東京文具販売健保組合の鍼灸治療を認めない審査請求は棄却され残念な結果に終わる

東京文具健康保険組合が、被扶養者の受けた6疾患である頚腕症候群に係る鍼灸施術の療養費支給申請を「保険給付の対象として認められない」と不支給処分にしたことを被保険者側が納得しないことから、関東信越厚生局の社会保険審査官に審査請求をした結果、平成27年6月26日付けで決定書の謄本が送付された。残念ながら「この審査請求を棄却する」との主文であった。本件は、被扶養者が高度先進医療を自費で受け、妊娠を望んでいることから、頚腕症候群の症状の軽減を目的とするための投薬を希望していないことから、保険医の同意を得て、鍼灸施術を受けたものである。当初、審査請求人にはなぜ不支給になるのかが理解できないことから保険者に具体的な説明を求めたが埒が明かず、上田たかゆきを審査請求人として審査請求を行ったものである。棄却された理由は2点あり、①同意医師が主治医ではないこと。②患者は保険医療機関から妊婦及び妊娠している可能性の婦人には禁忌薬である、バクタ配合錠及びイムラン錠が処方されていることを認めている。つまり、
①同意医師は主治医である原則があるにもかかわらず、主治医でない者の同意での施術である。本請求期間において緊急性を要していたものと認められず、主治医より同意書の交付を受けることが困難であった自由が見当たらないこと。
②保険医療機関より投薬がなされている一方で、妊娠を望みできる限り投薬は避けたいという理由には整合性を欠く。
ということで、不支給処分は妥当であって取り消すことはできないという。
この事実を被保険者に伝え、患者側から自費で施術費用の残額の支払いを受けられるのであれば完結だが、被保険者・患者側が引き続き不服を申し立てるのであれば、厚生労働省の社会保険審査会への合議制による「再審査請求」の事案となるのかの判断を要する。はじめに「棄却ありき」の論理構成であり、社会保険審査官の無能さが露呈された、情けない棄却処分である。鍼灸施術について論調を重ねているにもかかわらず、決定書本文ではまったく関係のない「当該被扶養者が受けた当該傷病に対するマッサージ施術は、法87条に規定される保険医療機関等以外の・・・」と決定書最終に書き込まれ、そもそもマッサージ療養費とはり・きゅう療養費さえも混同しているお粗末ぶりである。情けない限りである。
by ueda-takayuki | 2015-06-30 15:42

上田たかゆきオフィシャルブログ


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