超音波画像診断装置を柔道整復師が堂々と使えるようにするための取組みをすべきである

平成30725日付の鍼灸柔整新聞1面コラムに柔道整復師が超音波画像診断装置を使用することに対し、医師会幹部が問題意識をもって厚労省に使わせない通知を出させる動きがあることについて解説した。これを受けて、私あてに厚生労働省に対し、逆に超音波画像診断装置の柔道整復師使用を公然と認めるための取組み依頼が寄せられたことから、取り組んで参りたい。まずは柔整業界で超音波画像診断装置がどのように使われ、そして柔整の超音波画像診断に関する団体が幾つあってどのような活動をしているのかを知ったうえで文章を考えることとした。厚生労働省の担当部局は医政局であるが、想定質問を作成してみた。業界側において回答をお願いしているので、想定問答として作成できた段階で行政との交渉に入りたい。趣旨を明確にして当局あての要請書を作成するための素案の整理情報として私が知りたい内容を問いにしたものを掲載しておく。

(問1)

リアルタイムにベッドサイドで安価に患者に対し視覚で説明ができるということで、柔道整復師にとっては唯一の科学的根拠となる診察アイテムであって、骨折の有無、軟部組織損傷の程度と治癒経過を評価できることは理解できる。超音波画像診断装置を柔道整復師が使用することによる、柔道整復施術における客観的評価というものは如何なるものなのか。

これを使用すると、柔道整復師が骨折の有無、軟部組織損傷の程度と治癒経過を評価できると断言できるまで、一定のレベルまで知識と技術を習得するまでの教育内容と教育機関等、当方が確認できる根拠は何か。

(問2)

超音波画像診断装置を使用している柔道整復師の現状における具体的習熟度と教育システムについて確認する必要があるが、日本超音波骨軟組織学会と筋骨格画像研究会のそれぞれの教育内容について、決定的な相違点は何か。

また、仮に筋骨格画像研究会より日本超音波骨軟組織学会の方が優れているとした場合に、何を克服すれば日本超音波骨軟組織学会と同等の講習内容となり、一定の知識と技術水準に到達するのか。

(問3)

柔道整復師の超音波画像診断装置使用におけるガイドライン(使用基準)は未だ策定されていないと聞き及んでいるが、何時ごろ策定できるのか。策定する組織は日本超音波骨軟組織学会なのか。

ガイドラインを定めるということは、検査の手法をマニュアル化し、一定の水準を定め、使用価値を高めた上で、その後に普及しなければ適性・的確な使用方法がよく解らない柔道整復師にも広く使用される危険性はないのか。ガイドラインの策定に関する基本的な考えを柔道整復業界として述べてほしい。

(問4)

日本臨床整形外科学会(JCOA)をはじめとする整形外科医との関係を充実させることはきわめて困難ではないのか。

整骨院でエコー画像を撮ったものを資料として紹介先の整形外科等、後療依頼をする医師あてに詳細データを回付すると医師は拒否反応を示すのではないか。そうすると、少なくとも医師と柔道整復師の連携に果たす役割は見出せないということにならないか。

ガイドラインの早期の策定が求められるが、仮に今後ともガイドラインが策定されないまま、あくまで個人的見解により個々の柔道整復師の判断で医師に報告するのは問題である。当該ガイドラインには、例えば医師への相談や依頼に関する文面もマニュアル化して掲載し、ガイドライン内において明示されなければならないが、医師に報告・連絡・相談するフォーマット(参考様式)を指し示せるか。

(問5)

筋骨格画像研究会の認定制度はあるか。初級資格・中級資格・上級資格・認定資格・指導資格の違いとそれぞれの特徴は独自に定めているのか。また、日本超音波骨軟組織学会で規定されたものと同一と考えてよろしいかどうか。

(問6)

(公社)全国柔道整復学校協会の中で超音波画像診断に関する教育システムは構築されていないと聞いているが、各養成施設の一部においてあくまで任意に養成施設の判断に委ねられているに過ぎないということか。初級資格システムくらいは各養成施設に任せるのではなく、全学校を包括して一元的に構築できないのか。

(問7)

宝塚医療大学や東京有明医療大学等の大学教育の中で柔道整復師の超音波画像診断に係る教育システムはどのように行われているのか。

例えば、宝塚医療大学には平成医療学園のK先生が、東京有明医療大学には花田学園のS先生の働きかけで(公社)全国柔道整復学校協会に音頭取りを願えないか。それを医事課が行うのは困難であると思われる。

大学教育のなかで超音波画像診断が“先駆け的教育になる可能性あり”と考えられないか。これを専門学校で取組めない場合の理由は何か。

(問8)

日本柔道整復接骨医学会では頻繁に研究発表が報告されていると聞いているが、筋骨格画像研究会と日本超音波骨軟組織学会は日本柔道整復接骨医学会と連携できないか。連携できない場合はその理由は何か。

また、現在までに柔道整復師が超音波画像診装置を用いた臨床報告・臨床研究・論文投稿の最初は何年で、毎年の発表本数、論文投稿数はどうなっているか。何かのホームページに掲載されているのかどうか。

(問9)

年に1回実施される筋骨格画像研究会における「症例報告会」について臨床報告の必須化が図られているかどうかの実態如何。

(問10

日本柔道整復接骨医学会で超音波画像診断が実際にできる能力・技能を有する柔道整復師は全体の1割程度が見込まれるが、ある程度正確な人数を当方(厚生労働省医政局医事課)に示していただけるものか。

(問11

筋骨格画像研究会と日本超音波骨軟組織学会は、柔道整復師にとって唯一の科学的根拠となる診察アイテムの使用を行っているにもかかわらず2団体が組織される意図は何か。

(問12

医師会側での超音波画像診断に関する学会はどういうものがあるのか。既出の柔道整復師による団体とどの点が相違するのかについて、客観的事実に基づく説明をお願いしたい。

(問13

現状において、仮に知識の蓄積と調査研究及び症例報告に止まっているならば、超音波画像診断装置による医療情報を患者や連携医師に提供できる段階(レベル)に達していないのではあるまいか。

将来的にはどのようにして筋骨格画像研究会と日本超音波骨軟組織学会を仲間内のサークル活動的な意味合いの域を超えるように発展させられるのか。仮に仲間内活動の域をどうしても超えられないのであれば、外科・整形外科の超音波診断に関する学会との協調や統合など図られないのではないか。

(問14

超音波画像診断装置が設置されている整骨院においてこれを使用する柔道整復師は、初検時に骨折の疑いの確認、捻挫や筋挫傷の損傷の程度を確認する時に使用する。また、経過観察を行う際にも使用するが、いつ・どのようなタイミングで・何を目的に使用しているのかの実態調査は可能か。

(問15

保険医療機関(外科・整形外科)におけるレントゲン撮影やMRI画像診断は、主に初診時における対応に限局される実態にあるものと推察できる。初診時における医科でのレントゲン使用と初検時における整骨院での超音波画像診断装置使用とは同じようなものと認識してよいか。整骨院での超音波画像診断装置の使用はあくまで自費メニューなので、必要最小限の使用に止まるとしてよろしいか。この観点からの実態調査は可能か。

(問16

超音波画像診断装置といわずに超音波画像検査装置と、柔整業界側では用語を変えているのは、柔道整復師には診断権がないという医師側の論調に配慮したものであろう。  

しかし、同一機器で名称を変えるのは具体的には医師会側の何に対して配慮を要するのか。

(問17

柔道整復師が超音波画像診断装置を使用した場合の費用は全額患者負担としての自費扱いで、窓口にて1,000円程度徴収していると思われるが、1,000円は妥当な額と考えてよろしいか。自費取扱いとしての上限額、下限額、平均の料金を統計的に示すことができるか。示せるとすればどのような方策によるものか。

(問18

超音波画像診断装置の使用が初検時以外にも多く用いられるのは骨折や筋挫傷の経過観察に使用する実態にあるからであるが、使用頻度といえば、初検時、再検時、その後1週間に1度ぐらいのペースである。その後の経過が良好となれば、2週間に1度、3週間に1度と間隔が開いて行くのだが、患者の費用負担を考えると、ある程度回復が見られたら使用しない場合もある。これはあくまで施術者の判断のみによるものか。何らかの教育内容により指し示されているのか。

(問19

超音波画像診断装置の使用が自費メニューであることが解ったが、患者にとっての「費用対効果」はどのように見込まれると考えればよろしいか。例えば、画像を患者に指し示して損傷度合が確認できることをもって費用対効果は充分に得られていると考えてよろしいか。

(問20

患者満足度は「非常に満足、満足、どちらともいえない、不満足、非常に不満足」で示されることが一般的である。統計に基づいた客観的データを得ることは可能か。過去に出された出版書籍や学会論文でこのことに触れた記述があるかどうかを確認する術はあるか。

(問21

柔道整復師が超音波画像診断装置を使用する頻度はどのくらいかを知りたい。施術所の規模や勤務する柔道整復師の数により異なるとは思うが、平均して1日に4人から5人程度行われているか。多いところでは1日に20人、30人と使用している実例があるか。

あるとすれば、ばらつきがかなりあると考えられる。柔整師が超音波画像診断装置を使用するための収益は最低でも1日何人の患者が使用することで「有益」と考えればよいのか。

(問22

保険医療機関に於ける超音波画像診断使用状況についても医科との対比で聞かれる。整形外科でも多くの医院で使用されてきているし、特にスポーツ整形では使用頻度は高い。理学療法士も頻繁に勉強会を開催している状況にある。これらを具体的数値で説明できる方法があるかどうか。例えば、大規模病院、中小病院、診療所といった厚労省の示す3タイプの医療機関によって、超音波画像診断装置の使用頻度がどのように異なるか、その中で柔整師がこれを使用する価値があるか否か。価値があるとされるボーダーラインは何を根拠とするのか。

現状においては、厚生労働省医政局医事課や現場の保健所当局も整骨院で超音波画像診断装置が実際には使用されていても黙認し取り締まりの対象としていないが、積極的に容認もしていない。この状況下で当局、そして仮に厚生労働省が了解したならその後は日本医師会に対し陳情要請していくことの適否について柔道整復業界はどのように考えているのか。止めておいたほうが得策であるとの認識があるのであろうか。

                

by ueda-takayuki | 2018-09-20 17:04

上田たかゆきオフィシャルブログ


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