日本精工健保組合は明確な外傷性負傷とは言えないと返戻してきた

 日本精工健康保険組合からのこの度の返戻理由は、「運動、試合出場されており、明確な外傷性負傷とはいえないため」とあるのだが、あまりにも抽象的すぎて意味不明であることから、本件に係る当方の考えを申し述べ、このまま再申請することにした。

 柔道整復の保険適用となる急性・亜急性の外傷性の捻挫及び挫傷においては、かならずしもケガと同一ではなく、患者が覚えていないから明確な外傷性負傷とはいえないという指摘は不当であると考える。

 なぜならば、病理学的見地からいえば、酷使(Overuse injuries)は、痛みが存在する限りにおいて亜急性炎として認められるものではないか。すなわち、炎症は主として時間的な経過や炎症の強さから急性炎と慢性炎に分けられており、疾患によっては、その中間的な炎症があり、これは亜急性炎と呼んでいるのである。(医学大辞典:医歯薬出版 1987.6.15

 そうすると、酷使(Overuse injuries)は、スポーツ外傷の原因で最も一般的なものであり、人体への反復的ストレスや過剰な負担のことをいうのが明らかである。それは、筋・腱・軟骨・靭帯・筋膜や合併される外傷を構成する。酷使に係るリスクは個人的要因や外因により複雑な様相を呈するものだ。個人的要因には、筋が弱く外力に適応していくのが一般的と学術上されているではないか。関係者はもっと医学文献を紐解いて貰いたい。私だけが勉強しているようなものだ。

関節からも傷、不完全な骨、不均整(アンバランス)な四肢、トレーニングエラー、環境要因、トレーニング器具の性質が含まれる。

 このことから、施術者は酷使による外傷性の負傷と判断し療養費として支給申請したところであり、健保組合の返戻理由は誤りである。

 また、健保組合は事務長名で、本件患者については健康保険適用の停止などという、受領委任の取扱い上、何らも規定のない勝手な事務通知を発出されているのであるが、これは極めて問題である。

 これらのことから、施術者は当然の権利として療養費支給申請書を提出したところであり、なんらの不備もないことからこれ以上の不備返戻は止めてもらいたい。

 なお、療養費として支払いができないと保険者は判断したのであれば、その理由を明らかにした上で被保険者宛に不支給決定通知書を発出するのが保険者の決定というものではないのか。

 そうすると、施術者は保険者が保険給付を認めなかったことの実績に基づき、施術費用を被保険者に請求する。この場合、被保険者が不支給処分に不服があるのであれば、別途、被保険者本人が関東信越厚生局社会保険審査官に対し審査請求をすればよいだけのことである。不備返戻などという嫌がらせではなく、きちんと保険給付決定処分(不支給も含む)をすることが、保険者の義務であることを念のため申し添えておいた。


by ueda-takayuki | 2017-01-20 13:33

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