鍼灸施術に関して医師の同意書交付拒否、診断書交付拒否、そもそも診察も拒否する整形外科医に対し行政を引き込んで対峙する必要がある


私が理事長を務めている東京鍼灸マッサージ協同組合の組合員からの相談で、はり・きゅう施術に係る医師の同意書交付について、当方に所属する鍼灸師の組合員より、近隣の整形外科医院における鍼灸施術療養費申請に係る医師同意について疑義情報が寄せられた。その整形外科医は患者又は患者の家族から鍼灸の施術を受療するため医師の同意を求められたところ、ただ一方的に明快な理由を何らも示さず、

  1. 鍼灸施術に関しては同意書交付を拒否する

  2. 同じく診断書発行も拒否する

  3. 鍼灸施術を受けたいと希望する患者にあたっては、診察も扱わない

    等々の発言により、ことごとく患者等の同意書交付・診断書発行の要請やお願いにも耳を傾けないばかりか、その診察でさえ一方的に拒否している実態にあるのだ。組合員は不当にも鍼灸師の施術を受けることに対する医師の同意書等の交付を拒否された事実について、患者の証言を得て、少なくとも十名程度の同意書交付の拒否、診断書発行の拒否、また、これらに係る診察自体の拒否の情報提供を得ている。

    鍼灸施術に同意書の交付等をしないと整形外科医が主張される意図は明確になっていないが、おそらくは鍼灸師に対するきわめて不当・失当な偏見によるものと推察される。よって、鍼灸施術に関しこれに同意書の交付等をしないと医師が主張されるのはどういうことなのかを問い質す必要がある。上田としては、組合員である施術者たる鍼灸師の立場と治療方策を守るため、また、患者の保護の見地からは、患者が安心して鍼灸師の施術を受療できるようにするため、鍼灸療養費に係る医師の同意書交付拒否等の主旨についての説明を求めることとした。

    あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第5条で規定される施術の制限により、鍼灸師は医師の同意を得た場合の外、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。しかしながら、過去からの沿革により、厚生労働省保険局医療課長通知で示された6疾病(リウマチ・神経痛・五十肩・頸腕症候群・腰痛症・頸椎捻挫後遺症)については医師から診断に基づいた同意書が交付されると療養費として保険適用され、さらに、6疾病を問わず慢性病であって疼痛を主症とする類症疾患について診断書が提出された場合は、記載内容等から保険者が支給要件を個別に判断し保険適用しているところだ。

    平成30年6月20日付け厚生労働省保険局医療課長通知により、今般、療養費支給申請にあたっての医師の同意書、診断書の取扱いが大幅に改められ、同意書・診断書の様式が従来までの参考様式ではなく、様式自体が明確に定められたところ。また、医師が同意書を交付するにあたって、施術者が行う施術の内容・頻度、患者の状態・経過等を明確にし、医師が再同意を判断し易くするための環境整備として、新たに施術報告書の交付を施術者に求めることも適正化方策として本年10月より実施されているではないか。

    施術報告書の目的はどのようなものかについて、国は課長通知が適宜適切に運用されるように平成30年10月1日付で疑義解釈資料を事務連絡によって発出している。発出は厚生労働省保険局医療課で新しい同意書、診断書の様式や保険医の取組むべき留意点、施術者が交付する施術報告書のことなど鍼灸関係で55事項、マッサージ関係で66事項につき、38ページにわたって疑義解釈のQAを作成し、医師の同意書等の適正かつ円滑な対応方策を明らかにしているのである。

    厚生労働省ホームページ

    https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/181001-01.pdf

    これによれば、「施術が支給対象に当たるかどうかを保険者が判断するため、医師の同意・再同意は重要である。そのため、医師は、再同意に当たり、施術者の作成した施術報告書により施術の内容や患者の状態等を確認するとともに直近の診察に基づき再同意する。また、医師は、施術に当たって注意すべき事項等があれば同意書の『注意事項等』欄に記載し施術者に連絡する。このように、医師と施術者が文書によるコミュニケーションを図り、連携を緊密にすることにより患者に必要な施術が行われる仕組みの一環として、施術報告書の取扱いを導入したところである。」と明記している。

     社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会の議論を踏まえて、厚生労働省保険局が公益社団法人日本医師会や公益社団法人日本鍼灸師会及び全日本鍼灸マッサージ師会並びに公益社団法人日本あん摩マッサージ指圧師会をはじめとする関係各位との調整のもとに決められたルールを完全に無視して、そもそも、鍼灸施術に同意書を交付しないし、診断書も発行しない、併せてそれを期待する患者の診察自体を拒否する整形外科医の鍼灸施術に対する姿勢は甚だ問題がある。

     もとより、鍼灸の施術を受けたい患者であれば診察自体を断る整形外科医の患者に対する対応は医師法第19条1項の応召義務違反であることが明らかだ。また、応召義務を履行して診察した以上は、2項の診断書交付義務も負うことになるのだ。

     医師の応召義務や診断書の交付義務を持ち出すまでもなく、厚生労働省が大臣の諮問機関の議論を尊重して通知や事務連絡等でルール化した同意書交付の適正化方策を無視してこれに従わない理由についての説明を求めることとして、今、文章を書いている。

    厚生労働省保険局医療課長通知等を無視してこれに従わないのであれば、当然のことながら指導担当部局から整形外科医に対し行政指導を行っていただく必要があることから、本件事案につき、公益社団法人東京都医師会長、関東信越厚生局、管轄保健所長あてに本件の対応を依頼しなければならない。

     当方は患者のために尽力する施術者について組織を挙げて支えている。明快な理由もないまま、鍼灸施術に対する医師の同意を与えない整形外科医の姿勢は問題があると思う。当方の組合員の技能を一切確認もしないまま一方的に信頼・信用しないというのは如何なものか。ここに書面による明確な回答を求めていくこととした。

    当方に対し、本書が到達したにもかかわらず何らのご回答もいただけない場合には、遺憾ながら、正当な理由のない鍼灸施術療養費にかかる受療抑制の実行と判断するしかない。

    このことについて、この整形外科医の姿勢を質し、その実態を明らかにして参りたい。この前は柔道整復師の骨折施術でも同様なことが起こっている。相手の整形外科医は日本臨床整形外科学会、地方の都道府県臨床整形外科医会の会員の整形外科医であり、鍼灸師の鍼灸施術に拒否感を持つ者が多いのは事実である。


by ueda-takayuki | 2018-11-08 16:29

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