大阪の協会けんぽに抗議する申し入れを行いました

全国健康保険協会大阪支部(以下、「協会けんぽ大阪」)が行っている、鍼灸療養費の同意医師に対しての執拗ないやがらせ的な書面照会及び再同意の有無の確認照会と、再同意の事実確認ができない場合は支給済み分の療養費を施術者あてに返納通知として送りつけることについて、止めるように抗議するための申し入れを行いました。
平成22年7月22日午後2時に協会けんぽ大阪の事務所に赴き、業務部のグループ長はじめ3名の療養費担当に要望書を提出の上、抗議をしたところです。
議論の中で、協会けんぽ大阪側より、「協会けんぽの鍼灸療養費の支給件数の全国件数のうち4割が大阪府であり、あまりにも突出して目立っている。政管健保時代より特段の調査を行っていないこともあり、今回大々的に施術者及び同意した医師、再同意した医師に対して照会事務を行った。また、再同意が得られていないと判断した支給済みの療養費については、施術者宛てに返納の案内を送付した。」旨の説明がありました。これを受け、当方からは要望書にある順番で協会けんぽ大阪の事務処理の不当・失当を糾したものです。
はじめに、通知に示された疾患であれば「医師による適当な治療手段のないもの」という鍼灸療養費の支給要件を満たしたものとして支給しても差し支えないにもかかわらず、なぜ症状等をわざわざ質問するのか。必要のないことであり、そもそも何を確認したいのかが不明であり、単に医師に対する嫌がらせであろう。かつ、鍼灸療養費の請求を抑制するために同意書(再同意)の発行を減じさせるためだけの不当な取組みであると糾弾したうえで、医師の同意及び再同意の事実確認に関して、診療情報や同意日を含む、同意した医師に対する確認調査を速やかに止めることを申し入れました。
次に、医師の再同意は患者が得ても、施術者が得てもよいし、再同意は厚生労働省保険局課長通知で添付の省略が許されている実態にある。また、口頭であっても電話であっても認められること等の過去からの運用上の取扱いを説明したうえで、なぜ再同意の確認の取れない支給済みの療養費を全額施術者である鍼灸師に返納を求めるのか。療養費の請求人は被保険者であることから、被保険者に対して返納を求めるのが筋であろう。患者が再同意を得なかったことに落ち度はなかったのか、何らの調査・確認もせずに支給決定した保険者の事務処理に問題はなかったのか、返納にあたっての消滅時効の考え方はどうかなど、あまりにも問題の多い事務処理をなぜ今頃行ったのかを問い、今後鍼灸師に返納を求めることのないように強く抗議したところです。
最後に、療養費を申請してから支給されるまでに相当の時間を要していることの現状について議題にしました。特に本年4月以降の遅延が際立って目立つ滞留となっています。療養費の算定基準にも記述のあるとおり、患者や被保険者の経済的負担等を考慮すれば、できる限り速やかに支給されるべきです。このことから、4月以降における鍼灸療養費の支給決定が著しく遅延している実態については早急に支給決定を行い、可及的速やかに支給することを強く求めてきました。療養費の支給の遅延は、被保険者と鍼灸師の生活を直接脅かす大問題であることから、速やかに支給するように強く要求したところであります。
協会けんぽ大阪からは、団体側からの要望内容を理解した上で、この3点のすべての事項について改善すべく、早速に結論を出すとのことです。ただし、文書による回答は、全国健康保険協会の本部にも指示を仰ぐこととなることから、相当時間を要するとのこと。
しかしながら「いつまでもこのままやるつもりはない」との保険者からの返答もあったことから、鍼灸の保険取扱いを地獄の窮地に追い込む危険性の強かった、今回の保険者が行った同意医師及び再同意医師への照会・確認及び施術者に対する返納金の返還請求という大問題は収束に向かうこととなり、一安心といったところです。
特に、何故か協会けんぽが返納金を鍼灸師に返還させる通知を出したことは、受領委任の取扱いが認められている柔道整復施術療養費の取扱いと若干混同された可能性もあり、協会けんぽ大阪としては、施術者に対する保険請求に関する指導・監査、審査事務の構築等のことを考えると適正化を進める観点から、鍼灸療養費にも柔道整復施術療養費と同様な受領委任の取扱規程が必要であるとのご意見もあった。この点については、鍼灸マッサージ療養費にも受領委任払いが導入され、支払事務のルール化が求められることを主張してきた私の考えとも一致した部分もあった。
本来であれば、これらの鍼灸マッサージ業界を揺るがす大問題は、公益である社団法人が一致団結して取り組む仕事です。大阪管下にある鍼灸師は、その所属団体を問わず、この攻撃を受けたわけですが、大阪府鍼灸師会並びに大阪府鍼灸マッサージ師会は、この間何を議論し、会員からの相談に対してもどのように回答してきたのであろうか分かりません。大阪府下の社団法人会員で構成されてきた大阪府保険鍼灸マッサージ師協会(「大保協」)の組織分裂による弱体化をこれ幸いにして、この時期敢えて実施された調査・返納事務とも思えます。“今の大保協ならば誰も文句は言ってこないだろう”と協会けんぽに甘く見られたとも推察されるのです。
私は今後とも、理不尽な保険者の取組みに対しては、当方に所属する組合員にはもちろんのこと、他団体の会員に関しても所属団体を問わず、全力で鍼灸師を守っていきたいです。もし保険者が私たちの主張に対し理解を示さないというのであれば、協会けんぽの誤った事務処理をもって返納に応じてしまった施術者を募って、私たちは毅然とした対応(集団訴訟)も辞さない覚悟です。この際、団体毎の垣根を越えて鍼灸師・マッサージ師のみんなで団結する時ではないだろうか。などとと広く業界に呼びかけているのですが、反応はいまひとつです。
by ueda-takayuki | 2010-07-26 13:32

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