一般社団法人日本臨床整形外科学会(JCOA)の平成26年度シンポジウムにおいて、柔道整復師の受領委任の取扱いを廃止すべきであるとの統一見解がだされたことは周知の事実である。今後、自民党の医師会選出の国会議員を中心に療養費の局長通知廃止の方向が出されるのかどうか。廃止にあたっての論理構成は明らかであり、「亜急性とは亜急性期、つまり時間の経過を指すものであり、外力の性質を表すものではない」ことを今後、支払い側である保険者等の関係者にJCOAから働きかけていくこととなるだろう。少なくとも社団法人日整が平成7年9月の医療保険審議会柔道整復等療養費部会の意見書で初めて「亜急性」の定義が出されたことを受け、後だしジャンケンの如く、全国柔道整復学校協会の教科書に「微々たる外力の反復・継続による軟部組織の炎症」を掲げたのに、今頃になってその定義に携わった者たちが「学問的な根拠はない」などと逃げ回っているというのは本当か。このことから、JCOAは公的医療資源を柔道整復師に使うべきではない、すなわち受領委任の取扱いを廃止せよと言う。受領委任払いの廃止を求める意見で盛り上がったこのシンポジウムをみても、社団幹部をはじめとする業界の指導者たちは「自民党の医師会推薦の先生方、例えば、渡嘉敷奈緒美先生(薬剤師の先生)にすべてお任せしているので大丈夫」などと寝ぼけたことを言うのであろうか。まったく柔道整復業界は何を考えているのか私には理解できない。また、この席で基調講演を務めた演者は柔道整復師の受領委任を廃止することを決して目的としてはいないことは、上田が何度もお話して理解している。彼はまずは、きちんとした適正化を図らねばならないというまっとうな正論を言っているだけだ。不正請求は許されないので徹底的に調べる必要性を主張しているだけであり、その通りである。彼は、鍼灸マッサージの不正請求を許さないとのことで適正化に尽力したところ、柔道整復療養費にも不正請求が蔓延っていることから、療養費の適正化特別対策班を立ち上げて数億円の返還金の起案を行った。現在、和歌山県後期高齢者医療広域連合を離れ古巣の市役所で頑張っている。彼ははかねてから、保険者・行政・柔道整復業界の三者による打合せ会の実施を早急に行うべきであると提唱しているが、行政も我が柔道整復業界もまったく動かない。
私も何とかせねばと、今回の第47回衆議院議員総選挙に大阪8区から出馬したが、残念ながら当選できなかった。当選して国会議員になれたなら、早速、3社面談を仕切れたものを、残念である。私には力がなかった。受領委任払いは事務取扱であって局長通知1本で廃止されることを公益社団は理解していないのかも知れない。4,000億円を整形外科に引っ張ってこようとする取り組みを理解できない柔道整復業界に明日の展望などまったく無いのだ。私が懇意にしている方々の口癖は「金は在るとっから引っ張ってくればいいのよ」。医療費抑制策が声高に叫ばれるなか、4,000億円を柔道整復療養費から整形の診療報酬へと引っ張ってくればいいということなのか。暗い気持ちになる。