三井造船健保組合はどうしても医師の診察を優先させたいらしく柔整師の治療を早期に止めて医科へ誘導するのは問題ありと抗議文を発出した

 今回は、三井造船健康保険組合が実際に行っている、患者照会のあり方に関する疑義を申し述べてみたいのだ。この度、当方会員の柔道整復師の施術を受けた患者に対し、三井造船健保組合から複数回にわたり保険医療機関の医師の受診を勧める書面が交付されていることが判明した。特に、「長期施術に関するご通知」と題された書面では、整骨院で治療を受ける場合にはあらかじめ医療機関での診療を受けることを条件に、あくまで医師による治療指導を受けることを強要する内容となっている。

 さらに、保険医療機関への受診を強制するために「回答書」なるものまで患者宛に送付した上で、なぜ医療機関を受診しないのか、受診したのであれば受診済みの報告と受診していないのであれば今後の受診予定まで、保険医療機関名とその日程を明らかにするよう求められているのだが、このことに対し強く抗議しておく。

 三井造船健保組合は、患者が有する「医療を受ける自由裁量権限」を組合員及び被扶養者には認めないということでよろしいか?患者が柔道整復施術を受けることを希望し、医療機関を受診しないことが健康保険法に基づく給付制限に該当するということを主張しているのであれば、保険者権限として不支給処分にすればよいだけであり、不支給となったならば被保険者・患者・施術者のご了解はいただけないものと考えている。

 それとも、健保組合は、医師と柔道整復師を比較し、柔道整復師では治せないから医師の治療を受けろと命じられているということだろうか。当該書面中「接骨院・整骨院は医療機関ではありません。」との書面構成は、柔道整復師は医師ではなく、整骨院は医療機関ではないことを殊更強調する必要性がなんなのか全く意味が分からない。この記載は即ち、先に申し述べたように、医師に対する柔道整復師蔑視との論理構成に基づくものであると認められ、患者が有する「自由裁量権」と柔道整復師の治療を受けさせないとする三井造船健保組合の取り組みに対し断固抗議しておきたい。このことについて書面をもって回答なり釈明を求めるものだ。

 医療機関への受診を強制することを表した回答書に記載のある「前回の負傷状況回答以降」とは、具体的にいつを指しているのかが不明であり、また、いつ負傷したどの部位に対し医科へ受診する必要があるのか、この文面から読み取ることは困難でありまったく意味をなさない。ちなみに、過去に当該患者が負傷した部位については、既に治癒しており、治癒している部位をわざわざ医科へ受診させる意味はないものと考えるからだ。

さらに、今回の文書通知の表題に「長期施術」との記載があるのだが、当該患者の受診履歴からみて、部位転がしを疑っての本件照会が実施されていると推測するが、そもそも過去に負傷した部位については、繰り返すが、既に三井造船健保組合へ提出済みである柔道整復施術療養費支給申請書に記載のあるとおり、治癒しているという事実は明らかであり、過去に健保組合から当該患者へ送付された照会文書をもって負傷状況等は回答済みであるのだ。

にもかかわらず、このような医療機関への受診を強制する文書が送付されるということは、過去に調査として実施された患者照会に対する回答を、まるで無視したかのようにお見受けするのだが如何なものか?

 柔道整復師は患者を実際に観察し、その患者の症状の変化や関節を構成する軟部組織の損傷をも含めて、悪化していないかどうか、微細な部分での炎症の有無、発症状況を確認しているところであり、結果としてその捻挫症候が治癒し、しかしながら「再度痛みが現出」したりの繰り返しを訴えることが多いことから、施術者としての見立ての判断により施術を行うものだ。

結果として、療養費支給申請書上において、長期にわたり再発や症状の悪化を頻繁に繰り返すことは日常の施術の現場においては認められるところ。毎年毎月欠かさずに施術をされる場合もあり、新規負傷と治癒を繰り返すこともある。疼痛や腫脹等が緩解されれば治癒として、また、痛みや機能障害の主訴があれば新規の負傷として療養費を申請するのは、柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いがそのように組まれているからであり、柔道整復師に負荷を負わせるのはお門違いである。健保組合にはもっと勉強してほしい。

また、たとえ一つの部位に対して長期継続施術に至ったとしても、国は3ヶ月超の場合の施術継続理由の義務化や5ヶ月超の20%長期逓減などの減額措置を図るなど、長期施術についてのしくみをつくっている以上、長期施術だから認められないということではない。

当該患者の負傷部位は、その時々において負傷したものであることは、負傷年月日からみても明らかだ。それを単に、柔道整復施術の受診履歴から、長期にわたり施術を受けていることだけに着目し、医療機関への受診を強制するということは許されるものではないのだ。医師より今後の治療指導を受けることを求められる患者通知は、そのままでは認められないことから書面抗議しておく。三井造船健保組合は当方の書面を無視することなく、反論があれば反論してほしい。このことにつき、健保組合としての考えを明確に釈明すべきである。

                                                


by ueda-takayuki | 2017-09-04 12:31

上田たかゆきオフィシャルブログ


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