪いことであり、「整骨院に行くことは悪いことなのか」との疑念を抱くのであれば、結果として柔道整復施術受診の抑制に直結する大問題であるので抗議する。当方会員からも、標記の書面について疑義を申し述べてもらいたい旨の要望が寄せられたことから、くれぐれも取扱いについては慎重を期す必要があるものと憂慮するものだ。柔道整復師は日々真面目に患者さんの痛みなどの症状の治療にあたっているものであり、恣意的な書面づくりは失当である。
by ueda-takayuki | 2015-12-11 12:11

“医道の日本”にマイナンバーに関する上田のコメントを載せていただいた

医道の日本2015年12月号の冒頭記事にマイナンバーについての特集が組まれていた。医道の日本誌編集部が掲載内容を紙面にしたものである。かなり以前に同編集部から電話をいただき、懇切丁寧に説明したところである。療養費の取扱いに特化した今後の私のコメントを、「全柔協の上田孝之氏にお伺いした」との記述によって紙面の13ページに載っていた。内容を紹介すると、「少し先のこととはいえ、療養費については今後どうなるのか。そこで、療養費などに詳しい、全柔協の上田氏にご意見を伺った。“医療保険のマイナンバーへの導入は2年後とされています。実際に、医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会(医療等分野番号制度研究会)で議論が進んでいます。一方、療養費に関しては具体的な動きは見られないので、まだ何も決まっていないのは確かでしょう。これを機に、厚生労働省内で療養費制度そのものについて検討したいと考える声が出ても不思議ではありません。療養費は患者さんのためのものです。将来的にマイナンバーが療養費の書式に組み込まれる際は、患者さんの負担にならないよう、業界として、今から厚生労働省と協議しておくことが必要ではないでしょうか。”」というものである。現状においては患者のマイナンバーは治療院においては情報入手は「不要」。もっといえば、患者さんのマイナンバーをもらってはダメ。現状では何も決まっていないからだ。ようやく医療保険の資格要件の確認作業の検討が始まったばかりだ。平成27年10月20日付に実施された「療養費に係る非公式意見交換会」で議論されることを期待したが、何らの検討もされないどころか、議題にすらあがらないのが現状なのだ。

           
by ueda-takayuki | 2015-12-08 16:01

日本国土開発健保組合の患者回答を求める書面や広報紙面に抗議する

日本国土開発健康保険組合に対し、当方から抗議の意味を込め疑義照会し、書面にて回答を求める取り組みを行ったことを報告する。
保険者が行う接(整)骨院の受診についての被保険者対応の広報活動のあり方について疑義があるということだ。この度、日本国土開発健康保険組合が柔道整復施術を受けた患者に対し「接(整)骨院の受診について」と題された広報活動を実施されるとともに、接(整)骨院受診についての問合せをされ、あわせて貴健保組合の作成による「整骨院・接骨院は病院ではなかったの!?」と題された周知徹底書面により、柔道整復施術療養費に対する患者への啓蒙活動を実施されていることが明らかになっている。この一連の対応は、保険者が行う保健事業の一環としての適正化の観点から実施されることは理解しているのだ。
 しかしながら広報誌としての書面作りにおいてはページ数があまりにも多く、同様の主旨を繰り返されることが散見されることから、患者が柔道整復施術を受療することに対し悪い印象を持ち、かつ量的ボリュームが多いことからも、まるで「整骨院に行くことは悪いこと」との印象を強く誘引される作りになっているように見受けられることから、疑義を申し述べるものである。
 また、健保組合の今般のこの対応については、健保組合に所属する被保険者並びに患者から、私共協会会員である柔道整復師に直接文書の内容に関してのクレームが寄せられていることをよく考えてもらいたい。
このことから以下の7点につき疑義の具体内容を示すこととしたので、それぞれについて回答を求めることとして、通知した。

1.部位転がしでないにもかかわらずそれを印象付ける書面作りについて
 部位転がしが疑われる患者について広報されるのは理解できるが、本件については全く部位転がしが疑われる請求事例ではないにも関わらず、同一書面の記載により連絡をされているではないか。年に数回の急性における外傷性疾患を治療する場合においては、年に何度かしか治療しないのは当然だ。
 にもかかわらず長期にわたる部位転がしをイメージする『定期的な身体ケアや体調調整の為の受診』と考えられる、などと一括して述べられることは、個別の患者の実態に必ずしも全てに当てはまるわけではないのだ。このことから、柔道整復施術を受ける全ての患者に等しく部位転がしを疑うような記載については強く抗議するものである。

2.本件書面は明らかに柔道整復施術の受診抑制になること
 健保組合の取り組みの書面の記載によれば、柔道整復施術療養費が保険料の無駄遣いであり、適正な支給にあたらない案件であるという悪意かつ意図的な解釈が見受けられるのだ。例として、接(整)骨院受診経緯の回答届の様式、「原因はわかりますか?」の箇所に着目した場合、あえて1~6まで先に保険対象外である事例を並べたうえで、最後の7だけに保険適用ができるものを並べてある。
 すなわち、7だけが保険対象であって、後はすべからく療養費の対象外となるものを列挙し、保険対象該当をあえて7として○を付けさせるという仕様だ。1~6までには○をしやすく、これをもって自動的に返戻理由を構成することが意図的に行われている。

3.健保組合の患者照会は患者にとって煩雑すぎる疑いがあること
 健保組合の文書照会の書面構成は、総合的に試験問題に対する解答を求めるようなものであり、回答するにあたり被保険者におかれては多大な負荷が発生することが容易に推察される。これもすなわち柔道整復治療の受診抑制に直結するものと憂慮する。

4.「整骨院・接骨院は病院ではなかったの!?」と題された書面構成について
 この書面中、いくつかの表現において意味不明な点がある。ここではその一つ一つについて疑義を申し述べることは割愛するが、例えば「接骨医、整骨医、ほねつぎなどとも呼ばれる」の一文を見ても、ほねつぎは厚生大臣(当時)が指定する事項として、柔道整復師法第24条第1項の四に規定される厚生省告示第70号により認められているのだが、接骨医・整骨医と呼ばれていることは私共としては与り知らないところだ。柔道整復師が医師ではないことを、ここでこのように強調する必要性がどこにあるというのか。
 また、5ページの6右下部のまた書きのところですが、何の基準をもってどちらか一方の整骨院でしか保険が使えないと主張しているのか説明を求めたい。この場合、日本国土開発健保組合としては先に受診した整骨院を優先するのかどうか、基準を示さない中でこのような表現は患者に混乱をもたらすだけである。この点においては、国は何らの基準も定めていないにもかかわらず保険が使えないと主張している根拠を示してほしいのだ。

5.審査請求の取扱いについて
 当該書面においても日本国土開発健保組合は不支給の決定に不服である場合に、社会保険審査官に対する審査請求を案内していることは評価できる。
 しかしながら当協会会員が施術を行った患者に係る審査請求が、実際に関東信越厚生局社会保険審査官宛てに提出され、当協会の会員が治療した柔道整復施術に係る健保組合の不支給決定処分が行政の判断により「健保組合の原処分は妥当ではなく、取り消さなければならない」との決定がなされたことは記憶に新しいところ。日本国土開発健保組合の誤った事務処理を行政が指摘したうえで、健保組合はこれに従ったということであれば、今後も同様なことを繰り返すということを主張しているのかについて、日本国土開発健保組合の基本的な考え方を明らかにしてほしい。これ以上柔道整復師に対し明確な理由もなく嫌がらせを続けるのであれば、当方は患者の協力を得て審査請求を継続していく。社会保険審査官から注意されても、なお柔道整復施術療養費の支給を阻むのはなぜなのかを明らかにすべきである。

6.厚生労働省4課長通知で示された案文を参考にしていただきたいこと
 健保組合が今回実施された患者照会の照会文書並びに患者宛の広報周知文書は、その記載内容から考えると行き過ぎであることを縷々述べてきた。療養費の適正化の観点から不正請求を許さないという健保組合の姿勢は当然であり、その基本スタンスを私共も尊重し協力でき得る範囲で対応することはやぶさかではないのだ。
 例えばこのような対応ではなく、平成24年3月12日付厚生労働省保険局4課長連名通知で示された適正化方策としての様式例1及び別添3-1、別添3-2を広報活動に使用するなど、ルールに基づいた対応をしてもらいたいだけである。

7.患者の署名を求めることについての現実的な対応について
 健保組合の広報文書によれば、患者署名を求めるタイミングについても言及し、患者自身が施術内容等記載内容をよく確認してから署名するよう指導しているようだが、このことについて当方の見解を述べる。
 平成24年3月12日付厚生労働省保険局担当4課長連名通知の中で「療養費支給申請書の内容(負傷原因、負傷名、日数、金額)をよく確認して、署名または捺印する」とあることから、このような注意喚起をされることは理解はできる。
 しかしながら実際の運用として、月の最終来院日に署名を求めることは困難である。月の最終来院日がいつになるのかは不明であり、中には初検で来院したその日以降通院しない患者も、事実存在するのだ。このことは内閣参質168第15号の質問主意書に対する政府答弁書の中で「柔道整復師の施術所への来所が患者により一方的に中止される場合があること等から、患者が来所した月の初めに署名を行い、当該申請書を作成する場合もあることは、厚生労働省としても承知している」とあるように、厚生労働省としても認識されているところ。ちなみに当方においては、施術部位が記載された領収証を発行するなどし、患者に療養費支給申請書の内容を確認させることで、厚労省通知の主旨にも従うこととなるよう運用している。このことから、健保組合が被保険者並びに患者に対し啓蒙している署名の方法は現実的には対応が困難であり、被保険者並びに患者の混乱を招く恐れが濃厚である。
                       
by ueda-takayuki | 2015-12-02 16:02

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