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議連の席上で厚労省に申し出た内容

私どもが民主党の議連の席上で厚労省の保険局ご担当者に申出た内容は、既に全柔協ホームページや柔整ホットニュースで取り上げていただいたところですが、上田のブログにも載せて欲しいといわれたので下記に内容の概略を記しました。
療養費の適正化への取組み等に関する意見書の概要
1 療養費の料金改定の速やかな実施と患者保護に立脚した運用体制の確立
社会保障審議会医療保険部会の議論等によりまして、本来であれば本年6月に実施されるべき療養費の料金改定が延期されたところです。このことは私たち施術者にとりましてまことに大きな不安要素です。柔整療養費の取扱いは、このままでは「給付の適正化」の名のもとに、これを大義名分として療養費の大幅な圧縮を目論み、柔道整復師とその施術を受ける患者が不当に抑圧・抑制される世論形成が構築されつつあります。
しかし、柔道整復施術は単に患者から信頼される施術であるばかりでなく、低コストによる医療費の節約に繋がる利点があるのです。柔道整復師の患者が外科・整形外科に移行した場合の医療費は激増することが容易に想定されるところです。
このことから、柔道整復師の特性を生かした料金改定を速やかに実施するとともに、患者が保険で柔道整復師の施術を安心して受けられるよう運用体制を確立することが急務であります。

2 療養費支給申請書への患者自筆の署名を求めることについて
月の最後の施術日に、作成された療養費支給申請書を見て、その内容をよく確認してから署名することなど、物理的にできません。申請書を月末の最終施術日に作成して患者がその申請書面に書かれている内容を確認した上で署名をするということにするのであれば、現行の月末締めで翌月10日までに提出という運用は不可能です。
月途中で治癒した場合や月途中においてその後来院してこない患者に対する対応はどうすれば良いのかを明示していただけないと、単に「努力せよ!」といわれてもわかりません。後日、別途署名のために患者宅へ赴くとか、また郵送にて対応しろということであれば、その交通費や郵便料金は誰が負担するのかが不明です。受領委任払いでは、その事務手続き上、初診時や月初めにサインさせるしかないと考えます。
実際に太陽生命健康保険組合など保険者によっては提出済みの療養費支給申請書全件を不備返戻とし支給決定を拒んでいます。
これは受領委任の取扱い上の根幹を揺るがす大問題です。医科の保険証の取扱いでも初診時や月初めに保険証の提示を求めていることからも、このタイミングで署名させるしかありません。
  具体的には厚生労働省保険局4課長連名通知の3.保険適用外の施術についての被保険者等への周知徹底の事項において、周知の具体的記載事項の活用としてのパンフレット、別添3-2「医療費の適正化のために」の2番目の項目には、施術者としては当該記載内容の運用上、対応が不可であると言わざるを得ません。
療養費支給申請書の内容(負傷原因、負傷名、日数、金額)をよく確認して、署名または捺印をしてください。
※受取代理人の欄への署名は、傷病名・日数・金額をよく確認し、原則患者本人が署名することになっています。よく確認をせず、受取代理人の欄に署名することは、間違いにつながるおそれがありますので、注意してください。
この記載内容によれば、あくまで初回に署名することは否定されてはいません。しかし、傷病名・日数・金額をよく確認した上で署名することとなっているため、署名は「治療の最終日、若しくは月末にしなければいけない」とも読み取れる表現です。このような表現のパンフレットで周知徹底されると、従来どおりの署名の仕方では、患者との間に無用なトラブルが生じる可能性が大きいと考えます。

3 私ども全国柔整鍼灸協同組合の対応策是非の確認
 上記1の対応策として当方が組合員に周知徹底する取組みは次の2点です。
1.施術部位を記載した領収証を受診の都度発行することとし、初回(又は毎月初)の施術終了後、施術部位を説明し、一部負担金を受け取った後に患者さんの自筆署名を受ける。
2.全柔協施術相談センターを全柔協本部に設置し、署名付レセプトの内容確認を求める患者や今回の通知に関して、当該施術所に代わってレセプトのコピー(画像データ)を提示する。
 この対応策に問題がないかどうかの確認を平成24年6月25日付で厚生労働省保険局4保険担当主管課長宛てに、併せて地方厚生局7局の保険担当主管課長宛てに照会するも、いまだに何らの回答も得られません。
  適正化を図りながらも実際上の運用をさせるのであれば、これしか方策はないものと当方の建設的な意見を述べた次第です。

4 通知発出された担当部局との事務打合せ会の実施について
近年、療養費の保険請求事務に関する疑義が多発しています。当該4課長からの通知を受けさらなる疑義が発生することが推察できます。適宜、監督官庁に対して照会を行うことになりますが、治療現場や請求の実態の声をより良く行政に反映させることが療養費の適正化への取組にも繫がるものと考えます。
このことから、当該通知を発出された保険局担当部局の4課長(医療課長、保険課長、国民健康保険課長、高齢者医療課長)との事務打合せのための実務者協議の席を設けていただけますことをご提案いたします。

5 広報誌・チラシ書面記載事項の適正化を図ることの必要性について
私たち柔道整復師が各施術所で作成・配布しているチラシについても我々自身で規制を行う必要はありますが、保険者が作成する書面において、(整)接骨院での柔道整復師の施術を受けたなら厄介なことに巻き込まれ、大変な損失になるようなことを暗示する内容が記載されています。例えば「故意に誤った内容の保険請求や施術の内容を偽った保険請求があった場合は、患者も責任を問われる可能性がある」など患者を恫喝するような記述が見受けられます。
また、「柔道整復師は医師ではありません」などと国家資格に差別的取り扱いが認められるかのような記載もあるのです。保険者が作成する広報誌やチラシの記載内容が受診抑制や患者脅迫になっている実態にあることから、広報誌やチラシの記載の規制について適正化を図る必要性があります。

6 患者に負担を強いる適正化を止めさせなくてはならない
 保険者が行っている患者への照会文書には、患者では判断できない医療の内容を回答させるような照会を行い、答えられない患者を柔道整復施術の施術を抑制している実態にあります。回答結果を外傷性以外のものに誘導するなど質問自体に問題があるものも多いです。
また、患者からの回答がないことを理由に長期間において支給決定を行わず放置し、又は返戻を繰り返す実態を改めさせることが患者保護につながります。

7 施術録の写しの添付を求めることを止めさせることの必要性
  施術録については提示及び閲覧を求められた場合は速やかに応じることとなっていますが、合理的理由がある場合でなくむやみに提示・閲覧を求める保険者があります。また、保険者等が「提示・閲覧を求めることが出来る」ことと、療養費支給申請書提出の際に「写しを添付させること」とは別のことです。柔道整復師には柔道整復師法第17条の2に基づく守秘義務が課せられています。さらに厚生労働省が定めた個人情報保護法に関するガイドラインには、施術録は患者の個人情報と治療の方針や処置法・治療法等施術者の大切な知的財産ともいうべきものが含まれているのです。
そうすると、裁判所の開示命令がある場合を除き個人情報保護の見地からも施術者の知り得た守秘義務の観点からも、むやみに施術録の写しの添付を求めることを保険者に対し止めさせなければならないと考えます。

8 行政や保険者には施術を公正に判断していただきたい
上記に掲げた意見は、保険者と施術者との間の信頼関係の欠如に起因するものと考えております。保険の不正請求は大問題であり、柔整業界には「不正な詐欺行為」として排除していく取組みが求められるのが当然のことです。 
しかし、この1点をもって柔道整復師や柔整施術をすべからく否定するのは誤りです。療養の給付と比較して、その効能・効果、また保険財源に対する有効性(安価な施術費用の実態)からも、行政や保険者にとっては有益であると考えます。
このことから、柔道整復師及び接(整)骨院に対する行政・保険者からの公正な判断を求めて参りたいと考えます。

9 療養費を取扱う柔道整復師を米国のように“保険取扱い資格の更新制”に移行すること並びに臨床実習の強化のための学校就業年限を5年以上に引き上げる必要性
療養費の不正請求発覚により保険取扱の中止処分を受ける柔道整復師が続出していることは事実であり誠に遺憾なことです。従来から柔道整復師の業界団体としては、既に「財団法人柔道整復研修試験財団」において柔道整復師の卒後臨床研修を実施しているところではありますが、受講があくまで任意であることから、全体の1割程度の受講実績に止まっている現況にあります。
そこで、柔道整復師の施術技能や学術研究のみならず、“倫理観”をも含めた資質向上に資するため、併せて、保険を取り扱うことができる“保険柔道整復師”の資格を制度化したうえで、アメリカで既に実施されている保険取扱い医師のように、保険取扱い資格に“更新制”を導入した強制力を有する“国が行う2年以上の卒後研修(インターン)制度”を創設することが求められています。
具体例としては、たとえば養成学校での3年の履修において国家資格受験を認めた後、更なる臨床実習を2年以上義務付け、計5年以上をもって養成学校を卒業させるという履修変更が考えられます。
これらは、「柔道整復師養成施設指導要領について(平成12年3月31日付健政発第413号 厚生省健康政策局長通知)」等の運用により対応できるものと考えます。

10 柔道整復施術療養費に係る審査・支払機関の創設について
現在は都道府県ごとに柔道整復療養費審査委員会が設置され療養費支給申請書の審査にあたっています。審査終了後各保険者において支給決定され個別に支給事務が行われているのです。審査業務と支払事務を同一機関で実施することによる療養費支給事務の効率化及び迅速化を図ることは、療養費の適正化に資することが明らかです。
将来的には医科と同様に申請書の電子媒体による事務体制を目指すことも可能となります。
                                以 上          
◎10月1日付け料金改定は無いということであるが、代替案を提案します。
改 定 予 定 案 の 構 成全 国 柔 整 鍼 灸 協 同 組 合 の ご 提 案
①3部位目は50%に逓減強化
②4ヶ月目からの10日以上施術は逓減を設ける
③5ヶ月目から長期逓減を実施(現在は6ヶ月目)
という厚労省既定路線に強く反対すると共に、次の対案を提案する。1部位に最低でも5分間以上の手技施術時間を要することを条件とした上で、
・日ごとに15人までは施術費用の100%支給で逓減なし
この場合の施術時間は1人につき15分(温罨法・電療を除く)以上を義務付け
・日ごとに16人以上40人までは施術費用の10%を逓減
・日ごとに41人以上は施術費用の30%逓減

改定予定案では、
◎施術所の経営上総額の一律圧縮となり、逆進性の強い改定予定案では保険総請求額が50万円程度で細々と経営している整骨院をまさに直撃⇒中小・零細規模の整骨院を主体に“廃業”に追い込まれることが必至。
◎これでは柔道整復師一人で1日に100人以上施術して療養費を支給申請しているような施術形態に対し抑制がかからない。

私どもの提案は、
①逓減率の導入は患者全員を対象として適用するのではなく、新たに施術者に着目して柔道整復師ごとに患者への施術時間と施術人数により料金を設定することとしてはどうか。
②施術が複雑かつ困難な事例を施術者に判断・選択させ、この場合には逓減しない。しかし、施術時間を最低15分以上(ただし温罨法・電療を除いて)を義務付けてはどうか。
というものでした。
by ueda-takayuki | 2012-09-20 15:07

システム担当やレセコン業者は苦労するのでは?

柔道整復療養費の多部位・多頻回・長期施術を抑制することを目途に、当局は次期料金改定にこれを盛り込むが、業界にはすでに既成事実として十分知られてしまっている、①3部位目は50%逓減に強化(多部位抑制策)、②4ヶ月目からの月10日以上施術は新たに逓減発生(多頻回抑制策)、③5ヶ月目からに20%長期逓減を強化(長期施術抑制策)という改定を実施した場合、療養費支給申請書はどのように仕切られるのか?療養費支給申請書は厚労省保険局で統一様式を定めていることから「みなさんご勝手にどうぞ」とはならないことから、すでに案はできていると思うが、どのような様式を考えているのだろう。上手い案は私には思いつかないし、これをシステム化するのは大変ではないか。柔道整復療養費の業界にはレセコン業者が乱立しているが、皆さんは予定される改定案に対するシステム変更仕様は作られているのかどうか。また、審査会や保険者が内容審査にあたり、面倒な作業が発生するのではないかと心配しています。
そもそもこれらの抑制策は問題の根本的解決にはならないことは、議連の席で厚労省保険局ご担当部局やたくさんの国会議員にも説明済みです。対案もお示ししているにもかかわらず、予定されている方向で決着されるのであれば、中小・零細の整骨院は大打撃を受け、チェーン展開している整骨院は抑制策の範囲内でさらなるクイックマッサージ化に特化していくというのであれば、やはり問題の解決には程遠いのです。
by ueda-takayuki | 2012-09-14 10:40

今日は時間があります

毎日多忙でユックリできない。だからブログの更新もままならなかったが、本日は一日中自分の執務室に篭って朝から時間が取れることから、長めのブログを3つ書き込んだところ。ブログ更新はサボっているのではなく、書き込む時間が無いことと、柔道整復師を応援することを書けば、即嫌がらせを受けてしまう。
また、鍼灸施術療養費のことについて論評すれば、「鍼灸師の免許もない無資格者が何を生意気なことを言っているのか。あんたには大人しくしていてもらいたい。仕事をして欲しくない」といわれる。施術者のために汗をかいて仕事をすることが結果として国民患者にとって有益になるからと頑張っていても、なぜか悪く思われてしまうことが残念です。
by ueda-takayuki | 2012-09-13 13:38

鍼灸マッサージ療養費の再同意の考え方について

全国健康保険協会三重支部が返戻してきた鍼灸マッサージ療養費に係る反論取組みを行っています。
これは協会けんぽ三重支部の主張が「再同意有効期間内にさらなる再同意をとっていないことから同意書を新たにとる必要がある」と、新たに同意書を添付しなければならないと支給を認めないことから、その誤りを糺すこととした。
この返戻理由は、以前に協会けんぽ愛知支部が行っていた「前回同意年月日の支給可能な期間を過ぎてからの同意のため申請書に同意書を添付していただく必要がある。」というものとまさに同様の事案である。このときは、当方から反論書面を協会けんぽ愛知支部に送付し反論した結果、支給された実績がある。
今回も同様に攻めてみるが、どうしても理解されないならば不支給決定をしてもらい、被保険者の協力を得て正々堂々と審査請求を行って行政の判断を求めることとなる。
【私の反論要旨】
 協会けんぽ三重支部がこのような事務処理をする根拠として、留意事項第5章の1に記述のあるただし書き以降、すなわち「初療の日から3ヶ月(初療の日が月の15日以前の場合は当該月の翌々月の末日とし、初療の日が月の16日以降の場合は当該月の3ヶ月後の月の末日とする。)を超える期間が記載されていても、その超える期間は療養費の支給はできないこととしており、引き続き支給を行おうとする場合は、改めて医師の同意を必要とすること。」をその理由とするならば、明らかにそれは誤りである。
 このただし書きでは、初療の日から3ヶ月を超える期間の申請があれば文字通り超過した期間分は支給せず、それ以上引き続き請求をするなら同意を取り直すことを言っているわけであり、改めて同意書の添付を行うことを指しているわけではない。
 このことから、留意事項第5章の1は貴支部の返戻理由の根拠とはならないことが明らか。これ以外に理由があるのであれば、その根拠を明らかにせよ。国の留意事項を守らず保険者の勝手な運用により不備返戻されることは認められない。
 なお、前回同意年月日の支給可能な期間を過ぎた後の再同意について、口頭同意で良いというこの取組みについては、はり・きゅう4社団(日本鍼灸師会、全日本鍼灸マッサージ師会、日本あんまマッサージ指圧会、日本盲人会連合)の実務者協議の中で、厚生労働省担当部局とも調整済みであると聞いている。
 もちろん、前回月末までの口頭同意の期間を経過し、月が変った後の再同意の日より前の期間に係る申請について、支給が認められないのは当然のことと認識しているところ。
 仮にどうしても同意書の添付がなければ支給できないとされるならば、支給できない理由を明らかにしたうえで正式に不支給決定を起案して、不支給決定をすべきだ。そうすると、施術者は保険者が保険給付を認めなかったことの実績に基づき施術費用を被保険者に請求することとなる。この場合、被保険者が不支給処分に不服があるのであれば、別途、被保険者本人が社会保険審査官に対し審査請求をすれば良いだけのこと。
 いずれにしても、健康保険法施行規則第66条上は何らの不備もない書類であることから、これ以上いたずらに不備返戻をするのはやめて欲しいです。
by ueda-takayuki | 2012-09-13 12:58

柔整療養費の返戻理由としての亜急性と長期を認めないことに対する意見

健保組合や柔整審査会が慢性及び長期施術を認めない取組みとしての返戻及び照会に対し、私は亜急性の基本的考え方と、長期施術を否定されるものではないことを、以前から国の通知を用いて反論してきたところです。                    
亜急性と長期施術に関する私の考えを述べます。
1.「亜急性」の当方の見解について
療養費の支給基準上において支給対象と認められている、亜急性の外傷性について、保険適用になる旨にかかる当方の見解を述べる。
「亜」というのは、国語的な用語として「準ずる」という意味であるから、亜急性とは急性に準ずるということ。すなわち、急性と慢性の中間に位置する状態のことをいい、急性よりも熱などの変化が緩やかなものをいう。整形外科では、急性期が受傷後~2日間程度までを指すのに対し、亜急性期とは受傷してから2~3週間程度の時間が経過したものを指します。つまり「時間の経過」として捉える。急性期、慢性期、亜急性期とそれぞれに「期」とあるところ当然そういう見方となる。
これに比し、柔道整復では反復性の外的圧力要因や微小の外力、また、これらの外力にかかるストレスによる組織断裂や骨棘形成、石灰沈着、また、陳旧例では関節の不安定性があるものまでを含んで考えることになっている。例を挙げると、主婦の家事手伝いで痛めた手関節や布団の上げ下ろしで負担のかかった腰部に発生した事象についても、療養費の支給対象になると判断するのが柔整の亜急性であり、一方、ある程度の時間の経過をもって、例えば10日ほど前に躓いて階段から落ちた場合の負傷を亜急性期だというのが整形外科の定義だ。現在の療養費の算定基準における留意事項にも柔道整復施術療養費における亜急性の定義がなされていないのが現状である。仮に、亜急性の定義が単なる時間経過の概念だけで定められたなら、柔道整復師の保険請求のかなりの部分が保険対象外とされる可能性があり、逆に、既出の反復・継続性の微小外的要因の全てをも亜急性とするならば、状態として陳旧性及び慢性傾向にあるものも、その殆どが療養費支給対象になり得る取扱いが可能となるもの。
厚労省保険局医療課長通知で定めのある留意事項において「亜急性期」となっていれば、貴国保組合のご主張どおり受傷後の時間経過による定義付けもできようが、厚労省の通知には「期」の文字がないことから、やはり時間経過のみをもって決められるものではなく、あくまで発生機序により急性か亜急性かを判断すべきもの。
このことから、柔道整復療養費にかかる亜急性の負傷定義なり基準がない現状では、単純且つ一律の取扱いではなく、個別具体的に判断していくことが求められる。
現行の医療課長通知では、冒頭でも触れましたように、亜急性の外傷性の負傷は認められているうえ、介達外力による負傷をも保険適用として差し支えないとなっている。
次に、全国100を超える柔道整復師養成施設において教育されている教科書についても触れておく。ここでは参考までに(社)全国柔道整復学校協会の監修で、実際に養成施設で教科書として使用されている「柔道整復学理論編」の亜急性損傷を転記する。
いずれにしても、亜急性負傷が広く保険適用として認められることをここで説明させていただき、貴国保組合がこのことをよく理解できない現状での施療内容の照会についての本件書面作成は、柔道整復師の治療を保険を使って受けたいと希望する患者にとっては受診抑制にあたり、また、施術者にとって施術妨害となる危険性がある。
亜急性(蓄積性あるいは反復性)
反復あるいは持続される力によって、はっきりとした原因が自覚できないにも関わらず損傷が発生する。このなかには、臨床症状が突然発生するものと、徐々に出現してくるものがある。前者は、先に述べた荷重不均衡状態、あるいは静力学的機能不全の状態下で損傷される場合が多く、組織損傷が拡大していくなかで、外力として認知できない場合あるいは軽微な外力で突然発生したかのように機能不全に陥る。後者は、静力学的機能不全の状態であることが多く、症状は次のような経過をたどることがある。
まず疲労感を覚えやすくなることで、身体に何か異常があることに気づくが、当初はそれを強く感じない。経過とともに疲労するのが早くなり、また安静によっても容易に回復しなくなることで、それを損傷と認識するようになる。次いで、この疲労状態は疼痛となって現れ、さらに症状が強くなると、局所の腫脹、発赤などが現れたりする。
亜急性損傷は、以下に示すような分類がなされる。
(1)使いすぎOVERUSE(2)使い方の間違いMISUSE(3)不使用後の急な負荷DISUSE  ―出典 柔道整復学・理論編 4損傷時に加わる力 18頁―

2.施療が長期となる場合の必要性について
患者は痛みを訴えて整骨院を訪れる。その患者を実際に診るのは柔道整復師という厚生労働大臣免許を取得した施術者であり、その患者が訴える痛みを取り除くのも柔道整復師である。「急性・亜急性」という言葉の意味を知らず、痛みの原因の記憶を失念していたり、曖昧な患者もいる。
柔道整復師が診て「急性又は亜急性疾患」として軟部組織の損傷や捻挫の症候が患者に現れているから保険で治療ができると判断した結果であり、個々の事例についても、一律に「2~3ヶ月を超える部分については不適切」との照会内容は不当・失当である。患者が赤発・熱感・疼痛・腫脹・機能障害等を訴え、また、その主訴等により施術者である柔道整復師が診た結果として、該当部位にこれらの症候が見られたことから、柔道整復師としての見立てで保険適用としての施術を行ったもの。疼痛除去や腫脹の緩解、そして関節可動域の拡大等、施術が長期化しても症状の改善等の治療効果が期待できるものと判断したことによる施術の長期化であることから、請求は妥当なものと考える。
療養費の算定上、長期に継続して施術を要する場合には、長期・多部位における定額算定の方法を認めている。また、3月を超えるのであれば長期施術継続理由書の作成が規定されており、さらには5か月を超える月における施術について20%の長期施術減額逓減措置となっていることから、長期にわたる施術の取扱いというものがルール化されているところである。
これらの国が定めたルールがあるにもかかわらず、2~3ヶ月を超える部分については不適切と断定することはできない。
by ueda-takayuki | 2012-09-13 12:09

療養費支給申請書に施術録の写しの添付を求められることについて反論

柔道整復施術療養費の支給決定に関して、健保組合や柔道整復療養費審査委員会等より、施術内容を確認するために施術を行った柔道整復師の施術録の写しを求められることがある。保険者等が施術録の写しの提出を求めている通知上の根拠は、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項第6 施術録について 2「地方厚生(支)局長及び都道府県知事との協定及び契約又は関係通知等により、保険者等に施術録の提示及び閲覧を求められた場合は、速やかに応じること。」等によるものであるが、この規定は、保険者等であればすべからく、どのような理由であっても施術録の提示及び閲覧ができると解釈するものではなく、あくまで“地方厚生(支)局長及び都道府県知事との協定及び契約又は関係通知等により”という条件において、施術録の提示及び閲覧ができるということ。
 すなわち、受領委任の取扱規程に定めのある事項について、また、保険局長及び保険局医療課長の発出した療養費の算定基準等の療養費の支給金額に関する取扱い事項の範囲内において、提示及び閲覧ができるという旨の規定だ。
 具体的には、①受領委任に関する施術管理者としての疑義や勤務する他の柔道整復師に関すること、②受領委任の取扱いにかかる申出及び承諾、③指導又は監査、④被保険者資格の得喪関係の確認、⑤近接部位の算定等の療養費支給金額を決定するにあたっての実施上の取扱いに関すること等、契約と通知に基づいた運用により「提示及び閲覧」を求めることができる旨の規定である。
 従って、これ等に関する事項の確認のために施術録の提示及び閲覧を求められるのであれば、所定の手続きにより、この通知で示されたと判断される範囲内での提示及び閲覧には、速やかに応じる用意はある。但し、それは提示および閲覧ということであり、柔道整復師がその場で施術録そのものを差し出してご覧いただくことが提示であり、一方、閲覧となれば、柔道整復師の前で施術録の記載内容を調べながら読むことであり、当然施術録を持ち出したりすることもできない。提示及び閲覧とは、柔道整復師の面前で施術録を手にとって閲覧し、必要事項等を書き写すのは構わないが、それをコピーするとか写真に撮るということも許されていない。個人情報の保護や守秘義務等が厳しく問われる中、保険者等による患者の人権を無視するような形態による施術録の写しを求めるという安易な方法に反対する立場から、裁判所の命令書と患者本人の承諾がある場合を除き、施術録の写しの添付はできないものと考える。
 もちろん施術録をきちんと作成することは柔道整復師の義務であるから必ず作成しなければダメだ。面倒くさいから省略していますというのは、出るところに出れば認められない。むしろ柔道整復師にとっては保険請求の根拠を証明できる武器になるし、指導監査の席上では必ず提示を求められるのだ。
指導監査で提示を求められたなら拒否することはできない。
だからといって療養費支給申請書に施術録の写しを添付せよというのは別の話であり誤りである。医科に置き換えれば簡単に分かる。医科のレセプトである診療報酬明細書に診療録の写しの添付を求めたなら大問題に発展するだろう。また、カルテと言うものは治療法や施術の具体的なことが書き込まれることから、柔道整復師の知的財産の保護の見地からも、やはり施術録の写しの添付は認められないのだ。 
by ueda-takayuki | 2012-09-13 12:02

上田たかゆきオフィシャルブログ


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