大阪市保健所長に対して柔整師の今後の広告規制に関する疑義を申し述べておく

大阪市保健所長 吉田 英 樹 様

公益社団法人 全国柔整鍼灸協会

理 事 上 田 孝 之

柔道整復施術所の看板に実際に行っている業務自体を表示することの可否について

 当職からの平成29年11月28日付け全柔協専発11281号で照会しました柔道整復施術所の看板に「機能訓練指導員」と表示することの可否につきましては、平成29年12月5日付け大大保第5841号をもってご回答いただいたところです。

 回答書面によれば、「広告できる事項が法律で限定されており、機能訓練指導員の記載は告示で示された事項にも該当せず、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはならないことから、違法な広告にあたることから認められない」とする主旨の回答をいただきました。

 貴職の迅速なるご回答をいただき、当方公益社団法人として、今後の会員指導の参考にさせていただきます。

 しかしながら、今後、当方会員から今般の「機能訓練指導員」の表記とともに、「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」並びに「各種保険取扱い」を看板に掲載したいとの申し出に対し、すべてを拒否して認めないことが正当であるかどうかにつきまして、今後の訴訟事案に発展する事例の存在をも含めて、事前に当方の広告に関する基本的考え方を下記のとおり明示するとともに、広告のあり方に関する貴職からのご教示をよろしくお願いいたします。

                  記

はじめに

最近の保健所が行う柔整及びあはきの治療院としての施術所に対する広告規制に係る指導の取組みとして実施されている施術所の広告規制の強化につきまして、当方は非常に心配しています。心配というよりは憂慮し恐れています。つまりそれは、我々施術者が「何一つ広告できないようになる」ということを恐れているのです。広告規制問題は端的に言えば「柔整師や鍼灸師はすべからく広告してはならない」というところに狙いがあるからです。私ども公益社団全柔協はかねてから広告規制の取組みで過激な指導を行っていた奈良県橿原市や京都府山城保健所、京都府庁、兵庫県加古川健康福祉事務所をはじめ、問題が発覚してトラブル事案に発展している部局にその度に赴き、担当者に面談を求め対応を協議してきたところですが埒があきませんでした。それどころか、療養費を議論する厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会医療保険部会療養費検討専門委員会においても広告規制問題を取り上げて、「不正対策」として検討される勢いとなっています。

今後、同委員会において厚生労働省医政局も参加されて議論が再開されることとなりましょう。柔整・あはき業界にとってはまったく不利な状況にどんどん追い込まれていきます。
 さて、すでに、行き過ぎた表示と認められる「交通事故専門治療」、「むちうち専門治療」、「肩こり治療」、「腰痛症治療」等のご指導は当然のことながら理解できるものの、ご回答いただいた柔道整復師法第24条(広告の制限)に掲げる事項以外は一切すべからく認められないとする記載内容に反論いたします。

少なくとも柔道整復施術として保険取扱いで認められている骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷(肉離れ)と各種保険取扱い、及び実際に介護保険においても通所介護等における機能訓練指導員の確保の促進について対象資格に認められている柔道整復師が機能訓練指導員であるという事実くらいは「事実の告知」として認められるべきであることを当方から詳細に大阪市保健所ご担当部局に解説させていただきたいのです。

徹底した広告規制の指導を大阪市保健所等地元各区役所所管の保健福祉センターに望む声は、厚生労働省本省や整形外科医院等からかねてからあったところであることは当方も承知しております。当方といたしましても、違法や不当な広告や行き過ぎた事案につきましては、傘下の会員への指導も含め、適宜対応してきたところです。

しかしながら、納得できない点が2つあります。一つは「実際に治療行為として行っている治療メニューの施術の事実を告知しただけでも広告規制の対象となるのか?」という疑問点と、私たち免許を持つ有資格者だけを指導して、無資格者には保健所は何らの指導もお咎めも一切しない実態に対する不満です。

柔道整復師の行う捻挫・打撲等の施術は、厚生労働省保険局が施術対象として認め、実際に施術を行っているメニューです。機能訓練指導員としての活躍の舞台も介護保険法上当然認められています。実際に行っている事実を告知しているに過ぎないもので、これさえ削除・抹消せよ、掲載・表示してはならないとの指導にそのまま従ったなら、柔道整復施術の捻挫・打撲等及び機能訓練指導は患者からみれば「実はやってはいけないものだったのだな」との誤解を生じさせるのではないでしょうか。

また、無資格者に対する指導をしないことを「法律がないから」ということなどは理由にはならないと考えます。私ども有資格者が一切の広告を出せず、一方、無資格者は取り締まりがなされないことをいいことに、無資格者によるさらなる過激な広告を打ち出すということが認知され続けるという「逆差別化」を危惧するものです。

柔道整復施術所の看板に捻挫・打撲等及び機能訓練指導を記載できないならば、整骨院は何をやってくれるところか皆目分からなくなってしまいます。患者に対し捻挫や打撲等を認識させることが、虚偽及び誇大広告に繋がるとは思えず、これらの表示に何らの①誘引性・②特定性・③認知性も認められません。

広告規制というからには、この①~③が明らかに確認されなければ「広告」とはなりませんが、当方はこれらの要件を満たすような広告を行ってはいないことから断固反論を申し述べるものです。

今から4年近く前の平成26年1月21日~22日に開催された「全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)」での資料中、医政局医事課からの連絡事項「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の施術所についての(2)広告の指導について」によれば、適応疾患及び適応症状等について広告することは認められないとの記述は無いではありませんか。

今後の検討専門委員会での「議論の整理」に基づく療養費の諸課題の検討の結果次第では、現場の保健所等の運用ではきびしい取組みが実施されていくことが容易に想定されます。さらに、全国の接(整)骨院で当然のように表示されている「各種保険取扱い」の表示も認められないと言われた挙句、「診」という文字を一切使うなとか、広告に関するありとあらゆる嫌がらせが開始されることになるものと推察されます。

 公益社団全柔協が考えるには、少なくとも、事実の告知並びに事実行為の提供として、

1.整骨院において、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷と表示することは事実の告知として認められるはずである。

2.「各種保険取扱い」と表示することも当然ながら認められるはずである。

3.介護保険で実際に認められ事業展開のメニューとして公然と認められている「機能訓練指導」、「機能訓練指導員」との表示は認められるはずである。

との主張を持ち、いわゆる広告の3要素である構成要件としての①誘引性・②特定性・③認知性、が認められない以上は断固反論して闘う姿勢を会員各位ともども取り組んで参ります。

柔整業界としては、これを周知徹底して必守しなければ、広告規制の名のもとに、認められる掲載事項は告示にあるほねつぎの他、わずかに「氏名、住所、施術所名称、電話番号、住所、地図、施術時間、駐車場設備」程度しか表示・標記できないのならば、何らも広告できないのに等しいことから会員にも闘う姿勢を求めていることを繰り返し申し述べます。

貴職のご回答は「すべて禁止だから認められない」ということに他なりません。もちろん治療院の外観や施術管理者の顔写真も全て「認められない」ということになります。これでは適正な広報活動など一切できません。

今後の、当方の活動方策の論点を6点ご説明します。

1 今後の検討専門委員会の検討結果後に予想される広告規制の取締りと広告事項の点検に関する不当な扱いについて

これから広告については法令等で制限されていることを前面に押し出して、全国的規模の展開として、地元の保健所や福祉生活センターで、一定事項(名称、所在地、電話番号、施術時間等のきわめてどうでもいいような内容のみの記載)しか広告してはならないことを強調し、保健所等の行政側が施術所に赴いたうえで、強制的かつ強圧的な指導を開始することになります。

しかしながら、違反広告と保健所が判断する事例のうち「適応症・病名を広告すること」及び「各種保険取扱い」「機能訓練指導員」を違反広告と位置づけられることに関しましては、妥当且つ適切な違反広告事例とは認められないことから、徹底的に反論してまいります。

柔道整復師が施術所内外で表示している記載事項は、あくまで柔道整復施術業務に係る営業種目に関する「事実の告知」に過ぎないことはすでに申し述べました。施術を行っている内容を事実に基づき正確に患者あてに知らせているに過ぎないのです。

骨折・脱臼・捻挫・打撲・肉離れ・肉離れを含む挫傷の治療及び機能訓練指導に当たっては、厚生労働省という「国」が認めた施術行為及び機能訓練指導であって、柔道整復師が行うべき、かつ実施している本来業務を表示するなと言われても施術者にとっては納得できず、また、この事実を告知することが広告制限に抵触するとは思えないのです。

単に営業態様の告知を表記しただけです。このことは、国、保険者等の患者用のパンフレットにも日常的に使用されたうえで表示され、国、保険者自らが広報している実態にあります。柔道整復師は単に施術担当者として行っている施術内容を個別具体的に患者さんが理解しやすいように、できるだけ丁寧に列挙したまでのことであり、施術メニューとして実施している事実を告げただけのことです。パンフレット等の配布物として広く大衆に供したものではなく、看板の掲載にあたって、また、治療院の内外の表示において営業体系の事実を患者さんに告げたまでのことです。

よって、広告をしたものではないことから、広告の制限には該当しないのではないでしょうか。既出の広告の定義である「①誘引性」などはまったく無いのです。

2 現状において大阪市保健所が実施している「有免許者と無免許者の別」など問わない行政指導の不当な取扱いについての抗議と反論

柔道整復師の国家免許を有する施術者が、単に施術メニューの実績を「事実の告知」の名の下に提示したことをもって「広告制限」を理由に違反広告の事例とされるのであれば、街に無造作に放置され、やりたい放題の無免許者に対する行政指導を具体的に行わないのは、逆差別とも言える不当・失当以外の何ものでもありません。国家資格を有する私たちは厳しく指導を受け、一方、無資格者はやりたい放題の現状に、今後とも大阪市保健所が何もしないというのは馬鹿げていて愚かな行政の姿勢であることから厳しく糾弾されるべきです。

 私ども公益社団全柔協は無免許者に対する指導・取締りを行政に対して強く求めます。彼らを野放しにしておいて、有免許者だけは身分法に定めのある広告規制に関する法条文を根拠に、今後展開される検討専門委員会の席上での「議論の整理に基づく療養費の諸課題の検討」に係る動向やその検討結果により、今後厳しく指導されるのは甚だ迷惑です。

広告規制に係る身分法の立法の主旨は、

  1. 過当競争の防止

  2. 虚偽の広報に関する抑止作用

    にあるのです。

    大阪市保健所が行う指導の正当性を今後とも主張されるのなら、まずは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第12条により、無免許者の取締り対象を徹底すべきではないでしょうか。すなわち、同一指摘事項に関して無免許“療術”を行う者に係る指導を徹底されるのが先決ではないかということの問題提起です。

     保健所側が違反広告内容と断じている基準以上に酷い記載が多くの無免許療術において実際に行われており、大阪市保健所においてそれが現実に認められるにもかかわらず、一切これらには目を瞑り、一方的に関係法令を楯にして有免許者のみを指導されることには当方としては納得できません。このことについては今後とも強く抗議するものです。

    3 公益社団全柔協が主張する違反広告に関する基本的な考え方の説明

    広告規制や施術所における違反広告の事例に対する公益社団法人全柔協の基本姿勢は次のとおりです。

  1. クイックマッサージ・整体・カイロプラクティック・アロマテラピー・まき爪・美容小顔・リフレクソロジーその他の無免許施術や無免許者全般の取締りがなされていないことが遺憾です。法令の主旨は「過当競争の防止と虚偽の広報に関する抑止作用」にあるのです。有免許者と無免許者との比較で有免許者には不満が出てくるのは当然のことではありませんか。先に、あるいは同時に無免許者の取り締まりを実行させるべきでありますが、その度胸と度量と能力が行政側にあるとは思えません。

  2. 行き過ぎた広告や患者の「①誘引性」が顕著な広告、交通事故専門とかムチウチ専門とかガンも治せるとか、しまいには「神の手を持つ私の手技を体験しませんか」などの虚偽及び誇大広告の制限は当然だと理解できることから、法令上認められない記載については公益社団全柔協も了知の上、認識していますし、これらの違法広告を排除するにあたっての努力や具体的活動もしております。

  3. 「②特定性」や「③誘引性」に鑑みて、柔道整復師が捻挫や打撲、機能訓練指導員などの業務内容を告知することがなぜ「広告」と言えるのでしょうか。広告の3要素(①誘引性・②特定性・③認知性)を満たしてはじめて「広告」とされるべきであります。だからこそ、これら3要素を構成できないパソコン上のホームページ掲載等はこの理由で広告とはならないと判断されていることをご留意願いたいです。

  4. 国民・患者は有資格者と無免許者との区別ができない状況下で、治療する資格を有する施術者が骨折・脱臼(要医師の同意)、打撲・捻挫・挫傷、また、介護保険での機能訓練指導員の表示を外したならば、いったい柔道整復師の整骨院では何をする施術所なのかが皆目見当がつかずに分からず、国民・患者は混乱し、無免許者による医療過誤が発生する危険性に拍車をかける不手際に進捗するのです。

  5. 骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷、あるいは機能訓練指導という業務内容を「広告」と解釈している現状の行政の姿勢自体が誤りなのです。今、「広告」に関する虚偽・誇大広告が蔓延している実態であるのは事実です。しかしながら、肩や腕などの打撲や捻挫の表示には、何ら誘引性・認知性・特定性がないのだから「広告」ではありません。併せて、介護保険法上認められている柔道整復師が機能訓練指導員として機能訓練指導を実施することも、これらはすべて国民皆保険制度の中で公的医療保険である健康保険等で年間4,000億円弱程度の取扱い実績がある証左であります。業務内容を国民の皆さんに明確に表示して告知することが、なぜ虚偽広告にあたるのか。これは「表現の自由」にも抵触する憲法違反ではないかと危惧するところです。

  6. 広告の規制対象とすべきは国民に対して何らかの危害を加える可能性があるものでありましょう。繰り返しますが、柔道整復業務として治療を実施しているものを表示してなぜ「広告」と判断されるのかを法令的に十分議論する必要性があります。

  7. 保険者からは医療費通知とともに「整骨院のかかり方」と題されたパンフレットなどで広く骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の施術が受けられることも案内されていることから、患者が整骨院で骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷での治療を受けていることが確認される体制に置かれているのが現状なのです。そこで看板や掲示物から施術業務内容を削除してしまったならば、患者さんの認識として「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」に対する柔道整復師の治療が違法であるとの誤解を与えてしまう危険性を孕んでいることは既に述べたところです。

  8. 療養費の取扱いで一般の患者に知らしめるために、「各種保険取扱い」の表記ができないとする根拠は一体何なのでしょうか。告示で定めのある「医療保険療養費支給申請ができる旨」とは具体的にはどのように書けば認めていただけるのかさえ結局は何も示さず、いったい保健所としては何を取り締まり、何を指導したいのでしょうか。整骨院は健康保険での療養費の取扱い、労災保険又は生活保護の取扱いにおいても指定を受けているのです。事実の認定としての表示・標記として認められる具体的な記述の仕方を教えてもらいたいのです。

  9. 我が国の公的医療保険は「国民皆保険」の制度であり、保険事故に対して保険給付が補償されています。保険給付には療養の給付、療養費の支給があり、患者さんにはその取扱いが可能な「取扱治療所」で保険給付を受けることが、なぜ公共の福祉に反するのでしょうか。

    4 広告規制の指導の取組みは憲法が保障する「表現の自由」に反する危険性があるのではないか

    施術所における違反広告の取扱いに関して厳しい運用が議論されていくことになるでしょう。そして、広告事項の点検等に関する指導が広く実施されることになっていくのであれば、結果としては柔道整復師にとって無資格者である他方をことさら利することになり、明らかな柔道整復施術の営業妨害に当たることが明白です。そして私たち柔道整復師は何らの広告もできないこととなるのです。当方としてはこれを認めるわけにはいかないのです。日本国憲法第21条に定めのある「表現の自由」を論拠とした法的手続きに発展するほどの裁判闘争も辞さないところです。

    私ども公益社団全柔協は、柔道整復師が骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷、そして機能訓練指導員としての機能訓練指導についての表示や、併せて、各種保険取扱いとの表示、また、施術所の外観や施術管理者の顔写真などの掲載につきましては、大阪市保健所のいう「広告」の対象とはならないことを、今後も全力で主張してまいります。

    5 当方として実施できる当面の戦略・戦術と国(厚生省:当時)作成資料の紹介について

    広告規制にあたりましては、一部行き過ぎた表示と認められる「交通事故専門治療」、「むちうち専門治療」、「単なる肩こり治療」、「リフレクソロジー・アロマテラピー・まき爪」、はたまた既出の「神の手を持つカリスマ柔整師」、「テレビでもお馴染」「がんでも治せる」等々に係るご指導は十分理解できるものの、柔道整復師法第24条第1項及び厚生省告示に掲げられた事項以外は一切認めないという指導がなされておりますが、そうすると、実際問題としてはほとんど何も表記・表示できなくなってしまうことには断固反対し、反論して参ります。

    徹底した広告規制の指導を保健所等の当局に望む声がかねてから関係者間であったところであることは十分に了解しており、公益社団全柔協といたしましても、違法や不当な広告や行き過ぎた事案については、繰り返して何度も申し述べますが、会員への指導も含め適宜対応して参りたいと考えております。

    しかしながら、施術の事実を患者さんに告知することや患者さんの目に見える形での看板記載等がはたして広告規制の対象となるのかという疑問と、私ども有免許者だけを指導し、無免許者には何らの指導もしない保健所の運用実態に対し不信感を抱かざるを得ないということがどうしても解せないのです。

    6 消費者基本法にみる当方主張の正当性について

    柔道整復師の業務に係る表示として捻挫・打撲や機能訓練を記載できないならば、整骨院は何をやってくれるところか皆目分からなくなってしまわないでしょうか。 

    患者さんに対し捻挫や打撲等のメニューを認識させることが、虚偽及び誇大広告に繋がるとは思えず、これらの表示には広告の3大定義に照し合せても、何らの①誘引性・②特定性・③認知性も認められないことを、今まで再三にわたってご説明申し上げました。

    そこで今度は、立ち位置を変えて、患者さん側に立ち患者さんを保護する見地で、改めて消費者基本法の規定を用いてご説明申し上げます。

    ここでは、当該法律の一部分を抜粋して、次に掲載します。

消費者基本法

15

(広告その他の表示の適正化等)

国は、消費者が商品の購入若しくは使用又は役務の利用に際しその選択等を誤ることがないようにするため、商品及び役務について、品質等に関する広告その他の表示に関する制度を整備し、虚偽又は誇大な広告その他の表示を規制する等必要な施策を講ずるものとする。

16

(公正自由な競争の促進等)

国は、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の拡大を図るため、公正かつ自由な競争を促進するために必要な施策を講ずるものとする。

消費者基本法の立法精神の一つである「事実を忠実に伝えること」を柔道整復施術に当てはめると、柔道整復師が何を行う厚生労働大臣という国からの免許者であるのか、また、患者さんが施術行為を具体的に認識されたうえで柔道整復施術を自由に選択する機会を得られるようにする必要があるということに尽きるのです。

7 公益社団全柔協が求める具体的要望事項について

 私どもが大阪市保健所に求める具体的な要望は、何度も繰り返して恐縮ですが、

  1. 骨折・脱臼・打撲・捻挫・肉離れを含む挫傷というのは業務内容であって施術そのものの告知であることから、事実を患者に告知していることは広告に当たらないので、この表記を施術所における違反広告の事例から除外してもらいたいこと

  2. 医療保険各法において療養費としての取扱いが厚生労働省保険局長通知により認められていることから、広く「各種保険取扱い」との表記が認知されているのです。よって、この表記を施術所における広告として認めていただきたいこと

  3. 介護保険法の運用で認知されている「機能訓練指導員」としての機能訓練指導を行える者であることの表記を施術所における広告として認めていただきたいこと

  4. 上記3点以外は、常識の範囲で自ら判断でき得るものであるとともに、個別的に整理する必要性があること

    ということです。

    おわりに

     貴職からのご回答のまま会員指導を実施しますと、骨折・脱臼・打撲・捻挫・肉離れ・挫傷及び各種保険取扱い並びに機能訓練指導員としても一切の広告としては認められず、今後、行政指導の名の下に一喝されることを憂慮いたします。

    あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律及び柔道整復師法の無免許者についての基本的考え方が、この法律の制定の任にあたった厚生省(当時)の担当者によって「あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の解説」に詳細になされています。この営業法の解説第二章の第四節第六「施術所の広告制限」によれば、施術者は「その技能、施術方法又は経歴に関する広告をしてはならない」のであり、広告制限に関する原則的な解説がされていることにこそ注目すべきです。また、第三章第三節第三の二「業務または施術所に関する広告」によれば「技能、施術方法又は経歴に関する広告は業者、医業類似行為者、医業類似行為を業とする者と無関係の第三者が行っても違反となる」と明確に原理原則が解説されています。

                                      


by ueda-takayuki | 2017-12-07 15:14

上田たかゆきオフィシャルブログ


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