ワールド健保組合の低レベルで的を得ない大量の患者照会文書に抗議する


ワールド健康保険組合が行う柔道整復施術療養費についての受療内容照会に回答したところ、患者宛に柔道整復施術に関する大量の書面が届いたが、「内容がよくわからない・通院するなということか」と施術者に相談が寄せられたとの情報提供があった。この書面内容について、一部疑義があることから抗議する。

 回答書提出の結果、通院日数に間違いがなく水増しや架空等の不正請求ではないことが確認できたことをお知らせする書面だが、「今回に関しては」とあえて強調されていたり、「不正請求」という文言を多用されたり、全体的に施術を担当した施術者の不正請求を疑っているかのような内容となっており、失礼極まりないものであることから釈明を求める。

 捻挫や打撲の痛みが12週間以内で軽減するとか、「多部位(3部位以上)・長期(3ヶ月以上)・施術頻回(ひと月あたり10日間以上)」の施術が問題視されているなどとし、これらを逸脱したものはすべからく適切な受療ではないように印象付けるものとなっているのだ。負傷の程度や状況により、多部位施術・頻回施術・長期継続施術が必要な場合もあるし、痛みの程度も様々なのだが、これらを全く無視する、しろうと発想の文書である。愚かな保険者である。

 当該書面では、また痛みがあった時、または新たなケガをした際は整形外科等の医療機関に切り替えることを誘導しているのだが、これは被保険者の有する医療機関選定の自由を奪うことになるとともに、結果として医療費の浪費に繋がる。柔道整復師が初検時に患者から負傷原因の聞き取り、患部の症状を診た上で施術を行っていることを完全に無視し、柔道整復師だけの判断では信用できないとの論調であろう。このような文書の意図するところは、柔道整復師という国家資格が医師と比較して劣った資格であり、柔道整復師の施術に対する健保組合の差別的な取り扱いにも思え、患者に対し柔道整復師蔑視の疑念を持たれるのではないかと憂慮するところ。

 整骨院にかかるときの注意点として「申請書の負傷名や日数、金額等を確認してからのサインが大事」と啓蒙されていることについて、平成24312日付厚生労働省保険局担当4課長連名による『柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について』と題された通知中『自筆署名をするタイミング』について、現実問題として当該通知で示された“療養費支給申請書の内容(負傷原因、負傷名、日数、金額)をよく確認して、署名または捺印する”とあることから、このような注意喚起をされることは理解できる。

 しかしながら実際の運用として、月の最終来院日に署名を求めることは困難だ。月の最終来院日がいつになるのかは不明であり、中には初検で来院したその日以降通院しない患者も存在する。このことは内閣参質16815号の質問主意書に対する政府答弁書の中で「柔道整復師の施術所への来所が患者により一方的に中止される場合があること等から、患者が来所した月の初めに署名を行い、当該申請書を作成する場合もあることは、厚生労働省としても承知している」とあるように、厚生労働省としても認識されているところ。ちなみに当方においては、施術部位が記載された領収証を発行するなどし、患者に療養費支給申請書の内容を確認させることで、厚労省通知の主旨にも従うこととなるよう運用している。ワールド健保組合が被保険者及び患者に対し啓蒙している署名の方法は現実的には対応が困難であり、被保険者及び患者の混乱を招く恐れがある。今般の送付書面は、わざわざ新聞記事の写しを同封したり、全体的に柔道整復施術について否定的な印象をあえて患者に与える、受診抑制を意図したものであることから、徹底的に抗議して参りたい。


by ueda-takayuki | 2017-09-06 10:49

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