日本精工健保組合は支給済みの療養費の返還を求めるというが会員が納得できないことから疑義となった件


日本精工健康保険組合から、この度、当方会員である柔道整復師2名の支給済の療養費について、返還を求める旨の通知を頂いたところである。このうち、A柔道整復師の請求分につきましては、返還の対応をするとの了承を得たことから対応するので、後日返納金として納付予定としている。

 しかしながら、B柔道整復師の請求分につきましては、返還請求内容について納得できないとのことから、これには対応することはできず、また本件返還通知について疑義があることから以下のとおり、日本精工健保組合の説明を求めるための文書を発出した。

                    記

. 不支給理由が抽象的すぎること

 不支給理由として「急性の外傷性負傷ではないため(走りこみによる肉体疲労)」とありますが、具体的に患者本人がどの部位につき施術を受けたことについて、「走りこみによる肉体疲労」という回答をし、貴健保組合が支給対象とならない負傷と判断されたのか、詳細を文書にて明らかにしてほしい。これだけであれば、患者回答の整合性の裏付けを何をもって担保されているのか説明願いたい。

. 不支給決定通知並びに支給済療養費の取消しに係る書面交付について

 今回、当方に送付されたご案内で、支給済療養費の取消処分の通知書の確認はできたのだが、当方会員が被保険者へ確認したところ、不支給決定通知書並びに支給済療養費の取消処分の通知書が被保険者宛へ交付されたとの確認ができない。また、不支給決定通知書には「3月以内に関東信越厚生局社会保険審査官に対し審査請求ができる旨」の教示欄が必要となるのだが、被保険者宛に交付はされているのかどうかがまったく不明である。

. 原理原則では被保険者に返還を求めることが適当であることについて

 本件返還請求については、当方組合員宛てとなっている。受領委任の取扱いにおいて、既に何らの問題もなく支給決定がなされた療養費について、なぜ柔道整復師に返還を求めるのか。

 柔道整復師は受領委任の取扱規程に従い、被保険者に支給されるべき、被保険者に帰属する保険給付金を、単に被保険者の委任を受けて代理して受領しているに過ぎないものである。不正請求や不当な行為により療養費が支給されたのであれば、その責任を柔道整復師が負うのは当然であるが、患者照会の結果、患者回答内容から支給対象とならない負傷であると判断されただけで、なぜその全額を柔道整復師が返還しなければならないのか説明を求める。

 

4. 被保険者へ「施術者へ支払う必要はない」との連絡をしていることについて

 仮に、柔道整復師がこの返還請求によって返還したならば、別途施術を行った柔道整復師は被保険者宛てに請求行為を起こさなければならなくなり、その煩雑な事務処理を考えれば、日本精工健保組合が直接被保険者に返還を求めれば済むことではないかとの考えがあるのだが、当方からの柔道整復師への聞き取りによれば、会員である柔道整復師が被保険者へ連絡した際に、「保険者から施術所へ支払う必要はないと言われた」とのことで、被保険者は日本精工健保組合から施術費用の残額を支払わなくていいという言葉をそのまま聞き入れたことから、施術所へ返金をする意思もなければ、不支給決定処分に対する審査請求をする意思もないとのことであった。

 日本精工健保組合は患者照会の回答内容だけを給付決定の判断材料とし、その結果として、一度は支給決定され支給済となった請求分に対し、支給取消処分の上不支給決定処分とされ、さらには被保険者に対し施術所へ支払う必要はないなどと連絡をする健保組合のやり方に強く憤りを感じている。

 当時負傷原因を聞き取り、正当な請求をしている施術者に対しては何ら照会をすることなくこれを無視し、一方的に「療養費返還請求について」の文書を送りつけてくるとはいかがなものか。日本精工健保組合が被保険者へ「施術所へ支払う必要はない」と連絡されたことについても、なにを根拠に支払う必要がないと判断されたのか。柔道整復師に「タダ働きを強要」するこのような暴言は絶対に許せないのである。少なくとも、施術者が患者に対し施術を行ったことはまぎれもない事実であり、柔道整復師に対しタダ働きを強要するこの発言は、保険者の傲慢さの表れであると非難されるべきものである。当方組合員戸塚柔道整復師は、本件処分につき納得できないと申し述べていることから、本件返還請求に応じることは現状においては困難であると思料される。このことから、返還請求についての本件の案内をこのまま受け入れることは困難である。

 なお、当時の負傷原因・当日所見・治療内容の詳細を記載した施術者申立書を同封しておくので確認されたい。再度返還請求をされるのであれば、上記4点につき明解な説明を書面で解説されたうえ、改めて別途申し述べてもらいたい。


by ueda-takayuki | 2017-06-29 11:42

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