ショートステイ先では一切の往療料加算を認めない大阪府後期高齢者広域連合に反論する

 大阪府後期高齢者医療広域連合は何も分かってはいない。今回の返戻付箋によれば、「ショートステイ先は患家ではないため、往療料は算定できません。」とある。しかしながらそれは誤りだ。ショートステイ先も患家とみなされる場合がある。ただ、その施設が短期入所生活介護施設か、短期入所療養介護施設か、に分けて判断する必要はあろう。

 まず、ショートステイと一言で言っても、その形態は様々だ。ショートステイとは、介護保険における要介護・要支援者への居宅サービスのひとつで、大別すると①特別養護老人ホーム等で日常生活の介護などを受ける「短期入所生活介護」と、②介護老人保健施設等で、医学的管理下で介護などを受ける「短期入所療養介護」に分けられる。

 ①は、在宅の要介護者に老人短期入所施設・特別養護老人ホーム等へ短期間入所してもらい、入浴・排泄・食事などの介護、その他の日常生活上の世話や機能訓練を提供するサービスである。これらのサービスを提供するのは都道府県知事の指定を得た「指定短期入所生活介護事業者」で、具体的には老人短期入所施設、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、病院・診療所、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護予防特定施設入居者生活介護の施設である。また、指定通所介護事業所または社会福祉施設に事業所を併設しているところは、市町村の判断により基準該当短期入所生活介護事業者としてサービスを提供できる。

 一方、②は、病状が安定期にある在宅の要介護者に介護老人保健施設・介護療養型医療施設等へ短期間入所してもらい、看護や医学的管理下における介護、機能訓練、その他必要な医療、日常生活上の世話を提供するサービスである。介護老人保健施設、介護療養型医療施設、療養病床をもつ病院・診療所、老人性認知症疾患療養病棟がある病院、一定の基準を満たした診療所が、都道府県知事の指定を得て「指定短期入所療養介護事業者」としてサービスを提供している。

 大まかな原則論としては、

①「短期入所生活介護」では、施術及び往療に係る療養費の給付は原則可能

②「短期入所療養介護」では、医学的管理下での介護・機能訓練などの必要な

医療の提供を前提とした施設なので、施術に係る療養費の給付を行うこと

は適当でない

と言えると思う。

 しかし、ショートステイ施設がどのような形態なのかによって、医療保険各法における現金給付としての療養費と往療料加算算定の可否は一概には言えない。①、②とも基本原則を理解したうえで、個別に判断することになろう。

 そこで、本件請求にあたっては、短期入所生活介護施設ということで施術者は往療料加算をしたところであり、当該ショートステイ先が往療料加算をして認められるものと考えたことから、往療料を算定したところ。よってこのまま再申請だ。仮に保険者において短期入所療養介護施設であって、あくまで当該ショートステイ先が医療の提供を前提とした施設であるならば、確かに施術に係る療養費の給付申請は妥当ではないことになるから、この点について再度確認されたうえで保険給付決定してほしいものだ。この場合、返戻ではなく当然のことながら保険者としては、全部不支給又は往療料のみを一部不支給決定と通知されることはあっても、何らも不備ではないことから再度の返戻は止めてほしい。保険者は私の指摘のレベルが高すぎて理解できないかも知れない。


by ueda-takayuki | 2017-01-19 17:22

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