地方の税務署では未だに柔整師の国税滞納を患者の療養費差押えで充当しようとする勉強不足の税務署職員がいるのだ


 当方の会員である柔道整復師が国税を滞納したことに対し、税務署が当方会員である柔道整復師が施術者としての治療をした患者に係る療養費を差押えるバカな事務処理を行う場合がある。療養費が差押えできないことを説明すれば多くの税務署は理解するのだが、一部理解できない愚かな税務署職員も中にはいる。私も国家公務員時代に国税の滞納処分の事務を徴収課で経験しているので、国税滞納処分については詳しいが、療養費は柔整師の金ではなく、被保険者に帰属するのだから、柔整師が滞納した国税の差押物件としては認められない。こんな基本的なことも理解できない税務署職員の勉強不足を嘆く。療養費を柔整師の国税滞納を理由に差押えされたなら、私の理論構成を参考にして徹底的に国税不服審判所長あてに審査請求してほしい。以下の文章を参考にすれば、誰でも審査請求出来るはずだ。

 私が当方会員の国税滞納に関して、国税不服審判所首席国税審判官宛てに審査請求した理由書を参考までに掲げる(平成29324日付)。



1 原処分の判断及びその誤り

本件は、●●税務署の財務事務官(以下、単に「税務署」という。)が、全国柔整鍼灸協同組合(以下、「当方」という。)の組合員である●●●●●(以下、「当方会員」という。)の滞納国税に関して、医療保険各法で定めのある療養費を当方会員の国税の滞納をもってこれを差押えたことに対し、当方が納得せず、不服申し立てとしての審査請求である。すなわち、保険者から支給された、健康保険給付のうち療養費の支給としては被保険者、そして国民健康保険給付のうち療養費の支給としては世帯主に対して支給された療養費が、国税滞納者の差押債権として構成されるかどうかということである。

当然のことながら、被保険者・世帯主に支給され、その保険給付金を受けるべき者が被保険者・世帯主であって、被保険者・世帯主に帰属する債権につき、施術を行った柔道整復師に帰属する債権と見做して、これを差押債権として債権差押通知書を交付した税務署の違法性と誤った事務処理としての不当・失当について容認できない意思表示として審査請求を行うものである。


第2 再調査決定書の再調査決定理由の誤り

本審査請求に先立ち、請求人は平成28年●●月●日付をもって、滞納者●●●●●に係る平成28年●月●日付の債権差押処分に対する再調査の請求を行った。このことについては、平成29年●月●日付再調査決定書の交付を●●税務署長より受けたところである。決定内容としては再調査の請求を棄却するとあり、再調査決定の理由が示されていたが、あまりにも稚拙且つ法令を理解していない論理構成であることから、本審査請求においてこれらの誤りを正し、かつ同様な裁判の判例の司法判断を紹介しながら、当方の主張、すなわち本件が債権差押の適用とはならず、原処分が不当・不法の取扱いであることから、原処分の取消しを求めるものである。

 以下、詳述する。


第3 本件が差押債権と誤認された背景としての事実確認

当方は患者から委任を受け、施術を行った柔道整復師を支援する全国柔整師協会と、それをサポートする全国柔整鍼灸協同組合という団体である。

柔道整復師が整骨院・接骨院を営み、患者を治療した場合の治療費につき保険適用としたならば、患者が属する保険者宛てに、被保険者・世帯主が療養費支給申請書により療養費の支給を求め、その受取代理人として、実際の療養費を患者に代わって柔道整復師が受領するための支援を行っている。

療養費は被保険者・世帯主の請求に基づき、あくまで被保険者・世帯主に支給される。医科の診療報酬は保険医及び保険医療機関の請求に基づき、保険医及び保険医療機関に支払われることと異なっている。保険給付金の流れは結果としては治療や施術を行った者が受け取っていることから同じように見えるが、法令上の立て付けにおいては、療養の給付である現物給付(保険医及び保険医療機関)と療養費である現金給付(整骨院)ではまったく異なっていることを税務署は理解していない。

医療保険各法において保険給付を受ける権利は「譲り渡し担保に供し、差押えてはならない」規定は、療養費においては文字通りの運用として差押えは認められない。このことを税務署は理解していないのである。

次に、療養費が被保険者・世帯主に帰属するものであって、けっして譲り渡し担保に供し、差押えてはならないことを、当方が論理構成又は補助参加人として裁判に携わった判決2つを事例にして、原処分の違法性を明らかにする。


第4 札幌地裁の判決に見る「療養費の請求権は被保険者」をもって施術者に係る債権としての差押は不可である立証

札幌地方裁判所は平成28年1月13日に療養費の請求権があくまで被保険者にあることから、これが差押債権目録に含まれていたことを認めない判決を言い渡した(平成27年(ワ)第947号 柔道整復施術療養費請求事件)。

当該裁判では、受領委任に基づき治療を受けた整骨院を経営する柔道整復師の債権差押えに伴い、その差押債権目録に「療養費に関する支払請求権」が含まれていたことから、療養費の請求権を有する患者自身に支払われるべき柔整療養費を支払うように求めたところ、札幌地方裁判所の判断としては、原告の主張を全面的に認め、被告である北海道国民健康保険団体連合会に対して柔整療養費の支払いを命じたものである。ここで争点となったのは、「療養費の請求権」の帰属先である。被告は、現在の受領委任払いの実態や、患者や柔整師の認識に着目すると、療養費は医科・歯科・薬価・調剤の医科本体の診療報酬と事実上何ら異なるものではないとして、療養費の請求権は柔整師に帰属すると言わざるを得ないと主張した。差押えに係る債権の金銭として療養費を執行供託したもので、原告への支払い義務は消滅していると主張した。しかし、原告側は国民健康保険法による保険給付を受ける権利に鑑みた場合、受領委任払いはあくまでも償還払いの例外的取扱いに過ぎず、保険医療機関等を帰属主体とする診療報酬の請求権とは異なり、療養費の請求権は被保険者の属する世帯の世帯主が帰属主体であると主張したところであった。

結果としては、受領委任払いが現物給付化されている等の実質面を主張した被告側に対し、法的論拠を説いた当方原告側の主張が全面的に認められた判決であった。


第5 札幌高裁も判決に見る「請求権は譲渡禁止」をもって本法の受給権の保護規定から差押えは認められない判決をもって当方側勝訴で判決確定

既出第4 で述べた事件は、言うまでもなく柔道整復師が債権の差押えを受けたことに対し、その差押債権目録に療養費に関する支払請求権が含まれていたとして、提訴し勝訴したところ、北海道国民健康保険団体連合会が一審判決を不服として札幌高等裁判所に控訴した。その判決が平成28年6月28日に判決言渡しがあり、北海道国保連の控訴を棄却した(平成28年(ネ)第60号柔道整復施術療養費請求控訴事件:原審・札幌地方裁判所平成27年(ワ)第947号)。

一審判決は、受領委任払いが現物給付化されている等の実質面から診療報酬と同様、療養費における請求権限も患者から柔整師に債権譲渡されているとする被告の主張ではなく、「請求権は被保険者の属する世帯の世帯主に帰属する」と法的論拠を説いた当方原告側の主張のみを全面的に採用した判決となった。控訴審における札幌高等裁判所の裁判長は、国民健康保険法第67条に基づき、「療養費請求権は保険給付を受ける権利の一つとして法律上譲渡が禁止されている」とした上で、一審判決と同様、療養費請求権が柔道整復師に債権譲渡されたと認められないとしたのである。柔道整復師に債権譲渡されたのでないことから、柔道整復師が抱える債務に対する債権としての差押えはできないのは当然のことである。


第6 差押えは当然と豪語していた北海道国保連が上告せず判決確定に至る

 当方の事前調整に対し、何らも耳を貸さず「債権差押えは当然である」と豪語していた北海道国保連も、当方の理論構成を全面的に地裁・高裁において採用されたことを重く見たらしく、被告北海道国保連は上告しなかったことから、当方原告側の完全勝訴で判決が確定した。この事実を原処分庁である佐賀税務署長はなぜ理解できないのか。

再調査決定書の謄本に記載された再調査決定の理由は認められない。


第7 ●●税務署のみが柔整療養費請求権を差押債権と認定するのは何故か

 他の税務署においても、過去において診療報酬債権と療養費の健康保険法及び国民健康保険法等の医療保険各法における立て付けを理解できないことから、従来までも何度か医科の診療報酬債権同様の主旨で差押え債権として認定されそうになったことがあった。しかし、当方で説明すると事なきを得てきたのであるが、北海道国保連は差押えが当然であるかのごとく主張したところ。当方の法令的論拠に係る説明も受け入れなかったことから、やむなく訴訟として提訴の上、最終的には既出第4から第6で述べたとおり、療養費に係る支払請求権が差押えることが本法の受給権の保護規定により認められないことから、請求人としては本件も差押えの対象とはならないことを強く主張しておく。


第8 大阪市を相手取った裁判でも療養費請求権が被保険者・世帯主に帰属すると判決

柔道整復施術療養費があくまで被保険者・世帯主に帰属するものであり、柔道整復師は単に受領委任の取扱いから「受取代理人に過ぎない」ことをもって、施術者である柔道整復師の債務に対する債権差押えの対象として認められないことを、当方が原告側として参加した裁判の具体的事件を例にして説明してきたが、それでも税務署が理解できないというのであれば、当方が補助参加人として裁判係属に参画した事件である、(平成26年(行ウ)第37号 療養費支払請求事件)をも説明・解説し、税務署の原処分の誤りを指摘しておく。


第9 当方と患者らが大阪市を相手取った裁判も当方が完全勝訴

大阪市が国民健康保険の被保険者が患者として受療した柔道整復施術について、その支給済みの療養費につき、後日患者調査を行い、施術部位の相違等の理由の判明をもって、支給済み療養費の返還を求めるにあたり、施術を行った同一の柔道整復師が受け取るべき療養費から、返還すべき療養費を自動的に「相殺処理」として実務処理をした問題があった。

すなわち、返還を求める療養費を全く別の世帯主に支給される療養費をもって、施術者が同じ柔道整復師なのであれば、どっちみちこの柔道整復師に療養費が支払われることに変わりはないのであるから、それぞれを自動的に相殺処理して、調査事案で支給してはならなかったことが判明した支給済みの療養費を、結果としては他の世帯主に支給すべき療養費をもって自動的に保険者において相殺処理したことが認められないと当方側が原告となった裁判であった。


10 補助参加人としての当方主張が完全に認められ勝訴判決

 当方が原告側の補助参加人に名を連ねて、大阪地方裁判所に係属された平成26年(行ウ)第37号療養費支払請求事件の判決が平成28年2月17日に大阪地方裁判所で判決言渡しがあった。ここでも当方の主張が全面的に認められた。療養費は被保険者の属する世帯の世帯主に帰属するのであるから、施術を行った柔道整復師のものではない。よって、返還を求めるべき支給済みの療養費を別の世帯主に支給すべき療養費でもって相殺処理をすることは認められないことから、相殺処理の対象となった世帯主には療養費の全額が支給されていないのだから、その支払いを命ずるというものである。完全に100%の勝訴である。

審査請求人としては、本件●●税務署長が行った原処分の誤りについて、審査請求の理由として、当方が実際に関わった裁判判決の論旨をもって、法律上の司法が判断する受給権の保護を用いて審査請求の理由として説明してきたところである。原処分の取消しを求める理由を具体的かつ明確に記載したが、最後に、大阪市を相手取った一審完全勝訴の論理構成と大阪地方裁判所が当方の主張を全面的に認めた点に触れておく。

(一)国の運用通知に見る柔道整復施術療養費の取扱い

健康保険や国民健康保険適用の対象者である患者が柔道整復施術を受けた場合、当該柔道整復施術に係る費用については健康保険法第87条及び国民健康保険法第54条において「療養費」として現金給付の対象となっている。療養費の支給申請にあたっては、療養費支給申請書に健康保険法施行規則第66条及び国民健康保険法施行規則第27条にある事項を明記する他に、実際の療養費支給申請の事務にあたっては、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の一部改正及び受領委任の取扱いの改正について、保発0424第1号及び保発0424第2号をもって厚生労働省保険局長から通知され、これを受けて、その取扱いについて「柔道整復師の施術に係る療養費について」保医発0424第1号の厚生労働省保険局医療課長通知が示されている。税務署はこれさえ理解していないものと思われる。

 健康保険法によれば、療養費は被保険者が申請し、被用者保険の保険者は被保険者に対し保険給付決定を行う。また、国民健康保険法によれば、療養費は被保険者の属する世帯の世帯主が申請し、国保の保険者は世帯主に対し保険給付決定を行う。保険給付決定は個別申請ごとにあくまで被保険者又は被保険者の属する世帯の世帯主に対し支給決定されるのである。今般、当方会員が施術した柔整療養費を会員の債務に充てることを目的にこれを差押えたことが法令上認められないことを審査請求人として縷々述べてきたものである。

(二)大阪地方裁判所の判決(要旨)

一審の大阪地方裁判所の判断としては、原告側として補助参加人の立場で当方が主張した意見どおりの内容であり、すべからく一審において採用され勝訴判決に至っているところ。大阪地方裁判所の判断としては、

・原告らの療養費について、実際に支給決定額全額が支給されたと推認することはできない。

・療養費の支給決定額全額について弁済がされたことを認めるに足りる証拠はない。

・過誤調整の対象者となる場合でも、支給決定の取消決定がされない限り、当該世帯主が被告に対して負う債務は想定されないのであって、受領委任合意の内容として、当該世帯主が有している療養費請求権を相殺ないし当該世帯主と被告との間の相殺合意で消滅させる旨の意思表示が含まれると解することもできない。

・支給決定の取消し及び不支給決定という行政処分によらず免除を認める結果、申請者である当該世帯主(原告ら)において、行政処分に対する審査請求といった行政手続上の不服申立て又は行政訴訟の提起をすることができなくなる。

・療養費をいったん支給した上で過誤調整するという方法は、少なくとも被保険者の属する世帯の世帯主の合理的意思の解釈として無理があるといわざるを得ない。

・受領委任合意の内容として、過誤調整がされることを前提として過誤調整分に係る療養費相当額について被告による支払を免除する旨の意思表示までをも含む合意をしたと推認することはできない。

※現段階においては、二審の大阪高裁もこれを追認し、大阪市の控訴は棄却される可能性がきわめて高いものと思われる。

なお、近々にも控訴審(平成28年(行コ)第75号 療養費支払請求控訴事件)の判決が言い渡されたなら、追って大阪高等裁判所判決に係る資料等の提出を国税不服審判所長(実際の窓口は●●国税不服審判所主席国税審判官あて)に行うことを念のため申し添える。

(三)他の判例でも明らかになっている権限の帰属主体について

既出第4から第6までにおいて述べた、平成28年の札幌高裁での判決により、司法は柔整療養費は被保険者の属する世帯の世帯主に帰属するものであることを明快に判断されたにもかかわらず、なぜこのような原処分がなされるのか。

この裁判は一審の札幌地方裁判所係属事件から、当方が原告として柔道整復師に帰属する債権ではないことを訴えたところ、当事者適格がなく、任意的訴訟担当としても認められなかったことから、改めて世帯主の原告として提訴し、完全勝訴したものである。すでに北海道国民健康保険団体連合会が上告せず判決が確定していることもすでに述べた。

併せて、兵庫県国民健康保険団体連合会が柔道整復師から訴えられた裁判では、兵庫県国保連が「療養費は世帯主のお金だ。柔道整復師には療養費の請求権はないのだから関係ないだろう」と主張し続け、これが裁判でも認められている(別添資料11参照)。

この裁判判例でも柔道整復師は療養費の支払請求権を有しないと判決があり、この判決が確定しているにもかかわらず、兵庫県国保連と同じ立場にある大阪府国保連が真逆の主張をこの控訴審で繰り返していること自体滑稽であり、審査請求人は理解できないことである。

審査請求人が考えるには、原処分庁である●●税務署長も大阪府国保連も、他に過誤調整として相殺処理の事務を行っている他の国保連も、いずれも「医科等の診療報酬債権」と柔道整復療養費の法的位置付けの差が理解できていないことにすべての問題があると断言する。 

国保連においても、また、施術者側である柔道整復師においても療養費支給申請書のことを「レセプト」と呼んでいるが、これは誤りである。レセプトというのは医科等の診療報酬明細書のことだが、呼び名でも区別していないのだから、診療報酬債権と療養費を混同してしまっているのであろう。しかし、法律では、国民健康保険法でも健康保険法でもその本法において受給権の保護の規定から「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない」とされていることは明らかである。

では、医師の診療報酬債権はなぜ受給権の保護規定の適用外なのかといえば、患者や被保険者や世帯主に支給される保険給付ではなく、医師等の債権であるとされたからである。これが決められた昭和25年当時は医師の診療報酬請求権についても、法の趣旨から類推して、差押えまたは譲渡の対象とならないと解されており、事実、厚生省保険局長の通知でもそうなっていたところ、昭和27年に国税庁長官から保険局長あての通知「健康保険医の診療報酬債権に対する差押えについて(昭和27年3月6日徴収二三四)に基づき改められ、法が定める「保険給付を受ける権利」には診療報酬債権が含まれず、従って滞納処分も可能となったのである。国税当局がこの運用を決めなければならないほど、国税を滞納する医師・保険医療機関が数多存在したということである。

一方、療養費はあくまで被保険者・世帯主に帰属するものであって、法が求める「保険給付を受ける権利」そのものであることから、譲渡したり担保に供したり、差押えすることは絶対に認められない。このようなことは、国民健康保険団体連合会や市町村役場に勤務する公務に従事する職員であれば当然理解出来ている。

事実、兵庫県国民健康保険団体連合会が被告となった裁判(これには私も関与している)では、国保連は一貫して「柔道整復師には自ら療養費を請求する権利はない。療養費は柔道整復師のものではない。」ことを主張し、判決としては被告側の兵庫県国保連が全面勝訴した。同じ国保連という組織において、なぜ180度考えが異なるのかは、単に置かれている立場上の問題であって、法令を理解しているか否かということとは必ずしも一致していないのではないかと推察される。

受領委任の取扱いが誰のために認められたかといえば、これは明らかに「患者保護」の見地から認められたのである。患者がケガの治療のために少しでも施術を受け易くするための工夫として、窓口での一部負担金だけで整骨院に行けるようにということであって、柔道整復師のために設けられたものではない。税務署はこの点も誤解している。

繰り返して言うが、療養費の支払請求権はあくまで被保険者・世帯主に帰属するものであることから、施術者という第三者の債務のために債権と見做してこれを差押えることは法令上絶対に認められないのである。これを理解しないままに柔道整復師である施術者の債権と判断して債権差押通知書を交付した原処分庁である税務署の判断は明らかに誤りである。


11 結論

以上のとおりであるから、●●税務署の財務事務官が行った債権差押え通知書にある原処分には、医療保険各法における柔道整復施術療養費の支給としての法令上の判断に明らかに誤りがあるものと認められ、明らかに不当・失当である。

また、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準や具体的に柔道整復施術の受領委任の取扱いの対象を明記した厚生労働省保険局長通知や同省同局医療課長通知による留意事項の運用上の解釈にも、原処分を容認できる規定は存在せず、結果として佐賀税務署の債権差押え通知は齟齬・欠陥があるものと言わざるを得ない。 

健康保険法や国民健康保険法等の医療保険各法に定めのある療養費の規定上において、併せて、厚生労働省保険局長及び同局医療課長が柔道整復施術療養費の運用上の取扱いとして通知した関係諸通知の取扱いに鑑みた場合、当然のことながら●●税務署の行った柔道整復施術療養費を滞納者の債権としてこれを差押える通知書の発出は認められない。

したがって、原処分は破棄を免れず、審査請求人の請求は認容されなければならない。


以 上


 税務関係の差押案件に係る文書を25年ぶりに作成した。国の職員として滞納整理にあたっていた若き30歳代の私は、過激に滞納者を許さずと一所懸命に滞納処分の仕事をしていたことが懐かしく感じられる。しかし、現行の税務署職員の低レベルには呆れるばかりだ。療養費は法令により差押えできない。ましてや療養費は柔道整復師に支給されていない。だからこそ患者の署名が必要なのである。とにかく税務署の皆さんは勉強してほしい。あまりにも知識がない者と私は議論ができない。


by ueda-takayuki | 2017-03-24 15:42

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