2018年 08月 29日 ( 1 )

日本国土開発健保組合が被保険者に求める支給済み療養費の返還についてもの申す!


日本国土開発健康保険組合が当方会員の柔道整復師の施術を受けた被保険者宛に、支給済の療養費について返還を求める旨のお知らせを送付していることが会員である施術者を通して当方へ情報提供及び相談があった件を報告する。

 支給済みの療養費を被保険者にいきなり返還を求める理由について、被保険者も施術者も、ともに日本国土開発健保組合の主張に納得ができないとのことからこれに対応することはできず、また本件書面について疑義があることから説明を求めることとした。

 日本国土開発健保組合が被保険者に対し書面連絡した「柔道整復師施術療養費について」と題された文書(以下、「ご案内文書」という。)によれば、療養費の返還を求める理由として、「半年以上にわたり身体のどこかをケガされたということで整骨院で受療されておりますが、このようなことは通常はあり得ず、もし仮に半年以上にわたり身体のどこかを痛めている場合は、整形外科などの医療機関で診察を受け治療をするのが一般的であると考えられる」とし、

  1. 健康保険が使えるケースは「急性または亜急性の外傷性のケガ」の場合のみと限られている

  2. 健康保険の適用となる施術は「急性または亜急性の外傷性のケガ」だけである

  3. 1回のみの施術で治癒する痛みを「急性または亜急性の外傷性のケガ」と言えるのか判断は難しい

  4. 総合的に判断して保険適用の「急性・亜急性で外傷性のケガ」による受診とは判断できない

    と4回も「急性または亜急性の外傷性のケガ」にこだわったうえで、これを主たる返還を求めることができる理由に掲げられていた。

    しかしながら、日本国土開発健保組合が急性または亜急性の外傷性のケガでないと判断したために療養費の返還を求めるこの論拠である「急性又は亜急性」という文言自体が何を指しているのかよく分からないとの議論を踏まえ、平成30年4月23日に開催された「社会保障審議会医療保険部会第14回柔道整復療養費検討専門委員会」において、通知の文言見直しの検討結果により、「急性又は亜急性の」という記述が削除され、削除されたことと併せて外傷を明らかにするため、平成30年5月24日付け保医発05241号医療課長通知により留意事項の一部改正が通知されているではないか。改正された通知には日本国土開発健保組合が主張される論拠、「急性又は亜急性の」が削除され、かつ「外傷性とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示すものであり、いずれの負傷も、身体の組織の損傷の状態が慢性に至っていないものであること。」と通知済みである。現在、急性または亜急性の外傷性のケガが療養費の支給対象となるなどと厚生労働省は柔道整復業界を指導していない。

    このことから、現在の厚生労働省保険局医療課長通知での新たな療養費の支給対象となる負傷にかかる外傷の定義ではあくまで「身体の組織が損傷を受けた状態」で判断することになっている。

日本国土開発健保組合のご案内文書に頻繁に記載されている「急性または亜急性の外傷性のケガではないと判断したため」とは、療養費の支給要件に該当しないことを主張されているものと推察するのだが、それでは、療養費の支給要件に該当しないということはどのような医科学的観点による判断なのかを、被保険者に対して明らかにすべきである。 

また、「判断は難しい」とか「医療機関で診察を受けることが一般的である」というような漠然とした抽象的な理由は不支給理由にはならない。想定や推論・推察で不支給処分んされてはたまらない。返還など応じられない。ましてや被扶養者の療養費については特段の理由も一切明示されずに、ただ同じ整骨院で受療していることのみをもって返還を依頼されるというまったくもって意味不明なものだ。被扶養者を含め患者の個々の損傷の状態にかかわらず、同一施術所取扱いについてすべからくその受療を認めないというのは理解できない。

整骨院ではそれぞれ初検時に負傷原因や症状を確認したうえで健康保険適用であると判断し施術を行ったものである。日本国土開発健保組合が健康保険の支給対象とならない負傷と判断されたのであれば、その詳細を文書にて明らかにしてほしい。

繰り返すが、「急性または亜急性の外傷性」というのは厚生労働省の通知からは削除されているのであるから、これ以外での説明を求める。

 支給決定された療養費の返還を求める実務処理は、単にご案内文書や電話連絡による口頭連絡で行われるものではない。すでに支給決定された療養費の返還を求めるには、被保険者あてに少なくとも、

  1. すでに支給済みとなっている療養費が本来支給すべきでなかったことが判明したことに関する理由が明記されている支給済みの「療養費取消決定通知書」

  2. なぜ療養費を支給してしまったのか、なぜ支給済みの療養費を取消しすることになったのかについての顛末を明らかにした「更正決定通知書」

  3. 不支給理由が明記された「不支給決定通知書」

  4. 返還を求める療養費の金額や指定期日及び振込先金融機関名・口座番号が記載された「返還金のご案内について」

    等が一般的に必要書面として発出されるべきである。

    当然のことながら、これらの通知書には被保険者がこの決定処分に不服があるときは、この通知書を被保険者が受け取った日の翌日から起算して3ヶ月以内に関東信越厚生局におかれる社会保険審査官宛てに審査請求ができる旨の教示欄を設けた文書でなければならない。

     日本国土開発健保組合の取組みは、厚生労働省保険局医療課長通知により、すでに削除された取扱いにこだわったうえで終始漠然とした理由を並べられ、健康保険適用外であると判断された具体的な理由も一切なく、被保険者からの電話連絡を求め、単に口頭でのやりとりで支給済みの療養費の返還を認めさせようという意図が強く感じられる。保険者が健康保険適用外と判断されたのであれば、適切な事務処理をもって公正に返還を求めるべきではないのか。


by ueda-takayuki | 2018-08-29 17:12

上田たかゆきオフィシャルブログ


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