寝違えで返戻を繰り返す協会けんぽ

患者調査の結果として、患者が「寝違えた」と回答したものについて、ことごとく不備返戻を繰り返す協会けんぽ。寝違えは患者さんの主訴であって、私たち柔道整復師の見立てでは明らかに頸部捻挫ですから、
療養費の支給対象となります。
これは養成所の学校の教科書にもきちんと掲載されていることです。
寝違えとは、頸部捻挫のひとつの態様であり、急性疼痛に頸椎や肩甲骨の運動性が制限された状態をいいます。頸部はそもそも可動域が大きく、その支持組織が相対的に弱い為に頸部捻挫を起こし易いものです。また、頸部捻挫により頸部をはじめ、肩部、背部あるいは事例によっては上肢にいたるまで疼痛やシビレ感などを伴うことが少なくないので注意を要する負傷であるといえます。
寝違えの具体的な発生機序につきましては、急性又は亜急性の外傷性の発生機序として位置づけられ、就寝中などにおいて、大部分は長時間の不自然な体制・姿勢で寝ていたり、睡眠中に不用意に首をひねったり、また、このようなときに肩甲骨を動かしたりしたときに起こる一過性の筋痛であります。
頸椎の退行性変化を基盤として起こる場合や炎症性の疼痛による場合もあります。
寝違えの一般的な症状としては、頸椎の運動制限はあらゆる方向にみられますが、とくに捻転や側屈が制限されることが多い実態にあります。疼痛は僧坊筋、菱形筋、胸鎖乳突筋、肩甲上神経部などにみられ、これらの圧痛部に小指頭大のしこりを触れることもあります。さらに頸部から両側肩甲間部にまで疼痛が放散することも少なくありません。
柔道整復師が行う施術としましては、主に圧痛部位を冷やしたり、逆に温熱を加え手技療法や理学的療法、物理療法を組み合わせたりして治療を行うこととなります。
また、必要に応じて牽引療法や軽い頸部・肩甲帯の運動指導も有効なことが多いことで知られるものです。
柔道整復師の治療する得意分野の一つとして軟部組織損傷の頸部捻挫があることに鑑みれば、寝違えも柔道整復師の施術の適応症と考えます。何せ厚生労働省医事課のチェックを受けた学校の教科書にこのように記載されているのですから。
頸部軟部損傷においては、四肢の軟部損傷とは異なり、脳を支える重要な神経や血管の径路であることから機能的だけでなく、筋靭帯の損傷の腫脹疼痛、拘縮、外傷性炎症等が二次的の圧迫や刺激となりまして、結果的に自律神経の失調異常や頭部、上肢部の種々の症候群を惹起する場合もあります。柔道整復師としては特にこの点に留意して施術に努めているのが実態ですよね。
以上のことから、患者がいう「寝違え」という症状に対する柔道整復師が行う施術行為は、頸椎捻挫という急性又は亜急性の外傷性の負傷であるものと考えられることから、療養費の支給要件を満たしているものといえます。
寝違えでの返戻は理由がないことから、再提出しましょう。協会けんぽにきちんと御説明して理解していただくことが取組みです。
by ueda-takayuki | 2011-09-14 11:24

上田たかゆきオフィシャルブログ


by ueda-takayuki