協会けんぽ奈良が行う会社への「立入検査」の可否について

協会けんぽ奈良は、鍼灸療養費の確認作業の一環として、被保険者の勤務先の事業主に立入検査を行う通知を出して、実際に立入検査を行ったという。出勤簿や賃金台帳を確認する作業は、傷病手当金や出産手当金という「休業補償」の位置づけの保険請求に行われているのであるが、それを鍼灸療養費の確認のために実施するというのだ。健康保険法第198条第1項の規定により、これは厚生労働大臣の行政権限とされているが、社会保険庁長官の権限でもあった。社保庁解体後、全国健康保険協会と日本年金機構が社保庁の業務を引き継いだ経緯から、本来、全国健康保険協会は保険者であっても健康保険法第204条7の規定により、立入検査の行政権限を「大臣権限に係る事務委任」という形態をもって与えられている(ただし、厚生労働大臣の認可を得る必要あり)。本件は、鍼灸療養費の取扱いについて、協会けんぽ奈良から先ずは同意医師に対し同意に至った経緯や鍼灸施術が疾患に与える医科学的効能効果について文書照会するも、同意医師から「そんなことに答える必要はない。鍼灸の施術は有効」という旨の回答があったことから、同意医師を責め崩すことができなかったので、今度は患者の勤務先を狙ったものなのではないだろうか。このような保険者の異常な取り組みを、鍼灸柔整新聞の6面に解説記事を書いて投稿しておいた。立入検査にあたり、厚生労働大臣の事前認可をどのように取ったのか。療養費の支給にあたって事業主確認を要するということはどういうことなのか。まったく理解できない。鍼灸療養費の支給決定にあたり、会社の事業主に立入検査を実施するというのは異常な行動と思うが如何か。
by ueda-takayuki | 2014-09-10 16:08

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