クレハ健保組合の患者向け広報紙面の記載内容が柔整療養費抑制を目的とした記載内容とお見受けすることについて照会した

クレハ健康保険組合が行う患者あての広報書面の記載内容のあり方について照会したところです。クレハ健保組合が被保険者・被扶養者あてに広報活動として書面交付している「柔道整復師・施術所(整骨院・接骨院)をご利用されるクレハ健保加入の皆さんへの大切なお知らせ」と題された書面の記載内容について、一部疑義があることから照会させていただいたところです。疑義内容は4点。

 1.「保険適用ができる・できないの判断はご自身でもおこなって下さい」について。

 外傷性の負傷であると思われるものについては、療養費の支給対象となることは明らかです。一般的に、施術者である柔道整復師が患者の初検時における申出や、患者の症状から勘案して保険適用と判断すれば療養費として取扱いを行い、保険適用外と判断すれば自費料金を徴求することになります。その判断は施術者が行う判断業務であり、その判断の負荷を患者に負わせるとして、保険適用ができる・できないの判断をなぜ患者に行わせるのか理解ができません。貴健保組合では患者が自ら保険適用ができる・できないの基準をどのように周知徹底されているのでしょうか。このような文面を簡易に強制するのは即ち、受診抑制以外の何ものでもないと考えます。

 2.「保険適用外の症状にもかかわらず~(以下省略)後日、受診者に全額返還請求させて頂きます」について。

 患者は健康保険の取扱いを希望し、それに対し施術者が療養費の受領委任の取扱いに該当すると判断したうえで健康保険を取り扱っております。後日、受診者に全額返還請求いただくとは、単に保険取扱いさせないための方便、または脅しです。実際、返還請求を求めるにあたっては、かならずしも被保険者のみに限定されず、施術者あてに返還を求める場合もあることから、この記載内容では正確さを欠いています。ここでも、受診抑制の一環としか思えないことについてご説明願います。

 3「.整骨院は、病院ではありません」について。

 整骨院で施術を行うのは柔道整復師であり、医師でないことは当たり前です。なぜこのような表現をするのか意味がわかりません。整骨院で、血液検査・レントゲン撮影・MRI検査・注射・薬の処方など行われているのでしょうか。なぜ、医療機関でないことを殊更強調するのですか。

 また、病院や整体などのちがいとありますが、いきなり整体を持ち出す論拠をご説明下さい。柔道整復師は整体師ではございません。整体師は指圧の無免許施術者であり、国家資格を有する柔道整復師をなぜ書面上列記として、あたかも同一・対等であるかのような、患者が誤解を抱くような記載をするのでしょうか。

 4.「整骨院での施術1回当たりの金額の目安」について。

 ここでは、1回目、2回目、3回目以降を、それぞれ1部位、2部位、3部位の目安料金として記載されていますが、「金額の目安」と表示されても、患者にとっては一定の金額の参考額とされてしまうことから、例えば、療養費の対象とならない単なる肩こりで自費メニューとして自由料金の施術を行った場合には、この料金を参考とされることで、患者との間に料金に関しての無用なトラブルを引き起こす可能性があります。即ち、自費料金扱いまでも、この料金表を目安として患者に捉えられてしまう可能性があるということです。この点についても、自費施術妨害の問題が発生すると思われます。

 以上のことから、当方といたしましては書面の構成について、柔道整復施術を抑制する狙いがあるものと抗議致します。このような文書を大量に発出されますと、整骨院では健康保険が使えないというのが患者の不安に繋がり、実際、その不安の声は施術者あてに届いてきているところです。

 当方の指摘をどのようにお考えか、私どもとしてはクレハ健保組合がこのことについて書面で明らかにされることを求めます。

 

         


by ueda-takayuki | 2019-06-20 11:22

上田たかゆきオフィシャルブログ


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