兵庫県加古川健康福祉事務所に広告規制指導に関する反論を行う

兵庫県加古川健康福祉事務所の広告制限に対する反論の取組として、反論書面が完成したので平成26年6月30日付けで下記内容にて反論した。

1 広告事項の点検等に関する書面の不当・失当についての疑義論旨

広告事項等点検書面によれば、標記の広告については、法令等で制限されており、一定事項(名称、所在地、電話番号、施術時間等)しか広告してはならないこととされていることから、施術所における違反広告の事例(文書2)により事例解説されています。
しかしながら、違反広告の事例のうち1適応症・病名を広告すること及び7その他の各種保険取扱を違反広告と位置づけられることに関しては、妥当且つ適切な違反広告事例とは認められないことから撤回を求めます。
柔道整復師が施術所内外で表示している記載事項は、あくまで柔道整復施術業務に係る営業種目に関する「事実の告知」に過ぎません。施術を行っている内容を事実に基づき正確に患者あてに知らせているに過ぎないのです。
骨折・脱臼・捻挫・打撲・肉離れ・挫傷の治療に当たっては、厚生労働省という「国」が認めた施術行為であって、柔道整復師が行うべき本来業務を表示するなと言われても施術者にとっては納得できず、また、この事実を告知することが広告制限に抵触するとは思えません。営業態様の告知を表記しただけであります。このことは、国、保険者等の患者用のパンフレットにも表示され、国、保険者自らが広報しています。柔道整復師は単に施術担当者として行っている施術内容を個別具体的に患者さんが理解しやすいように列挙したまでのことであり、施術メニューとして実施している事実を告げただけのことです。パンフレット等の配布物として広く大衆に供したものではなく、治療院の内外の表示において営業体系の事実を患者さんに告げたまでのことです。よって、広告をしたものではないことから、広告の制限には該当しません。広告の定義である「誘引性」は無いのです。

2 有免許者と無免許者の別に関する貴事務所長の行政指導の不当・失当についての抗議反論

 柔道整復師の国家免許を有する施術者が、単に施術メニューの実績を事実の告知の名の下に提示したことをもって「広告制限」を理由に違反広告の事例とされるのであれば、街に無造作に放置され、やりたい放題の無免許者に対する行政指導を具体的に行わないのは、逆差別とも言える不当・失当であります。
 当方は無免許者に対する指導・取締りを強く求めます。彼らを野放しにしておいて、有免許者だけは身分法に定めのある広告規制に関する法条文を根拠に指導されるのは甚だ疑問です。広告規制に係る身分法の立法の主旨は、①過当競争の防止と、②虚偽の広報に関する抑止作用、にあるのです。貴事務所長が行う指導の正当性を主張されるのなら、まず、あはき身分法第12条により、無免許者の取締り対象を徹底すべきではないでしょうか。すなわち、同一指摘事項に関して無免許療術を行う者に係る指導を徹底されるのが先決ではないかということです。 
 貴事務所長が違反広告内容と断じている基準以上に酷い記載が多くの無免許療術所において現実に認められるにもかかわらず、これらには目を瞑り、一方的に関係法令を楯にして有免許者のみを指導されることに納得できません。このことについて強く抗議いたします。

3 当方の本件施術所における違反広告の事例(文書2)に対する基本的な考え方の説明
  
広告規制や本件施術所における違反広告の事例(文書2)に対する私どもの基本姿勢は次のとおりです。
①クイックマッサージ・整体・カイロプラクティック・アロマテラピーその他の無免許者全般の取締りがなされていないことが遺憾。法令の主旨は過当競争の防止と虚偽の広報に関する抑止作用にある。有免許者と無免許者との比較で有免許者には不満が出てくる。先に、あるいは同時に無免許者の取り締まりを実行させるべきである。

②行き過ぎた広告や患者の誘引性が顕著な広告、交通事故専門とかガンも治せるなどの虚偽及び誇大広告の制限は当然だと理解できることから、法令上認められない記載については当方も了知の上、認識している。

③特定性や誘引性に鑑みて、捻挫や打撲などの業務内容を告知することがなぜ「広告」と言えるのか。広告の3要素(誘引性・特定性・認知性)を満たしてはじめて「広告」とされるべきである(パソコン上のHP等はこの理由で広告とはならないと判断されている)。

④国民・患者は無免許者との区別ができない状況下で、治療する資格を有する施術者が骨折・脱臼(要医師の同意)、打撲・捻挫・挫傷の表示を外したなら何をする施術所なのかが分からず、国民・患者は混乱し、無免許者による医療過誤が発生する危険性、大となる。

⑤骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷という業務内容を「広告」と解釈していること自体が誤りである。今、「広告」に関する虚偽・誇大広告が蔓延っている実態であるのは事実。しかし、肩や腕などの打撲や捻挫の表示には、何ら誘引性・認知性・特定性がないのだから「広告」ではない。国民皆保険制度の中で、公的医療保険で年間4,500億円程度の取扱い実績がある。業務内容を国民に告知することが虚偽広告にあたるのかどうか。これは「表現の自由」に抵触する憲法違反ではないか。

⑥規制対象とすべきは国民に対して何らかの危害を加える可能性があるものである。繰り返すが、業務として治療を実施しているものを表示してなぜ「広告」と判断されるのか。

⑦保険者からは医療費通知とともに「整骨院のかかり方」と題されたパンフレットで骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の施術が受けられることも案内されていることから、患者が整骨院で骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷での治療を受けていることが確認される体制に置かれているのが現状である。そこで看板や掲示物から施術業務内容を削除してしまったら、患者さんの認識として「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」に対する柔道整復師の治療が違法であるとの誤解を与えてしまうことにならないか。

⑧療養費の取扱いで一般の患者に知らしめるために、「各種保険取扱」の表記ができないとする根拠は何か。告示で定めのある「医療保険療養費支給申請ができる旨」とは具体的にはどのように書けば認めていただけるのか。健康保険での療養費の取扱い、労災保険又は生活保護の取扱いにおいても指定を受けている。具体的な記述の仕方を教えてもらいたい。

⑨我が国の公的医療保険は「国民皆保険」の制度であり、保険事故に対して保険給付が補償されている。保険給付には療養の給付、療養費の支給があり、患者さんにはその取扱いが可能な「取扱治療所」で保険給付を受けることが、なぜ公共の福祉に反するのか。

以上の9事項について、貴事務所長のお考えを個別具体的に明らかにしていただきたいです。

4 貴事務所長の取組みは憲法が保障する「表現の自由」に反する暴挙であること
今回の貴事務所長が主張される施術所における違反広告の事例をこのまま受け入れ、広告事項の点検等に関する指導が広く実施されるのであれば、結果としては柔道整復師にとって無資格者である他方をことさら利することになり、明らかな柔道整復施術の営業妨害に当たることが明白であることから、今後貴事務所長におかれまして、何らの誠意あるご対応がいただけない場合には、日本国憲法第21条に定めのある「表現の自由」を論拠とした法的手続きも辞さないところです。
当方は柔道整復師が骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷についての表示や各種保険取扱との表示につきましては、当局のいう「広告」の対象とはならないことを今後も主張してまいります。



5 当方がとり得る協力体制と厚労省配布資料記載の紹介について

広告規制にあたっては、一部行き過ぎた表示と認められる「交通事故専門治療」、「むちうち専門治療」、「単なる肩こり治療」等に対するご指導は理解できるものの、柔道整復師法第24条第1項及び厚生省告示に掲げられた事項以外は一切認めないという指導が開始され、全国に広まる様相をみせていますが、そうすると、実際問題としてはほとんど何も表示できなくなってしまいます。
徹底した広告規制の指導を保健所等の当局に望む声がかねてからあったところであることは了解しており、当方といたしましても、違法や不当な広告や行き過ぎた事案については当方会員への指導も含め、適宜対応して参りたいと考えております。
しかしながら、施術者団体としてどうしても納得できない点として、施術の事実を患者さんに告知することが広告規制の対象となるのかという疑問と、我々、有免許者だけを指導し、無免許者には何らの指導もしない実態に対し不信感を抱かざるを得ません。
柔道整復師の業務に係る表示として捻挫・打撲等を記載できないならば、整骨院は何をやってくれるところか皆目分からなくなってしまわないでしょうか。患者さんに対し捻挫や打撲等を認識させることが、虚偽及び誇大広告に繋がるとは思えず、これらの表示には広告の3大定義に照し合せても、何らの①誘引性・②特定性・③認知性も認められません。
平成26年1月21日~22日に開催された「全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)」での資料中、医政局医事課からの連絡事項「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の施術所についての(2)広告の指導について」によれば、適応疾患及び適応症状等について広告することは認められないとの記述はありませんが、今後、現場の保健所の運用では、貴事務所長が今般発出された文書に見られるように、通知等の拡大解釈により誤った指導が行われることは遺憾です。さらに、全国の接(整)骨院で当然のように表示されている「各種保険取扱」の表示も認められないとする指導には、施術者団体として異を唱えることは当然のことなのです。

6 消費者基本法にみる当方主張の正当性について

患者さんを保護する見地に立った場合、消費者基本法の規定が参考になります。
ここでは、当該法律の一部分を抜粋して、参考までに掲載します。


消費者基本法
第15条
(広告その他の表示の適正化等)
国は、消費者が商品の購入若しくは使用又は役務の利用に際しその選択等を誤ることがないようにするため、商品及び役務について、品質等に関する広告その他の表示に関する制度を整備し、虚偽又は誇大な広告その他の表示を規制する等必要な施策を講ずるものとする。
第16条
(公正自由な競争の促進等)
国は、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の拡大を図るため、公正かつ自由な競争を促進するために必要な施策を講ずるものとする。


消費者基本法の立法精神の一つである「事実を忠実に伝えること」を柔道整復施術に当てはめると、柔道整復師が何を行う国の免許者であるのか、また、患者さんが施術行為を具体的に認識されたうえで柔道整復施術を選択する機会を得られるようにする必要があるということではないでしょうか。

7 当方が求める具体的要望事項について
 当方が貴事務所長に求める具体的な要望は、違反広告の事例(文書2)中の違反広告内容とされているもののうち、1と7の一部をその対象から除外していただく、すなわち、
一.骨折・脱臼・打撲・捻挫・肉離れを含む挫傷というのは業務内容であって施術そのものの告知であることから、事実を患者に告知していることは広告に当たらないので、この表記を施術所における違反広告の事例から除外してもらいたい
二.医療保険各法において療養費としての取扱いが厚生労働省保険局長通知により認められていることから、広く「各種保険取扱」との表記が認知されている。よって、この表記を施術所における違反広告の事例から除外してもらいたい
 ということです。
by ueda-takayuki | 2014-06-30 14:29

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