トランス・コスモス健保組合に対し警告文を発出

 私がトランス・コスモス健康保険組合の被保険者が不支給処分を受けたことに対して、審査請求代理人に選任された事件で、またもや原処分の不支給処分が関東信越厚生局の社会保険審査官から取消されたことを、健保組合はどのように考えるか。健保組合の責任の所在を明らかにするために、トランス・コスモス健保組合理事長に警告書面として通知書を発出した。個人情報に係る部分をここではすべて削除して、ここに掲載する。

通  知  書

平成29年1月30日

被通知人

東京都渋谷区渋谷3-25-18

 トランス・コスモス健康保険組合理事長 殿

通 知 人

 大阪府大阪市北区曽根崎二丁目2番1号

          全 国 柔 整 師 協 会

専務理事  上 田 孝 之

冠 省

本状の通知人である私ども全国柔整師協会(以下、「当方」という。)は全国に4,000人を超える柔道整復師の会員で組織されている厚生労働大臣認可の協同組合を構成しており、療養費の請求にあたっては過去からの沿革により「全国柔整師協会」として、また、公益部門事業にあたっては「公益社団法人全国柔整鍼灸協会」として、柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の施術に係る後方支援と会員が施術を行う患者さんのお力になれるよう、日々活動しているところです。

 さて、柔道整復師が行った患者さんに対する施術につきましては、健康保険法の給付では「療養費」ということで、健康保険法第87条に基づき、そして、支給申請書の提出にあたっては、健康保険法施行規則第66条、厚生労働省保険局長通知による受領委任の取扱規程、また、実施上の運用にあたっては同局医療課長通知による留意事項等の運用通知に基づき、全国一律の事務取扱により支給決定されております。

 しかしながら、貴トランス・コスモス健康保険組合(以下、「貴健保組合」という。)の被保険者及び被扶養者が柔道整復師の施術を受けた場合には、貴健保組合独自の保険者判断により、療養費支給申請書の多くが返戻又は不支給となっている実態にあります。

当方といたしましては、従来から貴健保組合の返戻のご指摘が妥当なものについては、貴健保組合の保険者としてのご主張や保険者判断を尊重したうえで、速やかに当方会員あてに連絡し、申請書を柔道整復師宛てに差し戻しています。

当方はご指摘の不備返戻理由に明確に答える必要性等について会員指導のうえ、再申請等の所要の対応を致しております。

また、貴健保組合が被保険者宛てに不支給決定処分を通知された場合は、当方にも併せて情報を頂き、当方会員に連絡をして、施術費用の精算を行い、残額を自費扱いとして患者から徴求する旨を連絡のうえ指導しているところです。

 貴健保組合の柔道整復療養費の支給決定にあたっての事務処理の対応は、当方施術者団体からすれば異様に偏った事務処理、分かり易く言えば、柔道整復師はまともな治療などしていないのだから、そもそも療養費として支給決定するだけの価値がないものとの偏見的判断に基づき、返戻作業を繰り返している実態にあると思われます。

このことについて、貴健保組合の姿勢を質し、その実態を明らかにして参りたいと考えます。そして、何らかの解決方策を検証して参りたいところです。

当方が貴健保組合に抱いている多くの疑念・疑義に何らも対応せず、放置したうえで不作為を決め込むのであれば、当方は法的手段を取らせていただくとともに、貴健保組合が行っている、柔道整復施術療養費に対する被保険者の受診妨害とも思える事務の取扱いについて、当方会員の受診者でもある貴健保組合の被保険者に向けて広く公開連絡して参りますことを宣言し、ここに警告文として本書面を発出します。

当方と貴健保組合との療養費に纏わる議論の応酬や意見の相違につきましては、今さら改めて説明をするまでもなく、貴健保組合の独自の保険者判断として、きわめて偏った柔道整復師に対するバッシングの考えに対し、当方は辟易していたところでした。厚生労働省保険局が定める柔道整復施術療養費の算定基準に記載のある取扱いをしているにもかかわらず、貴健保組合は返戻を繰り返すだけでありました。そのあまりの執拗さから、当方といたしましては、「返戻は卑怯な手法、すなわち支給決定をせずに、2年の消滅時効の援用を目途とする時間稼ぎであり不当である」と断じたところ、貴健保組合は療養費の不支給決定を行い始めました。

 保険者として不支給決定処分がなされますと、当方会員である柔道整復師は療養費として支給される相当額を施術費用の残額分として、当然ながら貴健保組合の被保険者宛てに請求致しますが、その際被保険者又は患者が施術費用の残額の支払いに納得できないとの疑義が生じた場合には、社会保険審査官及び社会保険審査会法に基づく不服申し立てとしての審査請求を貴健保組合の被保険者が要望するのであれば、法的な助言をさせていただき、必要に応じて当方が審査請求の代理人として実務処理の支援をさせていただいたところです。

 その審査請求の結果といたしまして、直近の審査請求決定の審査請求事件について、関東信越厚生局社会保険審査官は、その決定書のなかで「当該疾病に係る本件申請期間については、健保法第87条第1項に規定される「・・・保険者がやむを得ないものと認めるとき・・・」に該当していないとまでは言えず、請求人に対し原処分の不支給とした理由により療養費を支給しないとしたことは、適法かつ妥当でないと判断する。そうすると、理事長が、請求人に対して行った原処分は妥当ではなく、取り消さなければならない。」と不支給という貴健保組合の行った原処分の取消しを命じたところです。同様なことは、近年多発しており、当方が審査請求代理人として対応させていただいた事案に限定しても、関東信越厚生局社会保険審査官が審査請求を受付け、それぞれ別々の社会保険審査官が審理した結果として、

「トランス・コスモス健康保険組合理事長が、審査請求人に対し行った療養費不支給処分は、これを取消す。」と貴健保組合の原処分の誤りを指摘した事件は他にも5事件連続して存在しています。

 そうすると、不支給決定処分に限局しても、8事件の審査請求のうち6事件(75%)について、貴健保組合の原処分の不当性を当方が立証し、その結果、関東信越厚生局に置かれる社会保険審査官が6事件の不支給の不当性を明らかにした上で、不支給という原処分の取消しを決定したことを、貴健保組合はどのように考えているのかの疎明を求めます。

これは、単に厚生労働省保険局の定めた事務処理の運用解釈の誤りということではなく、恣意的にかつ執拗に柔道整復療養費を支給したくないとする貴健保組合の愚かで身勝手な事務処理を、行政が厳しく指摘したということに他なりません。これら貴健保組合の柔道整復施術療養費に対する事務処理に係る姿勢は、本来国が行うべき医療保険の給付を、国に代わって公法人として保険事業を行う健康保険組合の姿勢に反する愚挙であり、厳しく非難されるべきものと考えております。

医学は時代と共に進展しており、柔道整復療養費の支給基準も時代と共に少しずつ変更や修正が加えられています。しかしながら、貴健保組合の行う柔整療養費の審査支払事務は、きわめて異常な様相を呈しており、当方といたしましては、今後、これを広く公に付して公共のご判断を求めて参ります。

先ずは、貴健保組合の柔道整復施術療養費に対する取扱いとしての、返戻の不当性や不支給が審査請求で覆されて支給を命じられた実績、また、社会保険審査官が具体的に貴健保組合の事務判断を誤りと認定した事実を明らかにして参ります。

当方は、これらの事実を書面で明らかに解説したものを、貴健保組合の被保険者及び被扶養者に対し周知徹底して参りますことを、事前に宣言いたします。

本書が到達したにもかかわらず、何らのご回答もいただけない場合には、遺憾ながら、正当な理由のない柔道整復施術療養費にかかる支払拒否の実行と判断させていただき、貴健保組合で返戻並びに不支給の結果として発生している療養費に係る遅延損害金の支払請求事案の立件をも趣旨に含めたうえで、既出の法的措置を執らざるを得ません。

このことから、必ず書面にてのご回答を求めるものです。

以上、警告文として通知いたしますので、誠意のある回答を強く求めます。

 なお、不適正や不正の疑いのある療養費支給申請は、当方までお申し出ください。公正・公平な判断のもと、保険者・被保険者・施術者の三者が相互に納得する結果が得られるように致しますことを申し添えます。

                               早 々

 トランス・コスモス健保組合の柔整療養費不払い運動に対して、多くの施術者団体や柔道整復師個人が請求を諦めたり、自費に移行したり、はたまたトランス・コスモス健保組合の被保険者だけを「償還払い」で対応しているらしいが、私は正々堂々と議論して、結果を出しているのである。


by ueda-takayuki | 2017-01-31 11:41

上田たかゆきオフィシャルブログ


by ueda-takayuki