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大阪府国保連の支払変更に対し全柔協としての反論意見書を作成し発出した

大阪府国民健康保険団体連合会から、療養費の支払事務処理を変更し、振込通知書や施術所別支払額内訳書の様式を変更したことの事務連絡が、平成27年2月17日付であったところ。大阪国保連の担当が当協会まで説明にきたとのことである。これは、今後の外部委託点検業者が行う患者調査結果を受け「返戻対応」した支給済療養費を過誤調整として他の世帯主分の療養費で「相殺処理」した国保の取扱いを、後期高齢者医療分にも展開し、さらに、国保分と後期高齢者医療分を支払処理上ごちゃ混ぜにして、国保返納分を後期高齢者医療支給分で相殺処理したり、逆に後期高齢者医療の返納分を国保支給分で相殺できるようにすることで、一方の支給額が足りなくても、他方で相殺できるように考えられたものと驚いている。全柔協としてこれには反対であることを反論意見として書面交付しておく必要があるので、作成した。これは、後期高齢者医療広域連合にも周知徹底させなければならないと考え、大阪府国民健康保険団体連合会理事長宛てと、大阪府後期高齢者医療広域連合長宛てに、それぞれ発出した。広まる相殺処理問題が、ついに後期高齢者医療にも飛び火したということであり、恐ろしいことだ。私が作成した書面内容はほぼ同じなので、ここでは大阪府国保連に発出した反論意見書を参考までに掲載する。

柔道整復施術療養費の支払変更についての反論意見書

平素は柔道整復施術療養費の取扱いにつきまして格段のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、平成27年2月17日付事務連絡をもってご案内いただきました「柔道整復施術療養費の支払の変更について」で示された事務処理につきましては、大阪府国民健康保険団体連合会において、平成27年4月支払分から国民健康保険と後期高齢者医療の確定金額を合算して振り込むことに伴い、当座口振込通知書及び施術所別支払額内訳書を様式変更し、「支払額合計」欄を新たに追加するとされております。
全国柔整師協会(以下、「当方」という。)が、現在大阪市を始めとする保険者の柔道整復施術療養費の支払いにおいて、過誤調整の名のもとに行われる相殺処理(同一施術所における支払分に係る差し引き支給)が認められないことを理由として、国保世帯主が原告となって大阪市長を相手取って提訴した平成26年(行ウ)第37号 療養費支払請求事件として、現在大阪地方裁判所に係属する訴訟事案を完全に無視することになります。当方が本件訴訟における補助参加人に認められていることから、管下国保保険者の支払分以外に、後期高齢者広域連合の保険者が支給すべき支払分にも合算して相殺処理を実施するとの意思表示であり、相殺処理の違法性を争っている事実を無視した一方的な事務処理であることから容認できません。
この新たな事務処理のご提案は、民事訴訟事件の補助参加人として相殺処理の違法性を保険者と争っている立場として、後期高齢者医療にまで相殺処理を認めることはできません。
また、この支払変更により、国民健康保険の療養費と後期高齢者医療の療養費とを会計処理上も混同させる事務処理まで含んでいるのであれば、これも認められません。すなわち、過誤調整として自動的に差し引きを行う相殺処理にあたり、国民健康保険の療養費の返納分を後期高齢者医療支給分で差し引くことや、後期高齢者医療の療養費の返納分を国民健康保険支給分で差し引くことを前提としているのであれば、この点についても異議を唱えます。

以上のことから、これらの支払いを合算表記する旨の事務処理変更が認められない理由を下記のとおり明らかにし、反論としての意見を申し述べますので、ご再考のほどよろしくお願いいたします。

                   記

1.国の運用通知に見る柔道整復施術療養費の取扱い
国民健康保険及び後期高齢者医療の適用の対象者である患者が柔道整復施術を受けた場合、当該柔道整復施術に係る費用については国民健康保険法第54条及び高齢者の医療の確保に関する法律第77条において「療養費」として現金給付の対象となっています。療養費の支給申請にあたっては、療養費支給申請書に国民健康保険法施行規則第27条及び高齢者の医療の確保に関する法律施行規則第47条にある事項を明記する他に、実際の療養費支給申請の事務にあたっては、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の一部改正及び受領委任の取扱いの改正について、平成25年4月24日付保発0424第1号及び保発0424第2号をもって厚生労働省保険局長から通知され、これを受けて、その取扱いについて「柔道整復師の施術に係る療養費について」保医発0424第1号の厚生労働省保険局医療課長通知が示されているところです。
 国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律によれば、療養費は被保険者の属する世帯の世帯主及び被保険者が申請し、国保の保険者は世帯主に、後期高齢者医療広域連合は被保険者に対し保険給付決定を行います。保険給付決定は個別申請ごとにあくまで被保険者の属する世帯の世帯主及び被保険者に対し支給決定されます。柔道整復師が施術した柔整療養費が特段の問題もなく保険給付決定され、この何らのトラブルもなく支給された療養費について、別途、保険者が独自で又は外部委託点検業者との業務委託契約に基づき行われた患者照会回答と、支給済みの療養費支給申請内容との相違点が生じているものについて、返戻を行った支給済みの柔整療養費分を他の患者に係る療養費支給申請分の保険給付金をもって「相殺処理」を実施するのであれば問題があると考えます。これは、法令上における療養費の取扱い上、明らかに誤った事務処理であるからです。

2.相殺についての運用と解釈について
(一)平成25年2月28日付最高裁の判例でも明らかなように、自働債権と受働債権が相殺適状に合致していなければならず民法505条1項は「双方の債務弁済期にあるとき」と規定しています。つまり、相殺にあたっては現実に弁済期が到来していることを要します。
(二)また、柔道整復施術療養費を柔道整復師の債権と勘違いされる保険者も一部にはあるかもしれませんが、平成18年5月16日付で判決のあった兵庫県国民健康保険団体連合会が被告となった損害賠償請求訴訟の裁判では、その判決のなかで、「柔道整復師については医師と異なり保険請求権は認められない」、すなわち療養費が柔道整復師の債権ではないとの判決が確定しています。
つまり、医師等の療養の給付と同じ様に解釈し、療養費を柔道整復師に帰属する債権として相殺することはできないのです。
(三)そもそも過誤調整とは厚生省老人保健福祉局長と厚生省保険局長との連名通知(平成11年10月20日付 老発第682号 保発第144号)が発出されたとき、この局長通知で新たに示された別添2 受領委任の取扱規程 第4章 療養費の請求の22(申請書の送付)において、

柔道整復師は、申請書を保険者等毎に取りまとめ、様式第6号及び様式第7号又はそれに準ずる様式の総括票を記入の上、それぞれを添付し、原則として、毎月10日までに、保険者等(健康保険組合を除く。)の所在地の都道府県知事若しくは国民健康保険団体連合会(24により国民健康保険等柔道整復療養費審査委員会が設置されている場合に限る。以下「国保連合会」という。)又は健康保険組合へ送付すること。
と運用変更されたことから、従来までは、まず保険者に申請書を送付しその後保険者から国保団体連合会に回送して内容を審査し、再び保険者で記号番号等の適用要件と算定料金、記入モレや負担率相違等の事前点検をして保険者で支給決定していた方法を改め、既出の老発第682号・保発第144号通知に従い、療養費支給申請書はまず国保連合会へ提出し、内容審査と支給決定をした後で各保険者に回送され、事後点検されることになったところです。
つまり、保険者は審査会の審査後に前記の適用要件(資格の得喪・被保険者証の記号番号相違等)や算定料金誤り、記入モレや負担率相違等の点検後に支給決定をすることになりました。
そこで事務処理上必要になったのが「過誤調整」であり、当然不備であれば返戻の対象となるものです。そうすると、過誤調整とはそもそも国の通知により事前審査から事後審査となったために発生したものであって、前記の適用要件(資格の得喪・被保険者証の記号番号相違等)や算定料金誤り、記入モレや負担率相違等に係る事項がその対象となります。
このことから、患者照会の結果による相違点等を過誤調整による相殺処理としてはならないと考えます。古い通知ではありますが柔道整復師の施術録の取扱について、厚生省(当時)保険局医療課長通知(昭和31年8月1日付保険発第140号)によれば、「給付支給事務取扱上は一々保険者において施術録を調査した後でなければ支給を行ってはならないという意味ではなく、疑わしいものについて調査を行う場合を予想し」とあることからも分かるように、患者照会後でなければ支給決定してはならないというものではなく、すみやかに支給決定し、後で疑義が発生した場合には、返金、不正等々の対応をするということです。この取扱いの中には不正請求案件等も含まれており、保険者にとっても施術者団体、そして被保険者の三者にとっても看過できません。このやり方であれば不正請求を揉み消すことにならないでしょうか。
 (四)保険者が行う患者調査は慎重に行われる必要があることは言うまでもありません。このことについては、同じく厚生省保険局長通知(昭和54年1月26日付保文発第29号)により、「健保組合から通知された医療費の額に不審な点・疑問な点があるような場合であっても、これをもって直ちに不正があるとはいえず、さらに厚生大臣又は都道府県知事以外の者が患者に対し調査権限を行使することはできないので、その取扱に当たっては十分な配慮が必要である。」さらには、「医療費の通知についても、病名及び診療内容に係る事柄は一切記入しないこととすべきであり」等、患者への照会及び通知にあたっては、慎重を期すことが求められています。
(五)患者・被保険者と施術者との治療事実の認識の相違については当事者の一方(患者・被保険者)の主張だけを採用し、他方(施術者)の主張を聞かずに「相殺」と称して、全く別人である他の被保険者の属する世帯の世帯主に帰属する保険給付を支給しないことは、現物給付及び現金給付という保険給付を行うことを被保険者に約束している国民健康保険法の趣旨にも反し、併せて柔道整復師にとっては精神的及び経済的に大きな損害を受けることになります。柔道整復師が相殺事案について患者さんに確認をとったところ、実は患者さんの単なる勘違いであったことに基づく回答であったことが判明した結果、多数の再請求が提出されることになるのは当然です。
被保険者や柔道整復師の財産を当事者の了承なしに保険者が一方的に処することがはたして可能なのでしょうか。明らかに財産権の侵害になると考えます。
    そもそも、国民健康保険法第67条及び高齢者の医療の確保に関する法律第62条により「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない」のです。このことから、保険給付の現金給付としての療養費に担保、質権の設定も法で禁止されており、当然「相殺」も認められないのです。

3.結 語
 縷々述べたように、支給済みの療養費支給申請書を「調査結果」により患者の申し出と申請内容が一致しないことを理由として返戻し、その返戻分の療養費相当を同一施術所が得られるはずの他の世帯主分の療養費で相殺処理することが認められないことを主張するのです。
 この点につきましては繰り返しになりますが、現在大阪地方裁判所に係属する民事訴訟事件として被保険者の属する世帯主が原告となり、大阪市長を相手取った裁判で争われており、当方も当該訴訟の「補助参加人」として訴訟に携わっていることを、念のため申し添えます。                     
by ueda-takayuki | 2015-02-26 15:33

長野県国保連は左骨盤骨骨折の後療と腰椎捻挫は近接部位だというが本当か

長野県国民健康保険団体連合会から左骨盤骨骨折の後療実施と腰椎捻挫が近接部位にあたるとして不備返戻されたが、近接部位なのだろうか。
 しかし、前回請求分については問題なく支給されているのだ。審査の整合性がない。また、施術者は摘要欄に記載のある通り、保険医より骨折後療の同意を得たうえで医師の同意のもと後療を行ったところであった。当該骨折後療実施と腰椎捻挫が近接部位のために算定が認められないというのであれば、認められない根拠をお示し願いたい。国が定めた近接部位の算定基準では、左骨盤骨骨折に係る後療の実施と腰椎捻挫が近接であると判断しうる記載が認められないので困っている。長野県国保連合会が審査会の判断として、これらが近接部位であることから算定できないとするならば、その根拠を書面により明らかにしてほしい。当方としては、それをもって会員指導することになる。現段階においては、単に返戻付箋により近接部位との表記のみであり、なぜ近接部位と判断されるのかの具体的な記載がない。再度返戻されるのであれば、医科学的な判断に基づき、なぜ近接部位にあたるのかの説明をお願いしたい。近接部位の算定基準で判断できないものを認めないとするのであれば、近接部位と判断した医科学的理由や取扱い上の根拠などを明示していただかないと、私も会員指導ができないので困ってしまう。そもそも、長野県国保連が近接部位と判断したのなら、そのことを保険者へ連絡して一部不支給決定の起案を促すのが仕事ではないのか。「近接部位と判断」したのに、なぜ施術者に返戻するのかが私には分からない。
by ueda-takayuki | 2015-02-26 11:13

名古屋市も過誤調整の名のもとに相殺処理を実行するという

名古屋市健康福祉局保険年金課から、支給済の療養費について施術内容確認の結果、療養費支給申請書の申請内容と患者回答との相違により疑義が生じた事例について連絡があった。連絡内容は「申請内容と疑義が生じていることが確認できたので、支給申請書を返戻します。」というもの。しかしながら施術者において施術録等を確認したところ、負傷原因等を確認したうえの施術であり間違いはなかったため、再請求の対応について訊ねたところ、再請求は難しいという主旨の回答だったということである。また、返戻するとされた対象期間についてもその理由が曖昧であり、何を根拠にその期間分を返戻すると決定されたのかがよくわからないものだったとのことであった。どのような方法で行われた患者照会であるか、また患者がどのような回答をされたのかの具体的な提示もなく、被保険者の言い分のみを尊重し、実際に施術を行い施術録にもきちんと治療内容の記載を行っている柔道整復師の言い分を無視する事務処理は認められないことから、強く抗議するものである。支給済の療養費支給申請書を一方的に返戻し、再請求ができないと仄めかす電話による取り組みは明らかに不当・失当だ。患者回答と申請内容に相違があると判明し疑義が生じたのであれば、返戻するのではなく、施術者に対し書面により照会を行えばよいのではないのか。また再請求が認められない、支払えないと決定されるのであれば、不支給決定または一部不支給決定とすべきである。以上のような失礼千万な連絡を施術所に対し行っている実態について、どのように弁明するのか。過誤調整の名のもとに実施される調査事案に係る相殺処理が全国の国保連の仕切りで各市に波及している。柔道整復療養費を根絶やしにする危険性が強い。この相殺問題は今後、後期高齢者医療広域連合分にも波及することが必至であり、事実、大阪府国保連はそのための事務処理変更の事務連絡まで発出している。私どもは早速、見直しを求める文書を作成し、反対の意思表示を行うこととしたが、他団体や個人柔整師は何の動きも見せていない。事の重大さに対する危機感が欠如していると思う。
by ueda-takayuki | 2015-02-26 11:11

平成医療専門学校にて大阪鍼灸マッサージ協同組合の説明を行う

平成医療専門学校に赴き、はり師・きゅう師の国家試験を終えたばかりの3年生に対し、大阪鍼灸マッサージ協同組合として業界団体の説明を行い組合員の獲得に向け積極的に勧誘活動を行った。業界団体への会員獲得に向け説明をしたということだ。皆さん好意的な対応をしてくれた。たくさんのご加入を期待している。
by ueda-takayuki | 2015-02-24 12:27

東洋医療臨床技術大学校アカデミーで講義を担当した

「第6期東洋医療臨床技術大学校アカデミー」にて講演を行った。主催者側から本音トークでお願いされたので、遠慮なく好き勝手に話した。話は皆さんの興味をひいたらしく、好評であった。その場で来年も来てほしいとの依頼を受けた。鍼灸の療養費は使い勝手が悪いが、患者さんのためにも保険を取り入れて施術していただきたい。
by ueda-takayuki | 2015-02-24 12:25

香川県国保連の柔整審査会の不備返戻に対する緊急対応打合せに参加

高松駅前の会議室で行われた香川県の会員への国保連審査会が行う大量の不備返戻対策の緊急保険会議に参加した。私は東京羽田から朝7時35分の空路で赴き、会員の再請求に当っての反論文書の作成を助言した。懇切丁寧に対応させていただいたところ。2名のうち1名は裁判の原告になるとの約束をしてくれたのはとても嬉しかった。香川県国保連の柔道整復審査委員会の理不尽な対応が改善されないのであれば、大阪市国保の相殺問題に続いての訴訟事件となる。毎年大量な訴訟事案を抱えているが、話し合いで決着を見ないのであれば仕方がないことである。
by ueda-takayuki | 2015-02-24 12:23

私のブログの読者の大半は保険者だという

私は柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師という療養費を取り扱う施術者にこのブログを見ていただき、保険取扱いの参考にしていただきたいのだが、残念ながら施術者の方々よりも、保険者の方が圧倒的に多いのが実態である。私の思いとは異なり、保険者や行政の方が多く読まれているというレポートがありました。無視されるのではなく、読んでいただいているのはありがたいのであるが、何かしら「敵に手の内を明かす」ような気もする。そうすると、なかなか積極的になれないのが実態ではある。
by ueda-takayuki | 2015-02-23 15:21

民事調停を視野に入れた内容証明郵便を発出しました

2年以上の長期にわたり患者からの回答がないことをもって療養費の支払いを保留し続けている全労済健保組合に対し、弁護士より内容証明郵便を発出した。健保組合側に誠意が見られないのであれば、民事調停に移行することとしている。また、香川県国保連合会の柔道整復審査委員会が審査結果を保険者に通知せず、単に施術者又は施術者団体に不備返戻の名のもとに大量に差し戻し、実質的には保険者が行う支給決定事務を妨害し療養費支払いを拒み続けている問題も、弁護士より柔道整復審査委員長あてに内容証明郵便を発出した。取り急ぎ民事調停をすることとしているが、解決できない場合には裁判になることも視野に入れて通知書を発出した。
by ueda-takayuki | 2015-02-23 15:15

千葉県国保連合会の医療助成費にも負傷原因記載を求める件について

千葉県国保連合会が業務委託を受けている管轄下の市の給付金である医療助成費(乳幼児)の公費負担分について、負傷原因が書かれていないことをもって返戻されたことにつき、千葉県国保連側が医療助成費分の支給申請書にも負傷原因記載を求めることに対し、当方役職員との面談を求めていた件について、千葉県から千葉県国保連合会に連絡があり、今後は負傷原因が「本体記載済」でもそのまま審査を行うようにとの指示があったとのこと。このことから、全面解決となったので面談の必要性がなくなった。千葉県が当方の考えを理解されたということだ。
by ueda-takayuki | 2015-02-12 12:32

東京都洋菓子健保の不支給を取り消しさせた

東京都洋菓子健保組合が家族療養費を不支給処分にした件の審査請求の決定があり、上田が審査請求代理人となって柔道整復師の療養費を不支給処分にした、東京都洋菓子健保の不支給処分が取り消された。当方の主張が全面的に採用され、支払われることになる。社会保険審査官は決定書の中で不支給処分を取り消す理由として、「柔整療養費支給申請書の負傷部位と、患者の回答における負傷部位が明らかに矛盾しているまま、健保組合はこの矛盾点について確認することなく、柔整療養費申請書と患者の回答の矛盾があることのみを捕らえて不支給処分を行ったばかりか、患者の回答以外に不支給の根拠を明らかにしていないので、不支給が適法に行われたと認めることはできない」と判断してくれた。患者の言い分のみで返戻をし、柔整師の言い分を聞かずに相殺処理をする現況は、出るところに出ればことごとく論破できることが立証されたわけで、この審査請求に勝った意味は大きい。健保組合に限らず、審査会や国保連でも患者の回答のみを真実と認め、これに一致しない療養費支給申請書を「不備」と決めつけることが明らかに誤っていることを、社会保険審査官はきちんと判断されている。社会保険審査官に上田が審査請求代理人として被保険者・世帯主の委任を受けて審査請求した事件は、その大半が当方の主張が通り「原処分を取り消す」となる。そうすると、保険者は不支給処分をせず、審査請求をされないように、執拗に「不備返戻」を繰り返し、返戻に終始することになる。そんなに柔整や鍼灸マッサージが憎いのか。療養費に対する保険者の動向が医療費高騰に直結している事実を保険者は何も考えない。不思議である。参考までに、今回不支給を取り消ししていただいた事件の、当方の論理構成を参考までに掲載する。
別 紙
審 査 請 求 の 趣 旨 及 び 理 由
第1 原処分の判断及びその誤り
本件は、東京都洋菓子健康保険組合(以下、「健保組合」という。)の被保険者である組合員(以下、「請求人」という。)の被扶養者が、平成26年5月から平成26年7月までの3か月の期間に係る施術分として、柔道整復師の行う腰椎捻挫・左膝関節捻挫及び左背部挫傷・右膝部打撲に係る治療に関する施術を受け、身体に具体的に発生している捻挫等の疼痛緩和や捻挫等自体の治療にあたって、柔道整復師(以下、「施術者」という。)の施術を受け、その費用の支払いにつき柔道整復施術療養費の支給申請を行ったところ、保険者である健保組合が「柔道整復施術療養費支給申請書に記載の内容と、負傷原因等回答書に記載のある本人からの申告と一致しないため。また、負傷原因等回答書から、健康保険の療養費の支給対象となる、急性または亜急性の外傷性の打撲及び捻挫以外で受診した場合、保険証を提示してかかることはできません。」との理由により不支給決定処分をし、被保険者である請求人に対し、不支給通知書面をもって、3か月分の療養費支給申請書につき、併合して1件として不支給決定処分を通知したものである。
すなわち、捻挫等に係る疼痛、圧痛、発赤、熱感、腫脹及び機能障害等に対する当該捻挫等の治療にあたって、柔道整復師の施術を受け、その費用につき療養費の支給申請を行ったところ、保険者である健保組合が療養費の支給対象である「急性もしくは亜急性の外傷性の負傷」と認定することができないことを理由に、療養費の支給対象とは認められないと判断し、このことをもって不支給処分とされたことに対する異議申し立てとしての審査請求である。
患者が柔道整復施術を受けた場合、当該柔整施術は健康保険法第87条において「療養費」として現金給付の対象となっている。療養費の支給申請にあたっては、療養費支給申請書に健康保険法施行規則第66条にある事項を明記する以外に、厚生労働省保険局長及び同局医療課長の発出する運用通知により、受領委任の取扱いが契約として認められており、現金給付ではあるものの、実際は施術者である柔道整復師が療養費の受取人となっている。
これらの運用上の取扱いを受け、現在の運用は平成9年4月17日付保険発第57号厚生省保険局医療課長より発出された「柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項」最終改正平成25年4月24日付保医発0424第1号(以下、「留意事項」という。)により、療養費の支給事務に関する取扱いの詳細が整理され、事実この厚生労働省保険局医療課長通知により、各保険者が全国一律の療養費支給決定事務を実施しているところである。
留意事項の第1 通則 5により、「療養費の支給対象となる負傷は、急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。なお、急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉離れをいい、挫傷を伴う場合もある。)については打撲の料金により算定して差し支えないこと。」6により、「単なる肩こり、筋肉疲労に対する施術は、療養費の支給対象外であること。」さらに、7により、「柔道整復の治療を完了して単にあんま(指圧及びマッサージを含む。)のみの治療を必要とする患者に対する施術は支給対象としないこと。」と、療養費の支給対象について記載されている。この留意事項は、厚生労働省保険局医療課長という療養費の取扱いについては全国の保険者に取扱いに係る運用上の留意事項を明らかにするとともに、療養費の事務取扱の適正化及び統一化を周知・徹底させることを目的とする行政庁からの通知であることから、この課長通知で指し示された柔道整復施術療養費の支給対象として、本件負傷が認められるかどうかが争いの論点であることは言うまでもないが、さらに特筆すべきことは、不支給処分とした唯一の証拠が、患者からの回答として入手したという「負傷原因等回答書」の記載のみであることに着目する必要がある。すなわち、健保組合は保険者業務としての何らの事実確認や実地調査も行わず、患者回答の記載内容をもってのみ処分決定していることに対し、請求人は驚いているのだ。
請求人は療養費の算定基準に照らし合わせた場合には、当該治療行為が当然保険で施術を受けられるものであるのを健保組合が保険対象と認められなかったことに対し納得できないということである。すなわち、保険が認められなければ、施術に要した費用のうち、一部負担金として既に支払い済みの額を除いた額である療養費相当額を請求人が別途、柔道整復師あて自費扱いにて支払いをしなければならず、請求人において金銭的な損失が発生するからである(平成25年4月24日付保発0424第2号 別添2 労働省保険局長通知の受領委任の取扱規程第6章32)。
 健保組合が患者あてに通知した別添1「柔道整復施術療養費」不支給決定通知書によれば、不支給と決定した事由が、「申請内容と負傷原因等回答書の本人申告が一致しないため」と、留意事項に定めのある「急性又は亜急性の外傷性の打撲および捻挫」と認定することができないためであるということだ。療養費の支給対象とは認められないことから不支給とされているということがその論旨である。しかし、どうして急性又は亜急性の外傷性の打撲および捻挫とは認められないのかの判断は一切明らかにされていないし、現在までも申請人に対し具体的な説明も行われていないのは、先に述べたとおり、不支給理由が患者からの回答書面の記載のみに終始しているからに他ならない。
請求人は自らが患者として治療を受けた負傷が、療養費の保険対象であることを主張して、あくまで健保組合が不支給決定した原処分の判断が、国である厚生労働省保険局の運用通知である留意事項の解釈、適用を誤ったものであることが明らかであり、原処分の破棄を免れないことを主張することから、原処分の不支給決定処分の取消しと、併せて、当然のことながら速やかに療養費が支給決定されることを求めて、関東信越厚生局社会保険審査官に審査請求書を提出するものである。
 以下、詳述する。

第2 国の通知による支給対象の趣旨
 健保組合の原処分は、「柔道整復施術が保険適用となる、急性又は亜急性の外傷性の打撲および捻挫とは考えられない。つまり外傷性の負傷ではないため支給対象とは認められない」と患者回答をもって安易に判断し、療養費の支給基準上、支給対象外であることから不支給処分とされている。患者回答は健保組合がこれを受理した日付から考えるに初検日より3か月も経過したものであり、患者の記憶も大幅に薄れている段階で回答を得たものである。結果としては、次項第3 患者申告書による事実確認 の内容にあるとおり、他院での受診内容を誤って回答したものであって、施術者から受けた施術については、療養費支給申請書の申請通りであることを、請求人である被保険者が被扶養者である患者に聞き取り聴取し、その事実をもって書面にしていることからも明らかである(別添2参照)。
健保組合の不支給通知書には「急性または亜急性の外傷性の打撲および捻挫」とあるが、厚労省の課長通知では先にも触れたように「急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれないこと。なお、急性又は亜急性の介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉離れをいい、挫傷を伴う場合もある。)については打撲の料金により算定して差し支えないこと。」とされているものである。

第3 患者申告書による事実確認
請求人は患者である被扶養者に聞き取りを行い、負傷原因等回答書にどのようなことを回答したのかを事細かに確認作業を行った。そうすると、次の点が判明したので、それを患者申告書として書面にしたものである。
これによると次の事実が記載されている。
①提出済みの負傷原因等回答書は他院での受診に係る内容と勘違いして、誤って記入してしまったこと。
②今回不支給処分となったたかつ接骨院には療養費支給申請書の申請通りの治療を受けたこと。
③負傷の原因は、腰椎捻挫と左膝関節捻挫の原因としては「重いものを持って運んでいるときに重さに耐えきれずにバランスを崩したときにねじった(※被扶養者であることから労災事故を議論する必要性自体が存しない)」。また、左背部挫傷と右膝部打撲の原因としては「自宅で掃除中にコードに躓いて転んだときに痛めた」と、いずれも明らかに外傷性の負傷原因を述べているとともに、具体的に施術者から施術を受けた治療方策についてまで明らかにしている。
実際に患者に急性又は亜急性の外傷性の疼痛が「症状」として現出していたことは明白である。それを不支給処分にするには、請求人の訴えている症状は急性又は亜急性の外傷性の捻挫、挫傷、打撲ではないことを明確に立証したうえで不支給処分とすべきである。施術が長期にわたることをもって、おそらくは慰安行為に係るマッサージを受けたものであろうとか、単にリラクゼーションの一環であって治療ではないだろうとの憶測・推量で不支給決定したのであろうか。よくわからないが、治療を受けたことを請求人は書面で明らかにしているうえ、次項第4 施術者意見書 として施術者も治療行為であったことを明らかにしているのである。

第4 施術者意見書による事実確認
 施術者意見書によれば、負傷原因、負傷日時、施術回数、施術部位施術した療法、患者の症状等が記載されており、これは請求人が患者に確認して申告した内容と、併せて療養費支給申請書により保険請求した記載内容とも合致しており、何らの齟齬もない。健保組合は何を不支給理由として採用したのか、請求人には理解できない。
 そうすると、本件不支給処分にはその理由がない。

第5 不支給処分の不当・失当は明白
 既出で述べた保険対象と認められる亜急性を議論するまでもなく、本件は請求人及び施術者が、被扶養者である患者の具体的な負傷発生の機序について明確に書面にて述べている。これは、負傷部位や施術回数を含め、健保組合が不支給理由とされる内容と著しく相違していることが明白であると言える。

第6 施術者の説明による請求人の腰椎捻挫等の症状に対する対応等について
実際に施術を担当した柔道整復師である施術者は、健保組合からの「増減金額のお知らせ」を受け、そこに記載されている理由に対する施術者意見として負傷部位の状況等について、負傷原因等に関する書面を作成している。これによれば、それぞれの負傷の原因や治療が判断できることはすでに述べたとおりである。どれをみても、どれを取り上げても外傷性の負傷を患者が訴えていることから、療養費の支給対象として施術を行ったことについて、健康保険法上で許容されている療養費の算定基準を満たしたものとしての施術者の判断には、何らの齟齬・欠陥・失当は見当たらないというべきである。健保組合はこれらの実態をまったく無視し、他院の受診内容と勘違いして誤った回答をしてしまった書面を唯一の証拠と採用したうえで、「外傷性の打撲および捻挫以外で受診した場合、保険証を提示してかかることはできません。」などと、身勝手な推論・推察のもとに「急性又は亜急性の外傷性の捻挫等とは考えられない」と結論付けたものであることが明白である。こんなことは推察の域を超えないものであり、請求人に対しても患者に対しても、また施術者に対しても何らの具体的説明ができないのであろう。

第7 結論
以上のとおりであるから、東京都洋菓子健康保険組合の不支給決定という原処分には柔道整復施術療養費の支給対象としての運用上の判断に明らかに誤りがあるものと認められ、当該運用通知解釈上明らかに不当・失当である。また、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準や具体的に柔道整復施術の受領委任の取扱いの対象を明記した厚生労働省保険局医療課長通知による留意事項の運用上の解釈にも、当該健保組合の運用は齟齬・欠陥があるものと言わざるを得ない。 
健康保険法第87条及び健康保険法施行規則第66条に定めのある療養費の規定上において、併せて、厚生労働省保険局長及び同局医療課長が柔道整復施術療養費の運用上の取扱いとして通知した関係諸通知の取扱いに鑑みた場合、当然のことながら当該療養費は支給される要件を満たしているものと解するべきである。
したがって、原処分は破棄を免れず、審査請求人の請求は認容されなければならない。すなわち、当然のことながら、当該療養費は可及的速やかに支給決定されなければならない。 
 平成26年11月6日
           審 査 請 求 代 理 人  上 田 孝 之 印
by ueda-takayuki | 2015-02-12 12:31

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