近接部位の算定方法について厚労省に問合せても明快なご回答なし

近接部位の算定方法に厚労省保険局医療課がまともに回答しないのは職務怠慢ではないのでしょうか。
 平成26年12月22日付で、当方と、岐阜県国民健康保険等柔道整復療養費審査委員会並びに秋田県国民健康保険等柔道整復施術療養費審査委員会との間で疑義が生じていた「大腿部挫傷と殿部打撲は近接に当るか否か」との問題を解決するために、近接部位の算定方法を医療課長通知で発出している厚労省担当課長に書面をもって照会した。もちろん本省への照会に当っては、当方と意見が全く相違している岐阜県と秋田県のそれぞれの国保連の柔整審査会に再三の督促をしても回答がないため、併せて、地方厚生局にも確認したところ回答する立場にはないということであったことから、事務作業に支障をきたしてどうしようもなく、やむなく厚労省あての照会となったものである。当時の照会文書は次のとおりである。

全柔協入発1222第1号
平成26年12月22日

厚生労働省 保険局
医療課長 M 様
 
全 国 柔 整 師 協 会


柔道整復施術療養費に係る近接部位の取扱いについて(疑義照会)


 平素は柔道整復療養費の取扱いにつきまして格段のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、この度、岐阜県国民健康保険等柔道整復療養費審査委員会並びに秋田県国民健康保険等柔道整復施術療養費審査委員会より、標記の件につきまして審査の判断上疑義が生じております。
 このことにつきましては、それぞれの審査委員会が管轄の地方厚生局(東海北陸厚生局、東北厚生局)を通じ厚生労働省本省に問い合せたうえで、近接部位であるとの見解を明らかにされました。具体的には、別添資料にあるとおり右大腿部挫傷と右臀部打撲は連続していることを理由とした近接部位であると判断されております。
 しかしながら当方としましては、大腿部と臀部の間には6大関節である股関節が存在しており、そもそも近接部位にあたらないことから、負傷名の記載に際して部位の上部・下部の表示自体が不要であることが明らかであり、全く理解できないことを重ねて主張してきたところです。
 各県審査委員会における近接部位の算定の判断にあたっては、過去から何度もトラブルになり、例えば三重県及び広島県の審査委員会が主張されていた手根中手関節捻挫と前腕部挫傷、また足根中足関節捻挫と下腿部挫傷が近接部位にあたるので算定できないとか、そもそも手根中手関節捻挫や足根中足関節捻挫という関節名が認められないとか、最終的には前腕部挫傷や下腿部挫傷に上部又は下部の記載をせよと意味不明な主張をされましたが、最終的には当方の主張した「近接部位にあたらない」ことを保険局医療課 T療養指導専門官(当時)の指導により、これらの問題は解決したところです。
 別添資料にあるとおり、岐阜県国民健康保険等柔道整復療養費審査委員会が厚生労働省の見解を問い合わせた上と主張していますので、この場合厚生労働省の見解とは、木山療養指導専門官であることが明らかであることから、何故このような指導になるのかの説明を求めます。
 明解な回答を得られないのであれば、当方としては政治的・法律的な取り組みを取って参りたいと思います。
 以上のことから、何故近接部位になるのかの明解な回答を求めますので、ご多忙中誠に恐れ入りますが、何卒書面にてご回答いただけますようお願い致します。
以 上
 これを受けまして、厚労省保険局医療課がこの書面照会に対し、完全無視を決め込んでいたことから、当職から平成27年4月15日付をもって、疑義照会の督促という書面にて回答の督促を促した。要は簡単なことなのだ。大腿部挫傷と殿部打撲は近接に当らないとする当方の主張に対し、岐阜県と秋田県の国保連柔整審査会が「近接部位にあたる」と判断しているので、どちらが正しいのかの二者択一による判断を求めたに過ぎない。その結果、平成27年5月20日に厚生労働省保険局医療課長より回答があった。驚くべき低レベルの回答であったのでここに掲載する。これは、当方に対する行政の基本的姿勢を反映するものであって、もっと言えば柔道整復師業界が厚労省には全く相手にされていないというべき現実を露呈するものであることから、重大なる問題意識をもって厚労省の回答書面を掲載するが、私たち柔整業界が完全に舐められ相手にされていないことについて憤りを超えて情けない思いでいっぱいであります。

【厚生労働省保険局医療課長回答】
(回答)
お尋ねの近接部位の算定方法につきましては、平成9年4月17日付け保険発第57号(最終改正:平成25年4月24日保医発0424第1号)「柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項」第5、4、(1)において、「算定できない近接部位の負傷例」「算定可能な近接部位の負傷例」としてお示ししているところですが、これらに含まれない事例については、すべての例をお示しすることが困難であることから、療養費の支給については健康保険法第87条に基づき、保険者が個別に判断することとなります。なお、保険者による支給・不支給に関する処分に不服がある場合は、健康保険法第189条の規定に基づき、社会保険審査官に対して審査請求を行うことができます。
厚生労働省保険局医療課が回答として、何を言っているのかよく分からないが、簡単に言えば、
①通知で示した近接部位の算定方法以外にもたくさんの近接部位のパターンがあるけれども、全部が全部示すことができないので、保険者判断になる。
②文句があるなら社会保険審査官に対し審査支給をすればいいだろう。
というものなのだ。行政の投げやりな態度からは、柔整業界の近接部位の算定方法を適正なものに指導していく態度は微塵もうかがえないではありませんか。近接部位の算定方法について行政は実際は何も分からないのである。しかし、決定権は通知を定めた保険局医療課にあるのではないか。判断基準を示すべき担当部局が「よくわからないから」ということで、その判断すべき責務を放棄し「保険者判断」と一蹴したのなら、すべからく近接部位は認められないことになるのである。厚労省も保険者も“近接部位の算定法の詳細”については、何も解ってはいないのです。私と議論させてほしい。私を無視しないで療養費の適正化のために行政には汗を流してほしいのです。柔整師が絶滅しても本当に良いのでしょうか。
by ueda-takayuki | 2015-05-25 14:51

上田たかゆきオフィシャルブログ


by ueda-takayuki